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2006年11月28日

●「なんか、見えてきた、未来が」 (FC東京×浦和レッズ)


一昨日の午後、味スタでの浦和戦。表向き気にしていないかのように振る舞っていたのだが、本当はこの試合での浦和優勝決定は絶対に阻止してほしいと思っていた。一番の理由は単純に嫌いなチームの優勝を目の当たりにしたくないからなのだが、もう一つ、本当にレッズが優勝してしまったら味スタの近辺が大混乱になるのではないかという危惧があったから。2年前の飛田給駅前の騒ぎはまだ記憶に新しい。

そして、浦和サポはやはり大群でやってきた。開門予定1時間前に東すかを転がして甲州街道を越える時、延々と続く赤黒の人々の大行列が見えた。どうなることやらと思えたのだが、結局開門時間を早めたのと、緩衝地帯は警官も出動してガードされていたので(田中組長、「板門店レポート」サンクスです)、浦和側に「エリア越え」の暴挙は少なく、とりあえずは平穏な雰囲気が保たれた様子であった。

 
試合前には東すか最終号の配布。はけるペースがあまりに速く、途中で呼び込みをやめたくらいだった。黙って眺めていると、慰留やらねぎらいやらの声を盛んに声をかけられた。いや、何度も書いてきたけれど、こういう読者の方の好意的な反応こそが(少なくとも僕にとっては)東すかを続けるモチベーションであったわけで、それが最後まで続いたのは本当に嬉しいことだ。3年間、どうもありがとうございました。



ほんでもって肝心のJ1第33節。FC東京 0-0 浦和レッズ。浦和にとってはJリーグ初優勝がかかった試合であり、東京にとっては苦しい思いの続いた今シーズンのホーム最終戦。どちらも勝ちたい試合には違いなかったか、結果は恨みっこなしのスコアレスドロー。難しい状況の割には双方ミスなく、4万超の観衆の前でなかなかの好ゲームだったように思う。両チームにとって「次につながる」試合となった。

試合経過などはオフィシャルサイトなど参照してもらうとして、以下感想なぞを。

浦和は本来の出来ではなかったのだろう。序盤からカタい動きが目立ち、試合が進んでもあまり改善されなかった。3バックの強さ堅さはさすがだし、ワシントンを中心に個々のアタッカーに怖さはあるのだが、それらはあくまで単発のもの。ボールを支配することはできず、全体で押し上げて畳みかける場面はほとんどなし。やはり、優勝のプレッシャーと、逆に「引き分けでもいい」という意識があったのかもしれない。

対する東京は、今季一番のいい出来、今後に期待が膨らむ内容だったと思う。90分間ほとんど集中を切らす場面がなく頑張りきったこと、選手の特長が噛み合っていたこと、そして何より中盤の戦いで優位に立てたこと。中盤でのつなぎがきちんとできれば、石川の切れ味や徳永の馬力がより一層生きる。ジャーンや伊野波も押し上げられる。逆に、石川が三都主の裏を突けば突くほど、憂太や梶山もより一層ノビノビやれる。好循環である。

しかし、憂太と梶山は本当によくやっていた。この2人が揃ってこれほど頑張った試合って、ちょっと記憶にないかも。憂太はキュンキュンと着実なパスさばきで、梶山はヌラリヌラリと抜けていくドリブルで好機を演出。2人とも守備の方でも献身的な働きが目立ち、この日の中盤の出来を見れば、来季以降はとにかく彼らと今野の3人を中心にチームを作っていけばそれでいいとさえ思う。そこにどういう武器を加えていくか、だ。

とにかく、内容は良かった。あとは勝利という結果がついてくれば文句なし……だったのだが、勝てなかった。チャンスは明らかに東京の方が多かったのに。前半で言えば、何度かあった決定的なシュートを枠に飛ばせなかったのは痛かったし、後半にはルーカスの美しいループがGK山岸のファインセーブに阻まれた場面もあった。最後は、選手もベンチも「引き分けでいいじゃないか」という感じに。ちょっと残念だった。

せめて憂太のフィードから梶山がヒールで落としたあの場面、フリーで撃った規郎のシュートが決まってればなあ……。0-0なのに奇妙な満足感を覚えている自分と、もう少しでとてつもなく大きな勝利を得られたのかもしれない、と悔しがる自分が同居している。複雑な心境である。まあ、憂太と梶山の活躍に東京の未来が見えた、ときれいにまとめることも可能かもしれないが、なんか去年の今頃も似たようなこと言ってたような(笑)。



で、結局試合は同点のまま終了。ロスタイム前にiモードでチェックしたら、ガンバ×京都戦の途中経過は2-2とのことだった。「いかん!これでは結局浦和の優勝が決まってしまう…」と焦るが、さりとてどうにもしようがない。だから、「他会場の結果を…」とのアナウンスが流れた時には、赤いスタンドの狂乱の騒ぎを覚悟したのだが、スクリーンに映ったのはなんと「G大阪 3-2 京都」の文字。あらららら、みたいな(笑)。

