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2006年10月09日

●「ナゴヤサン、カチテンサンアリガト」(後編)

(前編から続く)


後半。一進一退の立ち上がりから57分、足下にボールを収めたヨンセンがDF裏へ速いスルーパス、反応した杉本が見事なトラップからゴール右へ蹴り込んだ。敵ながら鮮やかな同点ゴール。しかし、名古屋はこの一発きりで、またもどかしいサッカーに逆戻りしてしまう。62分、DF裏へのパントに対して楢崎が飛び出したところ、風で戻るボールを戸田がかっさらって無人のゴールめがけボレーシュート、やっぱり枠外(笑)。どうも名古屋は風に対応しきれない。

DFラインの信頼性に問題のある東京としては、向かい風ということもあってシンプル・強引な攻めの方が怖かったはずだが、名古屋はあくまで細かなつなぎにこだわった。苦労してパスをつないだあげく、結局はヨンセンのポストと杉本・中村の個人技頼みという場面ばかり。しかも、ご丁寧にも東京が地上戦で最も強い「藤山前」や「今野周辺」を通ろうとして網にかかってくれるし。正直なところ、こちらとしては非常に助かったように思う。

で、名古屋がゴニャゴニャと攻めあぐんでいるうち、東京は今野の上がりも増えてほぼ互角の戦いに。隣に座っている森末さんには「今野個人に依存した攻めでいいんですか、東京は?」とか言われたりしたのだが、いいも悪いも仕方ないのである。この2年間ずっとそうなんだから。名古屋DFは中央のスピラールこそ頑強極まりないが、あとの2人は判断も俊敏さもイマイチで、「もしかしたら勝ってしまうのでは」と不埒な(笑)期待が。

そして79分。平山・今野が強引に中央突破にかかった場面でボールが右サイドにこぼれ、走り込んでいた石川が右足一閃、ゴールネットが揺れて名古屋の選手がフリーズ。勝ち越し!1点目と同様、アタッカーの忠実な詰めとDFの緩慢さが目立つシーンであった。その後は慌てて中盤にフレッシュな選手を投入する名古屋に対し、東京はFWとウイングを入れ替えて前目の守備から逃げ切りを図る。結局、吉朗必死のキープの甲斐もあり、そのまま試合終了。


この試合を観た限り、先入観もあるのだろうが、名古屋はやっぱりオランダ風味に見えた。マークがずれないよう、選手が一定の距離と角度を保つよう配置と動きを決めて、結果的に「ハマって」しまい身動きがとれなくなる、というのは悪い時のオランダ代表とかにありがちなこと。まあ、時折切れる集中力やフリーランニングの少なさを見ると、単に選手がフェルホーセンのサッカーを自分たちのものにできていないだけかもしれんけど。

そう言えば、あの横パス連発といい、名古屋の苦しみは今年前半の東京とも似ている気がした(名古屋も、勝つときはすげーいい試合になるそうな)。東京にしろ、名古屋にしろ、いきなり難易度の高過ぎる監督を連れてきてしまったということなのだろうか?違うのは、東京は早い段階でサポーター(のある部分)が激しい拒絶反応を示してガーロ監督解任に至ってしまったのに対し、名古屋はサポが比較的長い目で見ようとしていることか。

その東京の方は、これで何とか連敗脱出。名古屋の自家中毒ぶりを目にして、かつ攻撃については平山頼みのぶきっちょなサッカーしかできなかったことを考えれば、この勝点3はある意味プレゼントみたいなものである。ただ、確かなのは、相手よりもよく足を動かし、風も味方につけた、ということ。また、守備については改善が見られたということと、この試合に賭ける気持ちが2得点の場面で見事に発揮された、ということも言えるだろう。

両CB復帰に加えてSBも上がりを抑え気味にしたことで、新潟戦に比べれば守備の安定感は大幅にアップした。特にジャーンは、競り合いに負ける姿が目立つ一方で懸命のカバーを連発。また、文丈も今季一番の出来でチームを支えた。守備ブロックに破綻はなく、倉又監督もようやくホッとひと息というところか。得点についても、見かけはさほど良くないものの、アタッカーがやるべき仕事(シュートと、詰め)を忠実に果たしたという意味ではいい形だった。

驚くべきは平山である。まだ2戦目というのに、存在感が大きく増している。おまけに記念すべきJ初ゴール。確かに体は重そうなんだが、技術はもちろん高いし、何よりボールを収めた時に落ち着いて周りを見ているのがいい。近くの石川をやり過ごして遠くの徳永に「おら、お前も上がってこいよ!」的なパスを出す姿はなかなかグー。あとは、某鹿さんFWの轍を踏まないように、ゴールから逆算する癖は忘れずにいてほしい。

まあ、とにかく、これで東京もひとまず降格の心配をする必要はなくなった、と言っていいだろう。今後は来季につなげるべく、若手を積極的に起用しつつ、終盤の強豪(特に浦和!)との対戦に向けて着実にチームを作っていってほしいものである。


ちなみに、瑞穂の売店のおねえさんは……じゃなかった、グランパスファミリーは評判通りのかわいさであった(笑)。今のグランパスに「スター」と呼べる選手は残念ながら見あたらない(候補は何人もいる)が、マスコットは間違いなくJで1、2を争う人気である。聞くところによれば、以前開催されていた「東海チャンピオンシップ」で、グランパスファミリーとパルちゃんに挟まれたジュビロのマスコットは非常に肩身が狭そうだったとか。



試合後は、名古屋サポータークロゴマさんと合流し、地下鉄で本山に移動して「風来坊」で宴会。森末さん曰く「「世界の山ちゃん」より美味い」チェーン店だそうな。ささみ刺し、手羽先揚げ、手羽餃子に皮餃子、あさりバター、ささみチーズ、えび団子、etc。生ビール(サッポロなのが○)大×3と黒×1。なるほど、確かにこの手羽先は美味い。何本でも食べられるな。

フットボール好きの3人だけに、話題のほとんどはサッカーとラグビー。サッカーについては各自贔屓のチームが違うせいもあり、お互いにツッコミながら持論を語るという感じになったが、ラグビーの方は……「喋ることがないなあ」とか言いながらため息を吐くばかりなのが何とも。とりあえずクロゴマさんの「川淵三郎を日本ラグビー協会会長にしよう」論には大いに賛成。というか、それくらいのアクロバティックが必要だろう。両競技とも。

お二方とも、どうもありがとうございました。今度は東京でフットボール会議ね。


17時から20時過ぎまで飲んで、さああとは帰るだけ、だったのだけれど、案の定というか、地下鉄で1駅寝過ごした(笑)。何とか21時過ぎの「のぞみ」に乗ろうとホームにたどり着いたのが発車数分前。ふと見ると、ホームのきしめん屋が開いているじゃないの!一瞬迷ったが、一か八かで飛び込んでみた。月見たぬき。平べったい麺の食感はやはり魅力的である。これもまた美味かった。

食券を出して待っていたら「村田さん!」と声をかけられたので脇を見ると、知り合いの某東京サポがちょうど食べ終わるところだった。なんだ、やっぱりみんな考えることは一緒なんだな、ということで大急ぎですすり込み、一緒に発車寸前の新幹線に飛び込んでギリギリセーフ。やれやれ。最後まで慌ただしい1日だったけど、満足できる旅ではあった。美味いもの食ったし、勝点3もらったし(笑)。次回は、天むすと味噌煮込みうどんかな。

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