« 「りっくんランド」へ行ってきたよ!! | メイン | 東芝×トヨタ自動車 ('07ラグビー日本選手権決勝) »

2007年02月26日

●「天気晴朗なれども波高し」 (練習試合「ダービー」テレビ観戦)

昨日の午後は秩父宮ラグビー場にいたので、味スタのデルビー練習試合はMXテレビの中継(ってのもスゴいな、練習試合で)を録画して観た。FC東京 1-1 東京ヴェルディ1969


東京はワンチョペをトップに置いて両サイドに石川・川口を配した4-5-1でスタート。この布陣を見た時点でだいたい予想はついたのだが、まず試みたのは第1次原政権とほぼ同じコンセプトのサッカーだった。前目からの攻撃的守備でボールを狩り、早めにサイドへ送って速攻を狙う……。序盤はヴェルディが細かいパス回しにより東京の守備をかいくぐることでチャンスを作ったが、藤山や徳永の寄せで大事に至らず。

前半の半ばに差しかかるあたりから、東京の攻めがヴェルディを圧倒し始める。攻撃の軸になったのは森村と福西。トップ下起用の森村は正確なボールさばきを見せ、時折トリッキーなパスも織り交ぜてチャンスメーク。福西はDFライン周辺や中盤のパス回しを落ち着かせる一方でタイミング良い上がりにより攻撃にアクセントをつけるなど、いきなり大黒柱級の働き。この2人に関しては期待通り(期待以上?)の活躍と言っていいだろう。

期待はずれだったのはワンチョペである。シュートに持ち込めるチャンスは何度もあったのに一度もミートできず。特に、森村の浮き球でGKを抜いた場面は決めてほしかった。まだJのテンポに慣れていないせいもあるだろうが、本人だけの問題ではなく、本人が結構周りを気にしている割に周りが彼に合わせようとしていないようにも見えた。前半終了間際に福西のクリアを相手FWがブロックしてそのままゴール、0-1でハーフタイムへ。


後半、東京は福西に代えて浅利を入れ、川口と石川を入れ替えるなど「色々お試しモード」に突入。石川、左サイドの方が向いてるんじゃないか(笑)。いや、冗談抜きで。結局行き詰まって強引プレーに走る右よりも、周りとのコンビを使ったりスペースを意識したりする意識が強くなっていいかもしれない。10分にはワンチョペ→赤嶺に川口→規郎、16分には森村→憂太。一応4-5-1のまま、ということでいいかな?

さてこのメンツでどうなるか、と注目したのだが、赤嶺はなかなか良かった。爆発力はなくとも、粘り強くて機転の利くFW。この日もゴールライン際やイーブンに近い局面で飛び込んでは何度かチャンスを作っていた。彼がいるとボックス内でも起点ができて、攻撃のチャンネルを確実に増やしてくれる。ただ、憂太が怪我の影響で余り動けなかったせいもあり、彼の能力を生かし切るにはほど遠かったけれど。規郎は相変わらずの突貫小僧だし。

試合自体は東京ペースで変化なし。ヴェルディの攻撃が余りにも中央に偏りすぎて(伝統の悪癖復活!ってか)サイドに余裕ができ、やたら体調の良さそうな右の藤山に左の金沢、そして徳永もオーバーラップからクロスを入れて相手ゴールを脅かした。話は逸れるが、徳永のCB起用(仮に「徳永の藤山化」としておこうか(笑))は彼のプレーの幅を広げるという意味でも、後方からの攻撃参加を増やす意味でもいい試みだと思う。

次々とヴェルディゴール前にクロスが入りながら、やや単調に過ぎて得点に至らない(金沢のクロスに赤嶺が合わせたシュートは惜しかった……)まま後半も半ばを過ぎ、東京は(ヴェルディ側の交代は忘れた(笑))堅実にプレーしてた吉本に代えてエヴァウド投入。で、34分、そのエヴァウドがCKのクロスを足で押し込んで同点。思い切りかぶったGK吉原のミスではあったが、落ち着いてゴールの枠に転がしたシュートだった。

その後も東京が押し気味に試合を進め、全般的にセーブ気味の憂太が一度だけ見せた弾丸ミドルシュートや低く奇妙な弾道を描く(笑)エヴァウドのFKなどそれなりに見所もありながら、結局勝ち越し点を奪うことはできなかった。1-1で試合終了。


まあ、本番前の一叩きってなあこんなところですかね、という感じか。この試合を見てチームの仕上がり云々について語っても仕方がないような気がする。何しろ、五輪組に加えて今野もルーカスもいないメンバーだったのだから。前半の、前と全く変わり映えのしないサッカーも「このメンツなら」という条件の下ではもっともな選択に違いない。「とりあえずここまでは確実にできますよ」という指標とでもとらえればいいのかも。

一つ確実に言えるのは、駒としての選手の数やバリエーションという意味で、チームの層は非常に厚くなったということだ。福西は当然これくらいはやるだろうと思っていたけれど、森村と吉本が周りと全く遜色なくやれたのは大きな収穫だろう。赤嶺も好調のようだし、ただでさえFWと中盤は大激戦区(全く違うタイプの組合せが2セットできる!)だったのに、これでフルメンバーともなれば一体どうなってしまうのだろうか。

逆に言えば、今季の鍵はその「豊富な」戦力をどれだけ使いこなせるか、というところにある。はっきり言って、今の東京の「量」としての戦力は、国内戦だけのチームにしては過剰に見える。数限りない組合せの中から最適解を見つけるのは容易ではないし、出場機会に恵まれない選手の存在は不協和音の元になりかねない。せっかく色んなタイプがいるのだから、うまく戦い方のバリエーションを増やす方向で回せればいいが……例年以上にチームマネージメントが問われる年になるのかもしれない。


いつだってそういうものかもしれないが、開幕前は数多くの明るい材料と、決して頭から離れぬ不安材料とが同居しているものだ。天気晴朗なれども波高し。今季はどんな年になるのだろう。個人的には、福西がチームをどう変えてくれるのか、福西の存在によってFC東京がどう変わっていくのか、そこに注目していきたいと思っている。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2200

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)