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2006年12月04日

●さようなら、ジャーン (大分トリニータ×FC東京)


土曜日の午後、九州石油ドームでJ1第34節。大分トリニータ 0-1 FC東京。早いもので今シーズンのリーグ戦ももう最後である。チームの順位もほぼ固まり、選手の契約継続・非継続も決定してモチベーションを保つのが難しい時期の試合。東京が虎の子の1点を守りきり、開幕戦に続く大分戦勝利を飾った。全体としては凡戦ながら、ところどころにチームの成長が見える内容でもあったかもしれない。


正直なところ、今回は他会場の途中経過が気になって、あまり試合には集中できなかった。J1の優勝争いと残留争い、そしてJ2の昇格争い。iモードの試合速報をリロードしまくりである。場内の観客(特に東京ファン)も、僕らほどではなくても気にはしていたらしく、電光掲示板に目をやる人の割合はいつもより多かったし、「ガンバ先制」の情報が流れた時には決して小さくない歓声が上がっていた。

だから、まあ試合経過とか細部はオフィシャルを観て(笑)。以下、感想のようなもの。


大分はいくらホームでも「勝っても7位キープ」では試合の意味づけが難しかったか、ややユルい出来のように見せた。守→攻の切り替えの速さはさすがだったものの、特にセカンドボールへの反応などに鋭さを欠いた。対する東京は「最低」の15位からはい上がりたい気持ちと、あと退団が報道されていたジャーンのためもあったのか、前節浦和戦からそれほどテンションを落とさずやれていたかもしれない。

ただ、この日の東京は憂太が出場停止。代役の栗澤は栗澤なりによく味方のために動いているのだが、ボールの収まりどころ、そこからボールが動き出すという意味での「起点」としてはちと頼りない。だから、前半は相手の鈍さにつき合うように東京も攻撃を組み立てきれず、ほぼ互角の攻め合いに。42分には、ジャーンがクロスにかぶってラファエルが塩田と一対一になる場面も。防いだ塩田を笑顔で抱きしめるジャーン。


明らかに東京が優勢になったのは、後半から監督の指示なのか、梶山がガンガン前に出て攻撃に絡むようになってから。梶山がトップ下に近い位置で動き、栗澤はそれを後ろからフォローするような形に。もしかすると最初から梶山は栗澤と並ぶポジションに入るはずで、ようやく遠慮がなくなったのかもしれないが。とにかく東京は梶山とルーカスの技巧、そしてようやく合ってきた石川・徳永のコンビを武器に押し込んでいく。

48分、ルーカスが落としたボールを梶山がDF裏へ浮かし、抜群のタイミングで反応した戸田がGKと一対一のシュート、GKとポストに当たってノーゴール。53分、ルーカスのスルーパスがDFに当たって裏にこぼれ、オフサイドトラップの逆を突いて飛び出した梶山がシュートするも、今度はバーに当たって入らない。ここら辺は東京らしいというか何というか……。

しかし、決定力という意味では進化を続けるストライカーが東京にはいた。58分、梶山の中央突破から石川がボックス内へ走り込むルーカスへワンタッチのパスを通し、ルーカスが右足を一閃、ボールはズバッとゴール右上に突き刺さった。今年のルーカスらしい、ボールにタッチしすぎずいいタイミングで迷いなく撃ったシュート。東京先制である。

さすがにその後は最終戦で負けたくはないホームチームがラッシュ。次々に大分アタッカーがシュートを放つが、不正確なミドルシュートが多く、ゴールを脅かすには至らない。63分には闘莉王、じゃなかった、トゥーリオの弾丸FKがゴール右隅を襲うが、これは塩田が横っ跳びでファインセーブ!この日の塩田は浦和戦以上に安定したゴールキーピングを見せていた。なかなか、様になってきたではないか。

ところが、79分に途中出場の規郎が2回目の警告で退場。これは抜かれた相手を後ろから引っ張ったもので、仕方がないかな、という感じだが、1回目はFKのキッカーを代わる途中で遅延行為をとられたものだったから……気の毒だった。数的優位の大分はDFをほとんど残さず総攻撃に入るが、パンチのあるFWがいない上に梅崎のプレーも精度を欠く。最後はサイドまでボールをつなぐことでうまく時間を使った東京が逃げ切りに成功。



この試合、嬉しかったことの1つ目は、梶山の奮迅の働き。浦和戦の負傷により「強行出場」とも報道されていたが……見事な活躍だった。攻撃では持ち前のヌルッと力強い(笑)キープと決定的パス。守備でも労を惜しまぬ移動で大いに貢献した。前から独特の超絶技巧でファンには愛されていた彼だが、ようやく本当の「使える選手」になってきたように思える。まあ、憂太ともども、これを続けて行けるかどうかが問題なのだが。

もう一つ嬉しかったのは、終了間際、チームが相手をいなすようにボールをつないで時間を使い切ったこと。こういう「時間稼ぎ」(もちろん、茨城県や神奈川県の同系某チームのような類のものではなく)ができない、というのは昔からの課題で、「攻撃サッカー」の合い言葉がそれに拍車をかけたきらいもあったのだけれど、この日は選手が落ち着いてやってくれた。リーグ戦を戦い抜くには、絶対に必要なことだ。前に蹴るばかりが能じゃない。

ともあれ、これで今季のリーグ戦が終了した。13勝4分17敗で13位。A代表とU21代表に複数の選手を送り込み、観客動員数でも上位に位置するチームがこの成績ではなあ……とも思うし、どうせこの程度の成績だったら、「去年と似たようなチームができました」じゃ意味ないのではないか、とも思う。一歩間違えれば「徒労」「回り道」「退化」の方向に行ってしまうかな、とも。まあ、しっかり反省をして来季に備えてほしいものである。


翌日の日曜日、ジャーンの退団倉又監督の退任が正式に発表された。

ジャーンについては、もはや……金曜日のエントリーにも書いたとおり、冷静でいられない自分がいる。ああ、あの笑顔はもう東京の試合では見られないのか、という。そういや、笑顔と同じくらいに泣き顔が印象的な選手でもあった。ナビスコ杯決勝で退場になった時の涙、そして試合中に衝突したルーカスが昏倒した時の涙。この日も、試合後は涙のお別れだった。何度も何度もお辞儀をして、ファンに向かって両手を振るジャーン。悲しい……。

倉又さんの方はまだ天皇杯が残っているので、終わってから振り返るべきなのかな。とりあえず、難しく損な役回りをどうにかこうにか果たすことができて、きっとホッとしているだろうね。
 

コメント

こんばんは。ご無沙汰しています。

ジャーン、寂しいですね。たしかに、ジャーンというと「泣き顔」を思い出してしまいます。日本で移籍先が見つかるといいなぁ。

しかし、チームの方は、ほんとに「一年かかって振り出しに戻りました」って感じがしますね。ちょっと「・・・」な気がします。いいのかなー?

こんばんは。>bumbumさん

そう、ジャーンといえば「泣き顔」。それも、全く裏のない、心からの涙を何度も見せてもらったような気がします。もっと彼の泣く顔を見たかったし、できればその何倍も笑顔を見たかったな……。

>チームの方は、ほんとに「一年かかって振り出しに戻りました」って感じがしますね。
>いいのかなー?
良くないと思いますよ(笑)。