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2006年11月17日

●複雑な心境、というヤツ


週明け月曜日の朝、浦和レッズファンの仕事仲間(以下「浦」と略す)と立ち話。


浦「土曜は援護射撃ありがとうございました。さいスタの人々も「さすが今野だ」と大絶賛でしたよ」
僕「……どういたしまして。これでレッズも優勝間違いないんじゃないの?」
浦「はっはっは。いやいや、まだわかりませんよ。はっはっは

引きつった笑いを浮かべながら「コノヤロウナグッテヤロウカ」くらいに思った僕だが、その次に彼がため息混じりにもらした言葉がちと引っかかった。

浦「いや、でもね。真面目な話、これで優勝して心底嬉しいかというと、微妙なとこで……」

もちろん、そんな言葉を聞き逃すわけにはいかない。

僕「はあ?何を贅沢な!また足元すくわれるぞ。優勝して、一体何が不満なのさ?」
浦「だって、今年は「守備で勝ってる」感じでしょ。強いけど面白くないんですよ……」
僕「リーグ戦で強いチームって案外そんなもんだよ。ユーべとかチェルシーとか」

そしてそんな“レッド君”の口から、ついに思ってもいなかった一言が……。

浦「嫌味に聞こえるかもしれませんが、最近東京のミラクルぶりが羨ましくて
僕「……まあ、浦和も昔の方が面白い時期はあったかもな。98年(原監督の1年目)とか」
浦「いや、僕と僕の周りでは「95年が最高だった」と言ってます。福田が得点王獲った年」


「結局福田かよ!!」というツッコミはさておき、「この内容で勝っても面白くない」という部分はやはり興味深い。確かに、最近のレッズは安定感はあるけれども派手さは今ひとつ。スコアも1-0や2-0が多いし。大方のファンは知らないけれど、彼みたいな人は複雑な心境なんだろうね。望んでいたものを得つつあるのに、どうも素直に喜べない、という。

実は、土曜日のフロンターレ戦、あの浦和ファン(の中の変わり者かもしれないが)でさえも「羨ましい」と評した、歴史に残る大逆転劇の後、全く逆の方向から複雑な心境になったのだよ、僕も。「いや、確かに興奮するし楽しいんだけど、こんなことやってていいのかね、東京は」という風に。川崎ファンからしたら、これはこれで「コノヤロウ」かもしれんけど(笑)。

いわゆる「内容と結果」の問題である。シニカルな見方をすれば「見栄えと結果」の問題か。片や、近年のそのチームらしいイケイケな逆転劇で尻上がりの調子ながら、これまでの迷走ぶりが頭に浮かんでスッキリしない東京ファン。片や、安定感抜群のサッカーで勝ち続けながら、豪華メンバーらしからぬシブい内容に浮かぬ顔の浦和ファン。どっちが幸せなんだか。

もちろん、例えば昨季のバルサのように、大半のファンを納得させる(であろう)内容と結果を両立させれば最高なのだろうが、なかなかそうもいかないものだ。仮に近い将来、今よりずっと地味だが安定した戦いぶりで東京がリーグ優勝の栄冠をつかんだ時、僕は「こんなの東京らしくないなあ」と不満に感じたりするのだろうか。でも、毎年勢いで帳尻だけ合わされても困るしな……浦和の連中だって、優勝した時には跳び上がって喜ぶに違いないし。


まあ、結局のところ、「不満は勝ってから言え」ということになるだろうか。ちょっと自虐的な結論だが(笑)。でも、浦和だって、まだ優勝が決まったわけではないぞ。

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コメント

相撲にたとえるなら、浦和は貴乃花だな。
派手さはないが、上手を引いて自分十分の体勢から寄り切り、みたいな。
片や、東京はさしずめ舞の海あたりか?
土俵際まで一気に持っていかれながらも、相手の腕をタグって網打ちとか大技を出して逆転勝ちみたいな。

小錦みたいに爆発的なパワーがあるわけでもなく、舞の海みたいに何やるかわからんワクワクするということもなく、堅実に勝つというのが、強いけど面白みにかけて物足りないということなんでしょう。

