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2007年03月11日

●藤山師匠、福西先生、そして今野大明神 (大宮アルディージャ×FC東京)


昨日の午後、さいたまスタジアム2002でJ1第2節。大宮アルディージャ 0-2 FC東京。ともにチームとしての完成度の低さが散見される内容だったが、相手のミスを逃さず得点に結びつけた東京が、ベテランの活躍もあって勝点3を獲得。今季初勝利初完封、そして敗れた開幕戦に続くアウェイ戦を(得失点差が±0となる)2点差でものにしたことなど、気分は「プラマイゼロまで戻したぞ」といったところか。



立ち上がり優位に立ったのは東京。発熱のルーカスに代わって規郎が先発、布陣的には前節の「左肩上がり」から左右均等に近い4-5-1に。明確に左サイドとしての特性と役割意識を持った規郎に加え、金沢が外寄りに位置することで左の守備は強化。薄くなりがちな中は、今野が小林大悟のマークと5枚目のDF役を一手に引き受ける。とりあえず「穴は埋まった」。トップ下は栗澤で、自然と両ウイング個人の突破力を生かした攻撃に。

対する大宮もエニウトンがトップに張る4-5-1の布陣。楔のパスから左右に展開、と行きたいのだろうが、パスの精度の低さとフォローの遅れでなかなかチャンスを作れない。後方のパス回しも危なっかしい限り。11分、FKのクリアをハーフウェー付近から藤山が頭で大きく前へ。平山が落とし、前線に残っていた福西がボレーで狙うも枠外。14分、敵陣で奪って石川→栗澤→福西と横パスでつなぎ、福西がボックスへ突入してシュート、GK荒谷が好セーブ。

しかし、15分を過ぎる頃になると東京のプレスも一段落、大宮のパスが回るように。16分、アーリークロスに走り込むエニウトンが徳永を振り切るも、土肥が体を張って防ぐ。20分、ボックス左のFKを藤本が直接狙い、土肥がパンチでクリア。そこから波状攻撃になり、右に回った橋本の左足クロスをDFの間でフリーになった藤本が体をひねってヘディングシュート、これも土肥が防ぐ。ここら辺、どうも徳永のマークがユルすぎる。

いや~な感じになってきたところで東京に先制点。27分、敵陣でボールを奪い、規郎の反転スルーパスから石川がボックスへ突入、クロスはDFにブロックされたものの、左からのCKをファーサイドで今野がジャンプ一番ヘディングシュート!ゴール上辺ギリギリに飛んだボールはバーに当たってラインの向こう側へ。つーか、よりによって今野にマークをあっさり外されてしまうなんて……大宮さん、それは軽率すぎますよ。

自分を見失ってた感じの東京もこれでペースを取り戻した。30分、左サイドに回った栗澤がクロス、DFと競りながら平山が放ったヘッダーはポストのわずか左。32分、東京陣のバイタルエリアで大宮がパスをつなぐやや危うい場面、今野がブルドーザーのような勢いでボールを奪い、たまらずファウルで止めた小林慶が警告を受ける。34分、福西のおしゃれヒール(笑)でDFの裏にでた金沢が狙いすましたクロスを入れるも、平山のヘッダーは枠外。

東京の守備も決して万全ではなく、今野が引き気味な分、中盤で奪われて2~3本のパスでボックス付近まで運ばれる場面も何度か。ただ、大抵は「これが通ると危ない」というところで藤山師匠がうっとりするような(笑)パスカット。39分、石川が自陣でボールを失って波戸がクロス、フリーのエニウトンが振り向きざまに頭で狙うが土肥キャッチ。42分、クロスがDFとGKの間を抜けたところに橋本が飛び込むも土肥がまたセーブ。東京リードのまま後半に突入した。


ハーフタイム明けは前半終了間際の勢いそのままに、大宮が積極的に攻撃。佐伯や小林慶も前に出て東京は押し込まれ、自陣でパスミスからボールを奪われるなどやや苦しい時間となる。48分、ボックス外やや右のFK、右隅を狙った橋本の左足シュートは土肥の横っ跳びも届かず、「決まったか…」と思った瞬間に右のポストに当たり、さらに左のポストにも当たってゴールの外へ。あっぶね~~(笑)!!

