« 「サッカーらしい」試合(天皇杯決勝テレビ観戦) | メイン | ワセダ強し、はいいのだけれど »

2007年01月02日

●あけまして写美


今日は、正月開館している東京都写真美術館に行ってきた。美術館でゆっくり展示を観られるのも久しぶりである。昼前頃に着いて3階の展示室から順に回ったのだが、正月ということでお客さんはやや少なめ、各展示室に10~20人といったところか。ゆっくり観られるので、個人的にはいいっちゃいいのだが。


3階の展示は「光と影-はじめに、ひかりが、あった」なるコレクション展。タイトルどおり、写真の原点とも言える「光」と「影」にこだわって、十数人のアーティスト(グループ)をチョイスした展覧会。全体的に見応えがある中、マン・レイ、山崎博、森山大道、片桐飛鳥、杉浦邦恵あたりの作品は特によかった。なにしろテーマがテーマだけに、シンプルだけど、写真好きの根源的な美的感覚に響くものがあるんだよね。

ただ残念だったのは、各作品の脇には作者の著作の引用文がキャプションとして掛かっているだけで、それはそれで味があるのだろうけど、僕みたいな「写真を観るのは好きだけど、素人」という人間からすると説明不足に感じられたことだ。もちろん「わかりやすさ」の追求が必ずしもいいとは限らないのだけど、必要以上に敷居が高いと思われがちな美術館だからこそ、もう少し見せ方に気をつかってもいいのに、とも思う。



2階ロビーに降りると、お正月企画のコンサートが始まったところだった。ちょうどカフェのある場所なので、ベルギービール「セゾン・デュポン」をいただきながらしばし耳を傾ける。えーと、フルート四重奏?演奏のメインは上野由恵さん、ですか。上手いのかどうか僕の耳では全くわからんのだが(笑)、こういう機会でないとフルートの演奏なんて絶対聞かないだろうし、ゆったりとした時間が過ごせたのはとにかく良かった。


2階は「球体写真二元論:細江英公の世界展」。細江さんはキャリア50年以上の大ベテランだが、どんな人かは知らなかった……いや、なんか、すごいっすね。表現自体も過激なんだけど、被写体が三島由紀夫に土方巽だもんね。三島なんて、倒錯した部分モロ出しまくり。裸でゴムパイプ加えて……って、文字で書いても全然伝わらないよな。僕のような凡人は「美を楽しむ」どころじゃない、というのが正直な感想。『おとこと女』の女性が足を組んで林檎をかじっているヌード写真と、後半の「広島」(いや「原爆」か)をテーマにした作品はとても良かったが。


地下1階は「地球(ほし)の旅人-新たなネイチャーフォトの挑戦」。菊池哲男・前川貴行・林明輝という3人の新進作家を取り上げたグループ展。これは文句なしに良かった。前川の、画面から生命力が溢れてくるような動物たちの写真。菊池や林が切り取った、この世に存在する場所とはとても思えない雪山や森林の絶景。いや、どの作品も本当に美しい。これで700円なら、まあ惜しくないよな、と思う。やっぱり「美術館」なんだから、「知」より「美」が勝ってくれないとなあ、とつくづく思った。


てな感じで、今年もインチキ写真(あるいは美術)愛好家ぶりは続きます。多分(笑)。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2169