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2006年10月18日

●恐ろしい試合

スカパー110の録画で、プレミアシップ第8節を観た。レディング 0-1 チェルシー。今季イマイチな出来が続くチェルシーだが、今節はアウェイで2人の負傷退場を出しながらしぶとく勝利。首位マンチェスターUと同勝点の2位を堅持した……などという話は、この試合に限ってはどうでもよい。とにかくひどい、凄惨な試合だった。サッカーとは恐ろしいものだ。


開始直後。深く蹴り込まれたボールを処理したGKツェフが、走りこむFWハントと接触。意図的なラフプレーには見えなかったものの、勢いのついていたハントは滑るツェフをよけきれずに脚が頭を直撃。朦朧とするツェフはタンカで退場した。検査の結果、頭蓋骨骨折が判明したとか……幸い命に別状はないようだが、退場後目に見えて容体が悪化したためにロッカールームはパニックに陥ったという。ゾッとする話である。

その後はどことなくぎこちない攻め合いが続き、前半ロスタイムにチェルシーがランパードの「壁を突き破る」FKで先制。後半に入って早々にミケルが愚かしいファウルで退場(警告2回目)となったものの、レディング側も攻め切れぬうちにビケイが2枚目のイエローをもらってしまい、10人対10人に。ところが、荒れ気味の試合も何だかんだでチェルシーかよ、という雰囲気になり始めた終了間際にまた事件が。

レディングのパワープレーをチェルシーの屈強なDF陣がはね返し続けるロスタイム。CKのクロスに対して交代GKのクディチーニが飛び出してパンチした直後、レディングのソンコがレイト気味に体当たり。もろにカウンターをくらった形のクディチーニはその場に昏倒し、騒然とした雰囲気の中でまたも試合は中断。これも意図的ではないと信じたいが、ハントがツェフを蹴ったプレイ以上にラフな印象のチャージだった。

クディチーニはなかなか起き上がらない。昨年、日産スタジアムでジャーンと接触したルーカスが失神した場面を思い出した。あの時も、遠目に見るルーはピクリとも動かず、背筋が凍る思いをしたものだ。ルーを囲む人垣の脇で泣きむせぶジャーンの姿が忘れられない。サッカーとは、特に激しさ極まるプロ同士の戦いともなれば、命がけなのだという事実を突きつけられ、僕のような脳天気なファンは愕然である。

結局クディチーニも退場に。しかし、急遽テリーがGKを務め、さらにドログバをCBに入れるスクランブル陣形でチェルシーが逃げ切りに成功(終了時、後半は55分を軽く超えていた)。さすが王者、というより、さすがにあれで追いついたらレディングは人でなしだろう。とにかく、1つの試合で同じチームのGK2人がいずれも頭部の負傷で退場なんてケースは初めて目にした。こんなことが起こりうるのか……サッカーは恐ろしい。


まったくもって月並みな物言いだが、とにかくツェフとクディチーニの1日も早い復帰を祈りたいと思う。ホント、みんなが元気にプレーできてこそのサッカーだよ。間違いない。


[追記]
忌まわしい試合の中で、ジョン・テリーの振る舞いには感心させられた。苦しい展開で最終ラインの砦となったのはもちろん、クディチーニの負傷時にはレディングのラフプレーを主審に告発しつつ、自発的かつ素早い判断でGK役を買って出た。モウリーニョ監督は彼に短い指示しか出さなかったようだが、GKユニを着てゴール前に戻ったテリーは冷静に手際よく周りに指示を出し、あっという間にチームをまとめてしまった。まったくもって、素晴らしい。さすがキャプテン。あんな選手が今の東京にいればなあ……というのはかなわぬ願望だな(笑)。

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