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2007年01月08日

●2007年のFC東京は大きく変わる……かな?

年が明けて1週間、そろそろ色々な事が動き始めるだろうから、とりあえず書いておこうか。


周知のとおり、今オフのFC東京は移籍の動きがいつになく(というと言い過ぎだな。久しぶりに、か)激しい。まず獲得する選手としては、既に元コスタリカ代表のFWワンチョペとグレミオのDFエバウドが発表になっており、他にも報道では千葉のMF阿部勇樹[追記2参照]や磐田のDF茶野、新潟のMF鈴木慎吾[追記1参照]、千葉のMF坂本といったあたりの名前が挙がっている(1月6日現在)。なんともワクワクする顔ぶれではないか。

ワンチョペの代表通算45得点(うちW杯3得点)は、FC東京の外国人史上最高の実績と言っていいだろう。阿部勇樹はオシム監督の代表でも不動の「顔」になりつつあり、近い将来キャプテンマークを巻くことになるだろう。エバウドはブラジル選手権で実績を残している有望な若者のようだし、茶野も元代表。鈴木慎吾と坂本は代表には縁がないものの、Jリーグファンなら知らぬ者のいない好選手である。

単にビッグネームであるだけではない。皆「求めていた」タイプの選手なのがまた好印象なのだ。ワンチョペは待望のゴールゲッター。阿部はこれまた待望のリーダータイプであり、貴重な万能性の高い選手。エバウドはいかにもジャーンの後釜らしく、坂本は金沢の、茶野は茂庭の体調的不安を和らげそう。鈴木慎吾は中盤にも絡めるJ屈指のアタッカーであり、規郎のいいお手本になるだろう。実現すれば、いずれも素晴らしいことだ。


一方、来る人いれば去る人もいる。ジャーン(湘南へ)と遠藤大志(山形へ)の移籍が正式発表になっており、レンタル組でもササはチアバスへ、藤田はヴェルディへ去ることになった。他にも、あくまでスポーツ新聞レベルではあるが、阿部吉朗が柏へ、増嶋が甲府へ、戸田が清水へ、それに宮沢が大分へ[追記3参照]、なんて報道もあったりする。彼らのうち幾人かはここ数年の中心選手であり、ショックがないと言えば嘘になる。特に11番は……。

ただ、こうした「放出」もまた、チームの新陳代謝を促すという意味では、ポジティブにとらえることもできるだろう。思えばここ2~3年、若手が経験を積んで実力を伸ばす一方で、中堅どころの何人かはやや行き詰まり、チームにもマンネリが見えていた。だから、ジャーンも吉朗も戸田も宮沢も皆好きな選手で、増嶋にも東京の未来を担ってほしいところだけれど、こうした話が出てくるのは仕方のないことなのかもしれない、とも思う。

まあ、今野が出ていくことになっていたらさすがに冷静ではいられなかったろうし、出て行くばかりで誰も来なかったらシャレにならんが(笑)。


こうした即戦力志向の動きからは、東京の来シーズンにかける意気込みを感じずにはいられない。今回東京は、監督人事において原さん復帰という堅実な(悪く言えばつまらない)選択をした。最低限のラインを担保した上で、大補強によってジャンプアップする方針なのだろうか。原さんのわずか1年での復帰には正直失望したのだが、別の手段であってもマンネリ打破を目指すのであれば、それは歓迎すべきだと思う。

そして、必然的に、来季の東京は「それなり」の結果を求められることになるだろう。実際、原監督も前回よりも高いところに目標を置いている様子で、復帰が決まって以後はそのようなコメントを残している。原さんが本気で言っているとすれば、これもまた好ましいと感じる。恒常的に各年代の代表を輩出するチームが優勝を狙わなくてどうする、と思うし、また「3年後はウチが最強」的な物言いももう聞き飽きたから。

当たり前だけど、サッカーは「勝ってなんぼ」だと最近つくづく思うようになった。もちろんエンターテイメント性の高い、あるいはスペクタクルなサッカーの価値を否定するものではない。でも、やっぱり「負けたけど内容は良かった」「結果よりも楽しいことが大事」とは思えなくなっているのだ、僕は。だって、選手たちは勝つために一生懸命戦っているわけだから。応援する僕たちだって勝負にこだわり、結果を求めていきたいのだ。


懸念もある。

まず、能力の高い選手が加入すること自体はプラス要素だとしても、移籍によってチーム全体の機能性が崩れる場合があるということ。欧州では最近のレアル・マドリーや昨年までのインテルの苦労ぶりが頭に浮かぶし、Jで言えば最初の昇格時の川崎とか、かつての名古屋とか。東京だって、今野加入で04年は中盤のバランスが狂っていたように思う。岡田監督1年目で完全優勝したマリノスのような成功例ももちろんあるけれど。

