●ラウール１人ぼっち
一昨日、昨日と、早送りなどを駆使して駆け足ではあったが、欧州チャンピオンズリーグベスト１６の２ｎｄレグを楽しんだ。
僕のひいきチームの中ではチェルシーとマンチェスター・Ｕが順当に勝ち抜け、あまり応援していない有力所ではアーセナルとバルセロナが敗退。バルサの脱落については、今季の不調ぶりとリバプールというチームの特質（不思議な存在だよね）を考えれば納得。インテルは……まあインテルだから（笑）。意外だったのは、リヨンがローマにやられたことかな。
残念だったのは、中村俊輔が所属するセルティックと、なんだかんだ言って嫌いになれないレアル・マドリードが敗れたこと。まあ、セルティックの方は延長戦まで行ったからＡＣミラン相手にむしろ健闘した部類かもしれないけど、マドリーの方は……なんというか、観ていて悲しくなる試合だった。相手がバイエルン・ミュンヘンでしかもアウェイとはいえ、内容があまりにお粗末だったのである。
この試合のマドリーはひどかった。守っては開始０分であっさり先制を許し、その後もたびたび単純なスルーパスから突破を許す。攻めてもコンビはなくろくにパスをつなげず、前線めがけて可能性の低いロングボールを蹴りこむばかり。全体的に集中力の欠如とボールへの寄せが遅さが目立つ、というより寄せることすらしないボールウォッチャーが何人も。「これが本当にレアル・マドリードか？」と目を疑いたくなる光景だった。
僕は今季のリーガ・エスパニョーラをほとんど観ていないため、この試合の低調さが今季のマドリー全体を象徴しているか判断するのは難しい。でも、これまで目にした「ホームで１点取るのにも一苦労」「スタンドには監督解任を求める白いハンカチが」といった記事を思い返すと、おそらくそうなのだろう。「銀河系軍団」として何年もやってきたチームに鬼軍曹・カペッロは合わないのか。チーム作りに時間をかけられないレアルであればなおさら……。
絶望的な状況の中で奮闘を見せたのは、キャプテンのラウール。本来ＦＷだが、後方の味方が自信を無くしてバラバラになったと見るや中盤から時にはＤＦラインまで後退。守備では体を張って相手を止め、攻撃では右に左にさばいて惜しみない運動量で駆け上がり、崩壊寸前のチームをかろうじて支えた。その献身的な姿は感動的だったが、しかしラウール１人にかかる負担はあまりにも大きい。ロナウド加入以後彼が点を取れなくなった理由がよくわかるよな。
「全部が全部駄目」ならばまだあきらめもつく。だけど、全体的に低調な中で頑張っている少数の選手がいて、しかし周りが能力的、あるいは意識的にそれについていかずチームが完敗を喫してしまい、頑張った選手も結局報われないのはあまりにも哀しい。ラウールは昔から好きな選手だから特に……何とか助けてやれないものだろうか、とさえ思う。他のユニフォームを着ている彼の姿を見るのは、それはそれで寂しくなるけれども。
