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2007年07月26日

●「良薬口に苦し」としなければ ('07アジアカップ準決勝 日本×サウジアラビア)

昨晩は、NHK-BSでアジアカップ準決勝。日本 2-3 サウジアラビア。オーストラリアとの激戦を制していよいよ3連覇が見えてきた日本だったが、前戦の反動か蓄積した疲労のせいかそれとも昨秋よりレベルアップした相手に面食らったか、実に冴えない戦いぶり。2度のビハインドをいずれも追いつくしぶとさは見せたものの最後は個人技で突き放され、終盤のパワープレイも実らずジ・エンド。「なんだかなあ」という結末だった。


前半の日本はひどかった。57%(20分までは70%超)のボール支配率でシュートはわずか3本(35分まで1本)。この数字が象徴している通り、パスはそれなりに回っていたものの、崩しのアイデアとチャレンジする姿勢に全く欠けていた。ボールは横方向に動いては空しく失われ続ける。で、貴重な「日本の時間」を無駄にしているうちに連戦の疲労からか中盤の足が止まり、サウジの出足よい守備に攻撃を組み立てられなくなっていった。

一方、サウジは昨秋日本にボコ負けした時とは異なり、前線からの精力的なプレスが目立った。攻撃にかける人数は相変わらず少ないものの前へ出る圧力は強い。また、日本の弱点もよく研究した様子。攻撃では駒野の裏を狙い、守備では遠藤や鈴木啓太の横パスを狙う。また、ダブル中村やSBのクロスに備えてボックス前に「拾い要員」を残すことも徹底されていた。この試合に勝つために最善を尽くしていたのは、間違いなくサウジの方だ。

日本がこぼれ球を拾えなくなりサウジへペースが移った35分にFKから失点。すぐさまCKで中澤の同点ヘッダー炸裂、そこから一進一退となったものの、47分に左サイドの鈍重な守備からのクロスをFWマレクに決められて1-2。今度も数分後にCKのこぼれ球を阿部がオーバーヘッドで叩き込んだのだが、57分にマレクが個人技で中澤・阿部をまとめてかわして見事なシュートを決め、2-3。結局、そのまま最後までスコアは動かなかった。


笑った、いや腹が立ったのは、2回目のリードを許してから急に日本の選手たちの動きに懸命さが見えたこと。出足もフォローもボールの動きも大幅にスピードアップ。いや、もちろん同点とビハインドでプレーの強度が違ってくるのはわかるんだけど(暑くて疲れている中だし)、あまりに落差が大きすぎて……思わず「それ、もっと早くやっとけよ!」と叫んだのは僕だけではあるまい。特に遠藤の猛ダッシュは、いくら何でも「おいおい」である。

こういう大きな大会の決勝ラウンドは1点勝負になるのが普通であって、そりゃあビハインドになれば苦しいに決まっているし、同点にしただけでもホッとしてしまうものだ。だからこそ、主導権をとれていた序盤にほとんどシュートも撃たなかったツケが最後まで響いてしまったように思う。途中出場の羽生がバー直撃のミドルシュートを撃ってから、急にみんなミドルを撃ちだしたのも「なんだかなあ」。俊輔から周りに「もっと撃て!」とか指示できないのかね。

とにかく、「これが日本のサッカーじゃない!もっとできるはずだろ!!」と夜空に叫びたい90分であった。


さて、早いけれども総括めいたことを。

この大会の成果としては、まずベスト4まで行ったことでオシム爺さんの監督の座はあと3年大丈夫そうだということだろうか(笑)。「3連覇」とわめき立てていたマスコミは雑音を発し続けるかもしれないけども……。あと、俊輔や中澤、高原といった昨年はチームに入っていなかった選手、そして能活も含めた「3年後も大丈夫そうなベテラン」が大いに存在感を発揮できたのも、チームに芯を通すという意味で大きかったのではなかろうか。

一方課題としては、上の成果の裏返しではあるが、中堅選手の経験不足が見えたような気がする。阿部、憲剛、駒野、鈴木啓太(ジェフ組については執拗に叩く「サポティスタ」も、不調の啓太の起用についてはスルーか?)……ここら辺は若手を抜擢せず一戦必勝主義だったジーコ時代の負の側面もあるのかもしれない。また、チーム全体の試合運びの下手さという点からすれば、「リーダー不在」とも言えるかも。出でよ、次の名波!!