直後、栗澤が思い切って撃ったロングシュート、これが曲がって枠へ飛び、荒谷は辛うじてCKに逃れる。相手の勢いを削ぐような、栗澤らしい好判断だった。そのCKはニアで平山がDFと競りながらダイビングヘッド、GK動けずもポスト右を抜ける。どうして枠に飛ばん……。53分、大宮が左から右へ大きな展開、飛び出した藤本が切り返しで藤山をかわして土肥と一対一、になりかけたところで戻ってきた藤山がスライディングタックル!さすがだ。

試合の主導権をどちらが掴むか難しい時間帯だったが、2点目は意外な形で入る。57分、平山がゴールライン際で粘ってCK獲得。やり直しのCKをDFが小さくクリア、ボックス内でトラップした藤本に石川が寄せ、藤本が慌てて後ろに戻したボールがなんと残っていた福西の足下へ。角度のないところからズドン!と撃ったシュートが逆サイドネットに刺さってゴール。福西が抜け目ないというべきか、大宮がマヌケというべきか。ゴール裏から「福西東京!」コール。

これで大勢は決した。落ち着いた東京は自陣に強固な守備ブロックを形成、大宮はろくにパスをつなげず、後ろでアテもなくパスを回したり中途半端なパスを今野が出足よくカットして持ち上がり、そのままシュートに持ち込む場面も。63分、CKから今野のヘッダーがバーを叩く。大宮はエニウトンと佐伯に代えて若林と吉原を投入、小林大悟を後ろ目に下げる。まあ、佐伯の頼りなさからして、中盤を立て直すにはそうするしかなかったのだろう。

21分、左サイド懸命の切り返しから橋本が好クロス、若林がDFからから頭2つほど出てヘディングするもバーの上。大ビジョンのリプレイで見ると、競るのを早々にあきらめた藤山が微妙に体を当てて邪魔しているのがよくわかった。24分、相手CKの場面で石川OUT川口IN。CKをキャッチした土肥の鋭いパントに反応して川口がDF2人の間を抜けるが、荒谷が思い切りよく飛び出してクリア。シンプルだが、とてもかっちょいい攻撃だ。

東京は福西・平山OUTで梶山・ワンチョペIN。ワンチョペは……周りと合っていない、というか周りが全然合わせようとせず、前線で孤立。一方、大宮もパワープレイを織り交ぜながら懸命に攻めるのだが、分厚い防御を突き通せず。ロスタイム、ゴール正面でこぼれ球を拾った小林大がシュート、土肥が鋭い反応で止め、浮いたボールを藤本がヒールで押し込もうとするも土肥が今度はキャッチ。東京ファン、やんやの喝采。そのまま2-0で試合終了となった。



大宮は前節ガンバ相手に大健闘したと聞いて警戒していたのだが……「ホンマかいな」と言いたくなるような出来だった。各選手はそれなりに健闘しているものの、チーム全体としてのフォームを身に付けようとするのに手一杯で、グループ戦術が全然熟成していない感じ。そんなに個々の能力が高くとは言えないチームだけに、バラバラで戦っては各個撃破されるだけなのだが。まだ「守るだけ」に集中すればなんとか、というレベルなのかな。

東京の方も、あまり良い出来ではなかったように思う。広島戦で露呈した弱点をとりあえず修正してきたこと、アウェイで勝点3を取ったことは良かった。ただ、今野が下がった時のビルドアップの脆さ(結果としてのドカ蹴り)、攻撃がコンセプト通りに機能してないことなどは不安材料。特に攻撃面は、両サイドの奮闘に関わらず、結局ルーカスと両ボランチの個人能力頼みになってしまっている感じ。今のところはセットプレーで取れれば「まあいっか」か(笑)。

もっとも、茂庭に梶山に憂太に新外国人2人にルーカスまでもがフルに使えない状況であってもそれなりのメンバーが組めるのだから、やはり層が厚くなったことは実感。この後の戦い方、どうするんだろうね。やり慣れた4-5-1だと使える選手が限られてくるし、一方で五輪予選に選手をとられて思うように試せない現実もあるし。僕としては2トップで平山や赤嶺を生かしてほしいけど……ちょっと「競争以前」の状況もありそう。

個々の選手では、まず藤山が素晴らしかった。相手の攻撃経路の読み、細めにポジションを調整するマメさ、そして出足の鋭さ。徳永あたりには見習ってほしいところである。また、福西については、「走ってナンボの選手」とは対極にあることを再確認。チャンスに絡んだのも帰陣をノンビリやって残ってた場面だったし(笑)。こういう選手も必要なのだ。あと、体調の戻った今野は「大黒柱」どころか「大明神」と呼びたくなる存在感。キャプテンマーク、似合ってくるか。

まあ、なんにせよ、勝つというのは良いことだ。
 
 
 
……ところで、「純血東京!!」コールはちょっとマズいんじゃないのかね。

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コメント

“純潔”と思っときましょ。

>……ところで、「純血東京!!」コールはちょっとマズいんじゃないのかね。

1)あのコールをするときはみんなで白頭巾被らなきゃいかん(例:2001最終戦)
2)あのコールをするときはスタメン全員ユース上がりでなきゃいかん

どちらの理由ですか?

>kaz1568さん
横レス失礼しますが、そんな能天気な理由じゃないですよ。

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