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2007年08月28日

●『グラインドハウス』観たぞ~


月曜の午後は、六本木ヒルズのTOHOシネマズで『グラインドハウス』USAバージョン。ご存知クエンティン・タランティーノ&ロバート・ロドリゲスの新作(豪華オマケ付き)だが、ちゃんと本来の2本立てで観られるのは8月いっぱいだけ。これは見逃してはならんと、遅い夏休みをとって駆けつけてみた。平日の昼間ながら、いかにもオタッキーな人々で劇場は半分以上の入り。みんな、学校や仕事はどうしたんだ(って、俺もか)!


まず最初に流れるのは、ロドリゲス監督のフェイク予告編『マチェーテ』。組織に裏切られて瀕死の重傷を負った殺し屋がマチェーテ片手に復讐の殺人鬼と化す、というお話(多分)。全編に漂うハッタリ感が非常に楽しい一作。神父(元殺し屋)がライフル2丁で悪い奴らを殺しまくるわ、超グラマーなお姉さんたちがいちゃつくわ、クライマックスは大爆発をバックにガトリング・ガン撃ちまくり!だわで……つーか、そもそもダニー・トレホが主役って(笑)。

 
続いて1本目の映画がスタート。ロドリゲス監督の『プラネット・テラー』。テキサスの軍事基地で米軍の細菌兵器が漏れ、ゾンビ化した感染者たちが増殖。災厄に出くわした主人公たちは果たして生き残れるか……という「昔のB級映画で絶対こんなのあったよな」という筋立てだが、「ゾンビ」といってもロメロ系の上品なものではなく、グチョグチョゲロゲロの『蔵六の奇病』系。それがウジャウジャいて銃で撃たれてブチブチ潰れて。あー気持ち悪(笑)。

まあ、そんな大画面でのグロ表現も見物なんだけど、それを除いても娯楽作品としてなかなかよく出来ていたように思う。ローズ・マッゴーワンを筆頭とする女優陣のセクシーぶり(ただし、「一番いいシーン」は「リール消失」で見えません(笑))、フレディ・ロドリゲスのキレ味鋭い立ち回り、ステーキ屋の親父と保安官の泣ける兄弟愛、そして希望に満ちた壮大なエンディング。それらが90分に収まっているんだから、そりゃ傑作に決まっているわな。

特に素晴らしかったのは、マーリー・シェルトン演じる、ガーターベルトにズラッと挿した注射器を武器にする女医さんだ。「シャッ!」と注射器を抜いて放って悪い奴をぶっ殺す!これがカッコイイのなんのって!!一方で可哀想な場面もある役柄なんだけど、そこがまたいいんだよな。あと、反対に、ちょっと受け入れられなかったのは、ステーキ屋の犬の悲惨な最期だろうか。あれはないだろう、あれは!そこだけは個人的にちょっと減点。


というところで、またフェイク予告編の時間。まずはロブ・ゾンビ監督の『ナチ親衛隊の狼女』。タイトルからして悶絶もののバカバカしさである。第2次世界大戦中「人狼作戦」(この名称の作戦自体は本当にあったらしい)と称してナチスが狼姿の改造人間を作っていて、それを裏で操っているのが怪人フー・マンチュー(演ずるはニコラス・ケイジ)で……書いてて頭が痛くなってくるな(笑)。ま、あまりにバタバタした印象で、出来としてはイマイチかな。

次にエドガー・ライト監督の『Don't/ドント』。『ヘルハウス』のパロディ調で始まるこの予告編、「地下室を覗いてはいけない…」とか「その扉を開けてはいけない…」といった、「ホラー映画でやってはいけないお約束」が『死霊のはらわた』風のショッキング映像と「Don't!」という叫びとともに繰り返される。その繰り返しがあまりにしつこくて、しまいにゃ「息もしてはいけない…」なんてナレーションが流れたもんだから思わず噴き出してしまった。

最後にイーライ・ロス監督の『感謝祭』。これは『ハロウィン』みたいな「記念日もの」ホラーのパロディ。70年代風の画面の中、不純異性交遊をする高校生やパレードの道化らが次々殺されていく。さすがに『ホステル』の監督らしくやりすぎ描写が満載で、あまりにやり過ぎているので不気味さが可笑しみに転じてしまう。刑事が指先の血をぺロッとなめて「……血だ」と呟くシーンは場内大ウケだった。みんな、町山さんのポッドキャストで予習してきたな(笑)。


そしていよいよ映画2本目、タランティーノ監督の『デス・プルーフ』。落ちぶれたスタントマンのマイク(なんとカート・ラッセル!)が女の子たちをストーカーしては自慢のモンスターカーでクラッシュしてぶっ殺すという、これまたストーリー的にはミもフタもない映画。女の子のたわいもないトークが延々続いたり、舐めるような脚のアップ撮りがあったり、ラッセル兄貴がかなりイタいオジサンだったりと、まあタランティーノらしくタラタラした映画なんだが……。

これ、もしかしてタランティーノの最高傑作なんじゃないの?

ダラダラと果てしなく続く女の子たちのおしゃべりのシーンから一転、終盤訪れるノーCGカーチェイスシーン。この両極端なパートのコントラストこそが、この作品をTVドラマや大量生産品とは一線を画する「映画」にしているように思える。田舎のボコボコ道を疾走し、激しくぶつかり合う2台の車。ボンネットの上にしがみつき、あわやという場面を際どく耐えるゾーイ・ベル。その迫力たるや、「映画を観てこれほど胸が躍ったのは久しぶりだ!」と思ったほど。

そして、一方的にヤラれるばかりだった女の子たちが反撃に立ち上がり、その強さと美しさをいかんなく見せつけ、ついに変態カート・ラッセルをやっつけてしまうラストの爽快さはどう表現したらよいのだろう。クールというか、エキサイティングというか、ビューティフォーというか。人を食った「The End」の出るタイミングといい、まったくもって最高であった。こんな映画なかなかないよ!というか、早くも今年のマイベスト1は決定である。


まあ、そんな感じで『グラインドハウス』、グロい表現や変態カメラワークに耐えられない人(は結構多そうだな(笑))を除いては、超お薦めの「見せ物」である。ここには長々と書いたけれども、結局映画なんてのは「百聞は一見にしかず」。盛りだくさんのUSAバージョンはあと3日間しか観られない(9月以降の単体上映だとフェイク予告編がほとんど入ってないらしい)。とにかくみんな、今すぐ六本木ヒルズへ走れ!走れ!!
 

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コメント

観てきましたグラインドハウスぅ~
ネタてんこ盛りでおなかいっぱいです。
「息もしてはいけない…」
「血だ・・・」
「両極端なパートのコントラスト」
「「The End」の出るタイミング」
あたりは私もツボでした!!
きっとファイク予告編の本編があったら
予告編でやった以上のことは起こらない
スカスカ映画だったりするんだろうなぁ~
それがまたたまらないのですが。。。

本当にUSAバージョンで観といた方が
良いですよね!!

でしょ。面白かったでしょ~。お腹いっぱいになりますよね、あれだけ密度もボリュームもあれば。

>本当にUSAバージョンで観といた方が良いですよね!!
そのとおり!残りあと2日です!!

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