まあ、こう言っちゃなんだけど、これはこれで最も穏当な結果だったのだろう。東京は勝ちきれなかったけれどホーム最終戦で健闘を見せて面子を保てたし、浦和も優勝は決められなかったが勝点1は確保して、直接対決のガンバ戦にかなりのアドバンテージをもって臨むことができる。試合後も、倉又監督の挨拶がブーイングを浴びたのを除けば至って平穏無事。何よりである。浦和は、来週「自分ち」で思う存分喜んでくださいな。



試合後には、ホーム最終戦ということで倉又監督の挨拶があったのだが、のっけから「今日は何としても胴上げを阻止しようと思い~」とやってしまい、浦和側からは盛大なブーイングが(笑)。そりゃそうなんだろうけど、もう少し相手を立てるような言い方をしても良かったのに。ここら辺、原さんだったら問題なかったのかもしれないけれど。倉又さんはいささか生真面目にすぎるところがあるのかもしれないな、と思った。

その後、我らが「10番」三浦文丈の引退セレモニー。思えばJ初年度、僕が応援していた横浜マリノスにルーキーとして加入したのが文丈だった。あの頃は全然シュートの入らないアタッカーだったな(笑)。その後京都から磐田へ渡り歩き、優勝も経験。01年には東京へ加入してロケットのような飛び出しと闘争心溢れるプレーを披露、02年に大怪我してからは本来のプレーは陰を潜めたけれども、リーダーシップを発揮してチームを牽引してくれた。

そんな彼の引退発表は、個人的にもジーンと来るものがある。挨拶の後、花束を抱えての場内一周。東京側はもちろん、浦和側のスタンドからも大きな拍手が沸き起こっていた。最後はゴール裏の前でチームメイトが胴上げ。そして、塩田の肩車に乗って引き上げていく。その背中を眺めながら、なんと選手冥利につきる終わり方なのだろう、と思った。本当の引退試合は天皇杯の「最後の試合」。あと少しだけど、とにかく頑張ってほしい。


試合後は、大混雑の飛田給駅前と京王線をなんとかすり抜けて笹塚へ。スペイン料理屋「コスタブラバ」にて、東すか編集部の面々で打ち上げである。イベリコ豚の生ハムやらムール貝やらエスカルゴやら海鮮たっぷりのパエリヤやら牛の胃袋の煮込みやらその他諸々を、白ワインと一緒にいただく。思えば、東すか第1号を配り終わった04年新潟戦の後も、やはりこの店で打ち上げをしたのだった。そうか、あれからもう2年半か……。


いや、色々と慌ただしく、しかし感慨深い1日だった。来週は大分にて最終戦。この試合で活躍した「来季の10番」は、前半もらったイエローカードで出場停止になってしまうようなので、ここはひとつ、同じくこの試合で活躍した「将来の7番か8番」に頑張ってもらうことにしようか。15位のままでは終われないというのもあるし、わざわざ飛行機に乗ってまで観に行くのだから勝ってくれよコンニャロウ、という個人的な事情もある(笑)。頼むぞ。

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コメント

>フリーで撃った規郎のシュート
 あのシュートはいかにも規郎らしいシュートだったけど、いかんせんスピンが掛かってしまったのが・・・・・・・。ガンバ戦みたいなシュートだったら入ってたかもしれないけど。

で、私の念力はと言うと、途中から万博のほうに行ってました(笑)。だって、先制されるし、逆転しても追いつかれるしで・・・・・・。味スタの試合が終わったとき、万博は2-2でロスタイムに突入していたんですね。そしたらマグノアウベスの勝ち越しゴールが入って終了したのです。ホント、奇跡的なゴール。

とはいえ、浦和の優勝は決まりでしょう。浦和のホームで、3点差を付けて勝つなんて浦和に退場者が出ない限り無理な話です。

そんでもって、来シーズンは原東京なんですか?

原さんは、出てきただけでブーイングだった記憶が・・・。

こんばんは。東すかいつも楽しみにしていました。大変だったでしょうけれどありがとうございました。
倉又さんは確信犯ですよきっと。まじめな方なのは確かでしょうが、ああいう商売はまじめなだけでは勤まらないでしょうし・・・。まじめなだけだった監督もいる!?ガー(以下自粛)

>とはいえ、浦和の優勝は決まりでしょう。
いや、最後まであきらめたらあきまへんって。ホントに退場者が出るかもしれないじゃん(笑)。
実際、ガンバは去年あの状況であきらめず優勝をつかんだのだから、今年も最後まで頑張るでしょう。

>原さんは、出てきただけでブーイングだった記憶が・・・。
ああ、浦和相手だとね。浦和の人にとっては東京のガーロどころじゃない「戦犯」ですからね……。ただ、相手さえ違えば「キャラで許される」度合いが全然違いますから。

>東すかいつも楽しみにしていました。
どうもありがとうございました。そういっていただけると、本当にやってよかったなあ、と思います。皆さんにかけていただく声が何よりの励みでしたよ。

>倉又さんは確信犯ですよきっと。
どうかな~。まあ、確かにヘッドコーチ時代の小平でのいたずらっぽい笑顔とかを思い出すと、単に真面目だけじゃないとも思いますけどね。あれは「やっちゃった」んじゃないかなあ(笑)。

>まじめなだけだった監督もいる!?ガー(以下自粛)
まあ、くそ真面目はくそ真面目で、愛すべき個性だったと僕は思います。

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