ちなみに、オレは体に似合わず豪快な取り口の霧島が好きでした。
と、サッカーとはぜんぜん関係ない話で締めてみる。

クライフに頼むには、いくらぐらい要るんでしょうか?
僕はやっぱり、千代の富士が好きです。

はじめまして。
いつも興味ぶかく見てましたが
はじめて書き込みます。

ぼくは強引な投げを打つ北天祐が好きでした

今の東京の帳尻合わせ具合は高見盛のそれに似ています。
東京が強くなった暁には、朝青龍みたいに優勝して欲しいですね。

なぜか盛り上がる相撲談義(笑)。いいっすね。

>堅実に勝つというのが、強いけど面白みにかけて物足りないということなんでしょう
優勝とはほど遠い立場にいるチームのファンからすると「何という贅沢を」と思うんですけど、勝ったら勝ったでまた欲が出るというのが人情なんでしょうか。
舞の海も、ずっと続けるのはキツいぞ~い。

>クライフに頼むには、いくらぐらい要るんでしょうか?
金じゃ動かないと思います(笑)。日本が、もっとテクニック満点の選手を揃えないといけないんじゃないかな?

>僕はやっぱり、千代の富士が好きです。
小さいのに強い、というのはやはり大きな魅力ですよね。全盛期は、前三つからの一気の寄りがあまりに強烈すぎて、機械みたいでかえって面白みにかけたような気もしますが。それくらい強かった、と。

>ぼくは強引な投げを打つ北天祐が好きでした
シブいですね~。朝潮とか若島津とかと同じ様な世代の力士でしたっけ?確かに、白い肌と腕力が印象的でしたね。

>東京が強くなった暁には、朝青龍みたいに優勝して欲しいですね。
全くです。
上で書いた千代の富士の全盛じゃないですが、「強すぎてつまらん」くらい言われる(他チームのファンに)ようになってほしいですよね、たまには。

しかし、みんなどうしてそんなに相撲に詳しいんですか(笑)。さすが国技というべきか。

まさか、オイラのあとがこんなに続いているとは!

そういえば、北天佑はちょっと前にお亡くなりになりましたね。
麒麟児もなかなかの帳尻あわせっぷりでしたね。
幕内下位では勝ちまくって11勝とかして敢闘賞受賞、翌場所前頭筆頭あたりに番付が上がると3勝12敗で再び幕内下位。
「帳尻あわせ」といえば、グランパスですかな。
いっつも早々と優勝争いから脱落するのに、最後帳尻あわせで中の上くらいにいる。
昨日なんてレッズに勝っちゃったもんね。
終始押されてたのに。
ふーびっくりした。

浦和が居るから名古屋も居る…
全国放送だし張り切っちゃいました(笑)。
一仕事やり終えたあとはサポも気分爽快です(笑)。
浦和の足を引っ張ればもう思い残す事はありません(爆)。
満足です。浦和さん、優勝してくださって結構です(笑)。
ウチはサーカス相撲ならぬサーカスサッカーですので、残り試合もこう御期待!

理想は呆れるほど強かった北の湖ですね(笑)。

 相撲ネタで盛り上がっていますね(笑)。私は、やっぱり千代の富士が忘れがたいです。大学の寮に相撲好きの友人がいて、夕食の時、せった取り組みになると、その友人のいるテーブルから「うおーっっ」という雄たけびが聞こえてきたのを懐かしく思い出します。他のテーブルの人は、「なぜ相撲?」という反応の人が多かったのですが、それでも千代の富士の出番になると食堂中の人間の視線がテレビに集中して、「特別な存在」だとしみじみ思ったものでした。

いやあ、不在してた間にも続いてましたね、相撲談義が(笑)。

>「帳尻あわせ」といえば、グランパスですかな。
これは手厳しい。まあ、使っているお金の額から考えれば、帳尻を合わせ切れていないような気もしますが(笑)。

>ウチはサーカス相撲ならぬサーカスサッカーですので、
ウチも同じ様なもんになりつつあります。浦和に優勝してもらって結構とは微塵も思いませんが(笑)。同じ関東だもーん。

>理想は呆れるほど強かった北の湖ですね(笑)。
やっぱり、一度自チームが北の湖化する体験をしてみたいもんですよね。そこでその味にハマるか、それともイヤになるか。

>千代の富士の出番になると食堂中の人間の視線がテレビに集中して、「特別な存在」だと
まったく、それこそが「スーパースター」というものなのでしょう。惑星になって人を引きつけられる存在という。

何にせよ、横綱・大関まで行かないとアカン、と思う。

 「強く、愛されるチーム」って、本当に難しいんだと思う、今日このごろ。

 私は貴ノ花(先代)が好きでしたが、いまにして思えば、北の湖の方がずっと「孤高」のアスリートだったのかも知れませんね。

>何にせよ、横綱・大関まで行かないとアカン、と思う。
 まずは、その通りですよ。

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