●「スーパーミラクルだよなあ」
忙しさにかまけてブログはすっかり放置状態だったのだが、たまたま目にした試合のすさまじさに興奮してしまい、思わず久々に更新してみたりして。
昨日の晩、スカパー！でプレミアリーグ第１８節を観た。エヴァートン ２－３ チェルシー。今年は首位マンチェスターＵを追走する形になっているチェルシー。落とせない試合が続く日々だが、今回は中位チーム相手にアウェイで大苦戦。最後は攻撃的采配とスーパープレーの連続でひっくり返したものの、これを喜んでいいのやら悪いのやら……へそ曲がり在日チェルシーファンとしては複雑な心境である。
前半のチェルシーはとにかくひどかった。ＦＷに楔が入らず、パスはつながらず、中盤はスカスカ、守備も不安定……あの盤石ぶりはどこ行っちゃったの、という感じである。今年から主な布陣として採用している４－４－２は機能せず、バラックはいつも通り消え、同じく新加入のＤＦブラールーズは裏をとられまくった末にＰＫまで与えてしまう。「今年のプレミアもこれで終わりか」などと大げさな事まで考えてしまった。
しかし、ハーフタイム明けから戦況は一変。チェルシーはエシェンを右ＳＢに下げてカルーを投入し、４－３－３にシフト。この策が見事にハマり、左に回ったロッベンを中心にサイドからチャンスを量産する。４８分、バラックが直接ＦＫをゴールにねじ込んで同点とし（やっと仕事したよ！）、その後もチェルシーペース。ところが、エヴァートンが６３分にＣＫのチャンスを決めて再びリード。さらにイヤ～な雰囲気がチェルシーを覆った。
ここでモウリーニョ采配が炸裂する。ブラールーズを外し、シェフチェンコとブリッジを投入する超攻撃的布陣。実質１バックですよ、奥さん（笑）！！さすがにエヴァートンは防戦一方……まあ、そりゃそうだよな。で、８０分にランパードが左４５度のミドルシュートを決めてまず同点。そして８６分、シェヴァが落としたボールをドログバが反転ボレー、距離は３０ｍ以上あったが、翼くんばりの高速ドライヴシュートとなってゴールに突き刺さった。すっげーーー！！！！
とにかく、劇的な試合だった。試合後に解説の粕谷さんがＶＴＲを見ながら漏らした「スーパーミラクルだよなあ」という一言に全ては凝集されていたと思う。２度のビハインドを逆転した展開、見事すぎるジョゼ采配、前半のグダグダと対照的な後半の猛攻、そして諦めない選手たちの闘志と３つのスーパーゴール（ドログバのなんて、完全に人間業じゃないよ）。チェルシーファンにとってはこたえられないゲームだったに違いない。
ただ、素直に喜んでいいのかなあ、とも思ったり。先週のアーセナル戦といい、最近のチェルシーは昨年までに比べて試合ぶりが派手で面白いが、言い方を変えれば安定感が失われてしまったということでもある。以前の先行逃げ切り型の試合運びは「つまらない」との批判を浴びたものだが、しかし点はよく入っていたし、ダフやグジョンセンら「地味な」好選手を中心とする質の高い速攻はそれなりにスペクタクルだったように思う。
でも、今年シェフチェンコとバラックとＡ・コールを獲得して、名実ともに「スター」ばかりになっておかしくなった。新加入選手の能力については疑うべくもないが、コンビネーションはなかなか固まらず、彼らを入れるために（？）採用した４－４－２もイマイチである。まあ、固定したメンツの４－３－３で金属疲労を起こすよりはマシなのだろうが……補強って難しいね。ドログバ・エシェンを筆頭する個人能力とジョゼ采配でなんとか保っている印象。
シブい選手たちによる作り込まれた安定感のある戦いぶりと、スターたちの個人能力を前に押し出した派手で落ち着かない試合運び。どっちがいいのか悪いのか。現地のチェルシーファンたちはどう思っているのだろう。「楽しい攻撃サッカー」の幻影と、単体レベルでは豊富になっていく戦力に日々悩んだり一喜一憂したりする極東のいちサッカーファンとしては、ちょっと気になるところだ。原さんはどうするのかな……って、結局最後は東京に戻るのか（笑）。
［追記１］
あれ、ユナイテッド、ウエストハムに負けてやんの。何やってんだ。これで勝点差はわずか２。
［追記２］
インテルナシオナル「世界一」おめでとう！どうもひねくれチェルシーファンとしては、バルサが負けると喜んでしまうところがあるな（笑）。いや、元々はバルサも好きなんだけどねえ。
