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2007年03月15日

●今年は春から藤山が元気だ


東京ファンなら周知の通り、今シーズンの藤山竜仁は目覚しい好調ぶりである。シーズン直前のヴェルディとの練習試合では右SBで途中出場、アタッカーをショルダーチャージで吹っ飛ばし、機を見た上がりで好クロスをゴール前に入れるなど随所で体調の良さを発揮。リーグ開幕の広島戦でも立て続けに3失点を重ねた前半途中で投入され、ベテランらしい落ち着いた守備で崩壊寸前のチームを踏みとどまらせた。

そして先日の大宮戦。僕はバックスタンドで名古屋在住フットボール賢人森末潤一さんと一緒に観ていたのだが、森末さんがしきりと藤山の守備に感心しきりなのを見て、我が意を得たりの思いでとても嬉しかった。そうなんですよ。昨年は苦労した時期もあったけど、調子を取り戻した藤山は東京自慢の好DFなんですよ、という。結局この試合、藤山と今野の活躍によって(と言っていいだろう)東京は今季初完封初勝利を飾った。

守備者としての藤山の素晴らしいところは、なんと言ってもその読みと出足の鋭さだ。走りこむアタッカーの進路とパッサーの意図を読みきり、グラウンダーのパスが通るか、という瞬間にサッと前へ出てかっさらってしまう。そして、時にはそのまま一気に敵陣まで持ち上がって観客をドッと沸かせる。こうした光景は僕たちが何度となく目にしているもの。フィジカルに物を言わせるのではなく、判断と直感を研ぎ澄ませて「機先を制す」守備こそが藤山の真骨頂である。

加えて、彼は勤勉だ。背は小さく、足もさほど速くない自らの欠点をよくわかっているのだろう、ピッチ上の状況に常に気を配り、相手チームの攻撃が形になる前に「次の次」まで読んで行動を起こす。ポジションの調整は他の誰よりも細やかだ。こうした事は、すぐにやろうと思ってもできるわけではない。それは現在、藤山の隣で潜在能力を持て余している感のある徳永を見ればよくわかる。長年の精進の積み重ねこそが藤山の強みを生み出しているのである。


思えば、僕がFC東京を熱心に応援し始めた99年、藤山は既にアマラオとともにチーム最古参の選手であり、不動の左SBだった。当時も時に反応の良い守備を見せてはいたものの、どちらかと言えばその後の持ち上がりやオーバーラップしての派手な攻撃参加が売り物で、勝ち試合の後には「ふじやまーにっぽん!」なんてコールがゴール裏からも起こったりしていた。

しかし、J1に昇格し、01年までは不動のレギュラーだった藤山も徐々に控えに回ることが多くなり、03年以降は金沢が正左SBの位置に収まっている。前に出てのパスカットに強みを見せるものの、後方へのロングボールやアタッカーとの半身での一対一では脆い藤山の守備はJ1レベルでは物足りないものだった。また、得意のはずだった攻撃参加も回数自体が減り、クロスの精度など問題が目に付くようになっていた。

そんな藤山を再生させたのが04年以降のセンターバックとしての起用。はじめはジャーンの怪我による緊急避難に過ぎなかった「CB藤山」だが、無理に攻撃参加せずにすみ、ラインを過剰に上げないチーム守備戦術のおかげで「前向きの守備」に集中できるこのポジションは、意外なほど彼の適性にピタリとはまった。同年秋にはナビスコ杯決勝でジャーン退場の苦境を救い、チームに初タイトルまでもたらす。このコンバートは原監督の大ヒットだった。

もちろん、空中戦においては時に致命傷となる背の低さはいかんともし難く、また相手アタッカーの特性によってはSBの方がハマることがあるのも事実である。だが、最近ではSBに入った時も以前に比べて守備が安定しているように見えるのは気のせいだろうか?彼は確実にDFとして成長している。もしかしたら、原さんが今年徳永のCB起用を試しているのも、藤山の成功例が念頭にあるのかもしれない。

そんなこんなで「再生」した藤山は、05年度以降も主にCB、時にSB、つまりは貴重な守備のユーティリティープレーヤーとしてチームを支えてきた。昨年は監督交代によって前半戦は使われず、コンスタントに起用された後半戦も失点につながるミスが目立つなど苦戦したが、一方で国立のセレッソ戦で見事J1初ゴールを挙げるなど、時折印象的なプレーを見せてくれた。そして迎えた今季。


