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2007年08月23日

●最低限の結果 (サッカー北京五輪予選 日本×ベトナム)


昨日の夜、国立競技場のコンコースで「10番」山瀬の芸術的なミドルシュートを見届けてから、サッカー北京五輪最終予選。U22日本 1-0 U22ベトナム。調整の遅れや監督解任の噂(どうせ協会の「お偉いさん」のリークだろうが)が囁かれるなど、様々な不安要素を抱えたままついに最終予選を迎えたU22日本代表。大事な初戦は、終始試合を優位に進めながらも最後の詰めを欠き、セットプレーによる1点どまりの辛勝。不安が増すような内容だった。


序盤から、試合のほとんどはベトナム陣で進んだ。ベトナムはおそらく勝点1狙いだったのだろう、FW1人を前線に残して後はあまり前に出てこず、自陣で守りを固める態勢。ボールを奪ってもレ・コン・ビンを軸に散発的なカウンターを見せるのみ。これに対して日本はパスを回しながら主にサイドからの突破を狙う。平山は積極的にシュートを狙い、水野のドリブルはキレ、スタメンに「抜擢」された柏木の精力的な走り込みも目立った。

しかし、やはりというか、なかなか点が入らない。初戦の緊張もあるのか全体の動きはやや重く、ボールを完全に支配しながらも攻めあぐむ雰囲気が漂う。ベトナムの守備も健闘。中盤ではバランスの良い布陣からチェックをかけ、ペナルティボックス内での粘りやこぼれ球に対するカバーリングにも見るべきものがあった。結局、日本がようやく先制したのはロスタイムになってから。柏木のCKを青山が頭で叩き込んでゲット。1-0で折り返し。


後半も立ち上がりから完全な日本ペース。水野が右サイドから何度もクロスを入れるが、ゴール前へ走り込む人数は少なめで、平山には届かずDFにはね返される場面が続いた。正直、相手の攻めにはほとんど脅威を感じないのだからもう少し思い切って攻めに人数をかけてもいいと思ったが……落ち着いているのか何なのか、日本の攻撃ペースは変わらないまま。惜しい場面も何度かあるものの、GKの好プレーと平山のシュートの甘さで逸機。

残り15分をきったところでようやく家長と岡崎の投入。それまで右に偏っていたサイド攻撃が左からも見られるようになり、岡崎の飛び込む動きは可能性を感じさせた。だが、いかにも時間が少なかった……。結局、最後まで日本が追加点を奪うことはできず。逆に終了間際にはベトナムのFKをGK山本がようやく押さえる場面も。終了のホイッスルが鳴った瞬間、スタンドには勝点3を奪った喜びよりも1得点にとどまった残念さが満ちていた。



アジアカップでもベトナムは想像以上にいいチームだったし、その時のメンバーの多くが入っている今回は侮りがたい相手だったのかもしれない。しかし、それにしても今後に不安を残すようなU22日本代表の戦いぶりではあった。内容だけではなく、今後の展開を考えても、ここでは勝点3に加えてそれなりの得点差という結果がほしかったのだが。最終予選6試合の中では、今回が最もいい条件の試合だったはずなのだ。

一言で言って、日本にはダイナミズムが欠如していた。多くの選手が変に自分のポジションを守って中途半端な距離感を保ってしまい、互いに孤立した状態にあった。また、いい動き出しを見せた味方がいてもそこにパスが出ず、次第に出足も鈍っていって……。平山も、水野も、よく動き回っていた柏木でさえも、1人でもがく場面が多かったように思う。梶山は浮きまくってたし、本田圭なんてどこにいるのかわからないくらいだった。

初戦だけに緊張と慎重さが勝ってしまったのか、それとも局面における共通意識が足りないのか。後者だとしたら、今更ながら事態は深刻である。日本には、「1人でできる」ドリブラーやストライカーはいないのだ。もっと「ここぞ」という場面でのフォローやフリーランニング、パス出しを思い切ってやらないと、アジア相手でも得点を奪うことは難しい。かといって守備が盤石というわけでもない。このままでは、山本ジャパンの二の舞ではないか。

まあ、まだ初戦だからあまり悲観的になってはいかんのかもしれんけど……活性化の駒として安田あたりの登場が必要になってくるのかな。そういう意味では、岡崎あたりにも期待をしたいところではある。家長も早めに使ってほしい。選手の入れ替えや交代はお早めに、ってか。

次はアウェイのサウジアラビア戦か。いきなり正念場じゃん!!

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