個人的には、慎重すぎるほどの試合運びにやや違和感を抱いたのも事実。前も書いたけど「日本代表の遠藤化」が進んでいるんじゃないか、という(笑)。相手の穴を探さずにキックアンドラッシュは(特定の状況を除いて)御免こうむりたいし、キツい条件であればあるほど省エネや「支配」そのものの追求が必要になるのはわかるんだけど、得意な形やテンポにこだわりすぎて時機を失しては意味がない。と思うんだがなあ。

少なくとも、サウジ戦の敗北については「良い薬」にしなければ。


しかし、これで当分の間日本代表が「まっとうな」タイトルマッチに参加することができなくなってしまうのだからなかなかツラい。コンフェデ杯の出場権もとれなかったし、キリンカップじゃ、ねえ(笑)。W杯予選は第一義的には「勝ち抜くため」の戦いである。となると、A代表として目指すのは南アフリカW杯本大会での内容と結果ということになるのか。うーむ、ちょっと気の長い話だ。もちろん、じっくりやれること自体は悪いことではないのかもしれんが。

[追記]
負けたショックで、3位決定戦があることを忘れてた(笑)。
 

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コメント

こんにちは。いつも楽しみに読んでます。

>「まっとうな」タイトルマッチに参加することができなくなってしまうのだからなかなかツラい。

ここ、同感ですね。CONCACAFゴールドカップあたりにゲストでねじ込んでくれませんかね。本当はコパ・アメリカがベストなのですが、なにせあの大会は次にいつ何処でやるかよく分からない大会なので(笑)。

こんにちはー。

コパ・アメリカはいいですよね。ただ、前の時にトルシエの1年目で「やっちゃった」ので、また呼んでもらえるかどうか。

個人的には、日本にとってはコンフェデに出られるかどうかはけっこう大きいと思っていて、そういう意味でもホント今回の敗戦は悔しいですね。

協会、オシムのチームをちゃんとサポートせいよ!という雰囲気にファンもしていかないといけないんだろうな。

まあ、想定内の結果ですね(古っ?!)

で、
気になること①→控えが不甲斐無い。FWなんかはやっぱり海外でもまれないと育たないのか・・・。経験とハート、なんすかね。

んで、
気になること②→阿部くんは頑張ってる。だが本当にセンターバックでいいのか。彼はマルケスになれるのか。てか、おじいちゃんの御眼がねに適うごっついかつお利口なDFはいないんか。

んま、
気になること③→能活はサウジ戦、電池切れてたのかなぁ。CKの目測誤るシーンもあったし。

おおおぉ、
ゴメンなこと①→高原!オレお前大嫌いだったけど、最近カッコいいぞ!髪型はとうもろこしみたいでイケてないけど、そのほうが調子いいんじゃそれでいいぞ。今まで「要らん!」言いまくってゴメンな。

でも、強いよね日本。サウジよりは強い。で、まだまだ強くなりそう。今回の負けは間違いなく良薬。おじいちゃんにとってもね。マジの国際戦のマジ負けって初めてだし、診れたことたくさんある。おじいちゃん、この処方された薬どう消化するんか楽しみ。

次は韓国戦、3位決定戦だけどこれは特別な試合ですな。国民性がうずきます。

>控えが不甲斐無い。
そこは安心しろ。今にFC東京の24番がスーパーサブとして出てくるから。……3年前にも「今に東京の11番が出てくるから」とか言ってたような気もするが(笑)。

>阿部くんは頑張ってる。だが本当にセンターバックでいいのか。
確かに。本職CBではないよね。CB調とボランチ調と両方こなせて3バックと4バックの切り替えとかには便利な選手だけど、今回みたいに4バック固定なら微妙かも。

>でも、強いよね日本。サウジよりは強い。で、まだまだ強くなりそう。
そう。まだまだこのチームには伸びしろがある……とこの1年観てたらフツーはそう思うだろうと思うんだけど、たった1回負けただけでテレビカメラに向かって「監督替えろ!」とかわめく馬鹿たれがいるらしいので閉口する。8チャンネルの朝のカツラ親父らしいけど。

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