J2時代「アマラオと並んで最古参」だった選手の元気な姿を未だに見られるだけでもファンとしては感涙物なのに、これまで以上の活躍を見せてくれて、加えて茂庭や新外国人エヴァウドが怪我で出遅れているチーム事情もある。期待するなという方が無理というものである。今年は、他の誰にも増して藤山のプレーを目一杯楽しもうと思う。若い力が次々に台頭するFC東京の中で「ガス時代」を知る選手がますます輝いていく。なんと楽しいことではないか。

……な~んて書いたりすると、とたんに次の試合で大ポカかましそうな気もしてきたな(笑)。まあ、とにかく、とことんやれるまでやってくれ、と思う。今よりも、さらに高みに上っていく藤山が見たい。がんばれ!!

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コメント

藤山、だいすきです。
そこに居てくれるだけで、とても安心します。
今年は文さんもいないし(泣)チームもどんどん若くなっていく中、教育担当としても頑張ってほしいなあ…と思いマス☆

藤山日本 たのしみですね

>チームもどんどん若くなっていく中、教育担当としても
原さんが若手を抜擢するんだけど、藤山が「まだ早い!」と格の違いを見せつけて、んで若手も精進して成長して再び挑み、藤山もまた受けて立つ……という好循環(?)になればいいですね。

>藤山日本
オシム、一回くらい呼んでくれないかな(笑)。いや、冗談抜きであのパスカットからの持ち上がりの雰囲気なんて、オシムジャパンっぽいような気がしないでもないような気がしないでもない。

藤山は今でもチーム№1の俊足では?

>いれぶんさん
こんにちは。
そうですか、藤山はチームでは一番足が速いんですか!どうも「動き出しはピカイチ」だけど「スピード自体はそんなでもない」という先入観があったものですから。藤山に謝らなくちゃいけないかな(笑)。

 はじめて書き込みさせていただきます。
藤山ほんとにすごいですよ。今、キレキレですね。若手の活躍もうれしいですが、ガス時代からの選手が活躍するっていうのはもっとうれしく感じます。
1チームで15年もすごしていることに脱帽ですし、ミランのマルディーニのような存在になってもらいたい、というか観る側はもうちょい藤山の歴史の偉大さを知ってもいいんではないかと思ったりもしますね。

フミさん引退グッズ、土肥ちゃん連続試合出場グッズがあるんだから、「藤山東京15年在籍グッズ」を作ってもいいだろうかとも思いますwww。


がんばれ、ミスター東京

祝、藤山特集~。

藤山には、そろそろオリジナル応援歌を用意するとか、観念してミスター東京と呼ぶか、彼の功績を称えて何かして欲しいものです。

ここ1、2年の彼のコメントを聞くと胸が詰まる思いです。ベテランはチャンスが来たら1試合で結果を出さないと次はないから~と、毎回張り詰めている様子です。
長くチームを支えてきた功労者にそんな思いさせるなよ、、、と単純に思ってしまいますが、それに加え、プロの世界の厳しさが感じられるときでもあります。
藤山の調子がイイのは、1日1日、後がない思いで集中しているからだと思います。

今年は、若手に経験を積ませるとか、そんな余裕はないはずですので、若手だろうとベテランだろうと、結果主義で決めてほしいものです。

がんばれミスター東京。

いやあ、藤山ネタは反響が大きいですね(笑)。

>もうちょい藤山の歴史の偉大さを知ってもいいんではないかと
そうですね。何しろ、藤山の歴史(の特に後半)はまんまそのまんまFC東京の歴史でもあるわけですからね。彼のプレーヤーとしての成長とチームの成長を重ね合わせてもいいかも。

>「藤山東京15年在籍グッズ」
東京ガス時代の復刻ユニとか。

>オリジナル応援歌
そういや、彼の応援歌ってないですね。15年もいるのに!!まあ、空気みたいな「あって当たり前」の(だからこそ大事な)存在とも言えますが。

>1日1日、後がない思いで集中
同感です。危機感こそが、彼の成長を促しているように思えます。

つーか、藤山が「ミスター東京」ってのはもうデフォルトですか(笑)?

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