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2007年09月12日

●「奇跡は起きます!起こしてみせます!!」

なでしこ執念ドロー宮間決めた/女子W杯 (日刊スポーツ)

日本、強豪スイスに4-3で勝利! ロスタイムに矢野が決勝ゴール (スポーツナビ)
 
 
昨晩は、サッカーの男女日本代表がともに海外で国際Aマッチを戦って、そのいずれもが後半ロスタイムに劇的なゴールを決めるという、日本のサッカーファンにとって非常に印象的な一夜となった。いずれもテレビ中継にて観戦。


まずは女子W杯イングランド戦。

パワフルな個人能力に対して日本は組織力と粘りの防御で対抗し、前半は互角の攻防。後半になり、イングランドの勢いが優り始めたところで宮間のFKが決まって日本先制。その後もイングランドの猛攻をDFがすんでのところで防ぎ続けた。しかし75分、DFの要・磯崎が負傷。耐え切れなくなった日本はエースFWスミスに連続ゴールを許し、一気に逆転されてしまう。残り時間の少なさ、相手の勢い、日本選手の消耗度。最悪の流れだった。

同点ゴールが飛び出したのは、ロスタイムも目安の3分が経過した土壇場。足を痛めながらも気迫のプレーを見せる荒川がボックス手前で粘ってFKを獲得。距離は20m強。スミスが妨害行為で警告を受ける騒然とした雰囲気の中、宮間の蹴った速いボールは壁のぎりぎり上を超え、スーッと緩やかな曲線を描いた。解説の川上直子が叫ぶ。横っ跳びのGKも届かない。次の瞬間、ネットが大きく揺れ、ボールはゴールの左隅に突き刺さっていた。

まさに起死回生の、いや奇跡の一撃と言いたくなるゴールだった。日本は断崖絶壁に追い込まれていたのだ。おそらく、あのシュートが枠を外れていたら即試合終了の笛が鳴っていただろう。そしてこの試合の敗北は、日本のグループリーグ突破が絶望的になることを意味したのだ。FKの直前、別人のように悄然とした表情をしていた澤が、試合後に涙を見せたのには驚いた。あの澤が、である。いかに苦しい状況だったかということがよくわかる。

そんな場面で、あの完璧な速さ、完璧なコース、完璧なカーブのシュートを決めた宮間は本当に素晴らしい。元々優れたテクニックを持った選手ではあったけど、あの場面でのあのプレーは、単に技術だけでは片付けられない類のものだろう。最後まで絶対にあきらめない心。「奇跡」を自分たちの力で起こしてみせるという強い強い気持ち。そういう意味でも、僕の見た中では、1985年10月26日以降で最も美しいFKだったようにさえ思う。

いや、またなでしこジャパンに感動させられてしまったよ。参りました(笑)。まだ厳しい状況には違いないが、次もがんばって!!


一方、なかなか世間を満足させられるだけの結果を出せていなかった男子の代表も、欧州遠征第2戦では派手な撃ち合いを制し、見事に強豪スイスを撃破。

前半早々セットプレーで2点を奪われるものの、ハーフタイムでたて直し、松井のドリブル勝負でPKを獲得してまず1点。続いて巻がクロスを豪快に叩き込んで同点。さらに巻が再びDFに競り勝ってまたPK。俊輔が二度目のPKを決めて3-2と逆転に成功した。80分には矢野の淡白なマークからCKを押し込まれて一旦同点とされるも、ロスタイムに山岸のクロスから憲剛のボレーシュート、こぼれ球を矢野が押し込んで決着をつけた。

いやー、オシムの爺さんには怒られるかもしれないが(笑)、とにかく結果が出てよかったよかった。本当の意味でガチな試合ではなかったにせよ、アウェーで欧州チームに1勝1分、おまけに大会も優勝。「これで文句あるか!」という感じである。特にスイス戦は最後まであきらめず攻め続けたのも良かったし、松井のドリブルに象徴されるように「勇気をもって仕掛ける」姿勢が鮮明になったのが嬉しかった。チームの着実な進化が確認できたように思う。

遠征全体としても収穫は大きかった。アジアカップではそれまでの組織に中村俊・高原を加えることができたが、今度は欧州組の稲本・松井をジョイントすることに成功。アジアカップで欠いていたトゥーリオ(お茶目なハンドもあったけど、後半11分のど迫力オーバーラップにはタマげた!)と田中達也も優れた戦力として機能することが再確認できた。おまけに(と言ってはいかんのだが)結果も出すことができた。うむ、実に上出来ではないか。


ということで、満足な一夜だった。今、このエントリーを早朝に書いているわけだが(UPは夜になる予定)、今日の晩にはU22代表の北京五輪最終予選カタール戦もあるんだよな。これほど短期間に3つもの代表戦が重なるのも珍しいのではないだろうか(ついでに言うと、深夜にはラグビーW杯の日本×フィジー戦もあるのだ)。まあ、カタール戦は上に書いた2試合みたいに劇的な展開にならなくてもいいから、とにかく結果が出てくれば良いのだが……。
 

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