次に、本当に原博実監督が「結果を出す」スタイルにシフトできるのかどうか、ということ。前回の任期、原さんは「攻撃サッカー」の旗印の下で積極的なサッカーを展開し、その中でナビスコ杯制覇という実績も上げた。ただ、「内容」と「結果」の二兎を追う姿勢は原さんの魅力であり美徳でもあったけれども、采配面において「勝ちきる」という部分ではやや物足りない部分もあったように思う。今回はどうか。

もちろん、「内容」と「結果」の両立は全てのチーム・監督の願いではあるのだけれど、より後者にこだわったリアリズムを出せるか、ということ。言動の快活さ・振る舞いのストレートさとは裏腹に、意外に知性派な原さんはそこら辺のバランスをどうとってくるだろうか。……な~んて小難しい事をウダウダ言ってたら、ノリノリの攻撃サッカーで勝ちまくっちゃったりしてね(笑)。そしたら夢の実現なんだけれども。

あと、もう一つ、チームにしろ監督にしろもちろん選手にしろ、「今年は結果だ」という意識で固まることができたとして、ファンはどうか。内容良く勝った試合は問題ないとして、内容が悪くても勝点を拾った試合をきちんと評価できるか。逆に、見栄えが良くて派手であっても、結果が伴わないサッカーを過剰に評価せず、時には駄目出しもできるか。チームが変わるには、ファンが変わることも必要。そこら辺がズレなければいいのだが……。

あ、今野が残ってくれたということは、今野1人頼みの状況がまた頻出する可能性もあるということか。痛し痒しやね(笑)。


何にせよ、とにもかくにも、今年こそFC東京が一皮剥けることを心から願いたい。昨年・一昨年の苦労を無駄にしないためにも。
 
 
 
[追記1]
名前が挙がっている中で、とりあえず鈴木慎吾は新潟への残留を決めたようだ。実は一番来てほしかった選手だけに、残念である。アルビレックスファンの人にはおめでとう(笑)。

[追記2]
エントリーを書き終わったところで、「阿部浦和へ」なる記事が報知に掲載されたことを知る。こんちきしょうめ(笑)。

[追記3]
宮沢の大分移籍はトーチュウにも出たようだ。向こうで活躍できるかどうかはわからないとしても、妥当な選択だとは思う(監督はシャムスカ大佐だしね)。がんばってほしい。

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コメント

千葉の阿部は来てほしくないです。
千葉サポにすれば、
コンちゃんをとられるようなもの。
オシムを差し出し
阿部ちゃんまで。
同じJリーグを愛するサポーターとして
阿部ちゃんはルール違反なような気がします。

>ドロシーさん
こんばんは。コメントありがとうございます。

確かに、千葉はここ数年選手を引っこ抜かれまくりな上に本丸(オシム)まで持って行かれちゃいましたからね……。阿部が来ることについて、そういう心境になるのはよくわかります。私も客観的ないちJリーグファンの立場に立つならば、「阿部は千葉に残った方がいい」とは思っています。

ただ、阿部自身が他チームへの移籍を希望しているのだとしたら(そうなのでしょう、千葉は慰留しているのですから)、あれほどの素晴らしい選手、せっかくなら東京に来てほしいと私は思うのです。

移籍というのは本人の意志や、所属チームと相手方のニーズと財政事情等によるので、なかなか理想的には行かないものですが、少なくとも阿部の場合は本人が希望していないのに「売られる(変われる)」わけではないのですから、そこで「ルール違反」とまで言ってしまうとちょっとキツいのではないでしょうか。

たとえ生え抜きの選手、ファンに愛されている選手であっても、本人が「より良い選択肢」を求める中で移籍を検討ないし実行するのは仕方がないことですし、リーグが勝利を目指す競争の場でもある以上、そうした選手に対して他のチームがオファーを出すのは決しておかしいことではないように思います。例えば宮沢の大分への移籍も、今野に毎シーズンオファーが来るのも同じでしょう。

まあ、いずれにせよ、報道によれば阿部勇樹はさいたま方面に行っちゃいそうですが。一番残念なパターンですね(笑)。

あけましておめでとうございます。
今度、お餅つき参加させて下さい(笑)
私は毎年、レコバ東京に来ないかな〜って思ってます(笑)

>みぽりんさん
あけましておめでとうございます。

レコバ、インテルであまり試合に出られてないみたいですね。30歳といえばファンタジスタとしては円熟期なのに。

ということで、「レコバ来ないかな~」に同意……いや、やっぱダメです。憂太いるし(笑)。

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