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2006年10月05日

●より速く!より正確に!! (日本×ガーナ)


昨日の夜は、日本代表の親善試合を現地まで観に行ってきた。代表の試合の生観戦なんて、本当に久しぶりである。年代別を合わせてもアテネ五輪最終予選のレバノン戦が最後、A代表となるといつ以来だろうか……。というわけで、胸ときめかせて小机に向かった、と書きたいところだが、行きの電車の混雑には参った。降りる際に後ろから押されて、危うくホームの隙間に落ちそうになったぞ。


それでもなんとか日産スタジアムにたどり着いて、キリンチャレンジカップ。日本代表 0-1 ガーナ代表。アジアカップ出場も決まり、いよいよ本格的なオシム流代表作りが楽しみな日本代表。2ヶ月ぶりの国内親善試合は強豪ガーナを迎えての一戦。序盤からパス回しでかき回し、何度かチ好機も得たが……最後までゴールを割れず、逆に単純な攻撃からの一発を許す。希望と課題が浮き彫りになった敗戦だった。


ガーナ代表は、明らかな「親善試合モード」。時差ボケによる体の重さもあっただろうし、シーズン真っ最中に怪我を避けたい気持ちもあったろう。守備の寄せも攻撃時の上がりやパス回しも、概ねセーフティーファースト。それでも、一対一での圧倒的な力で容易にボールを奪わせず、試合の全体を通してチームの統率が乱れないところなど、さすがは「現代アフリカの雄」という感じであった。

一方の日本は代表歴の浅い選手も多く、ホームの大観衆を前にモチベーション十分。速いパス回しで攻め込んでいく。有効だったのは楔の出し入れから、スペースへ「第三の動き」をする選手めがけて出すパス。「イチ、ニ、サン!」でアタッカーが裏へ抜ける場面が何度かあり、期待が膨らんだ。だが、すわ決定機か、という場面で力任せに潰されたりトラップミスが出たりして、得点には至らない。

そんな感じで、前半はスローなガーナに対して日本がいくつかいい形を作りながらゲットできず、次第に膠着状態に。後半はほぼ互角の攻防となり、ガーナも2本ほど決定的なシュートを放つが、これはいずれも能活が好セーブで防ぐ(個人的には、これが一番見たかったのよ)。後半半ばになっても0-0のまま。勝ちたい日本は羽生、播戸、我那覇と投入し勝負に出る。

しかし、逆に73分。ガーナ右サイドのピンポンがDFに走り勝って低いクロス、ゴール前に猛然と走り込んだハミヌがこれまたDFを蹴散らしながら合わせてゲット。シンプルだが鮮やかな、まさに「一発でやられた」という感じのゴールであった。その後は、日本が中村憲、長谷部、二川と投入してボックス外のFKなどチャンスをつかむが、ガーナDFの粘りの前にゴールを割れず。そのまま試合終了となった。


繰り返しになるが、ガーナは流し気味だったのだと思う。だが、それでもレギュラーの揃ったアフリカ最強国だけに、実力は向こうが上。ここぞという場面で「ギアが一段上がる」と、さすがに迫力がある。阿部が転がされた得点シーンにも驚いたが、センターサークル付近から動かないエシェンが突然啓太(?)を軽くかわして弾丸パスを通した場面や、ギャンがDFラインを突き破ったプレーにも唸らされた。

もっとも、日本もかなわかなったというわけでは決してなく、全体的に見ればほぼ互角にやれていた。守備は堅実で、テンポの良いパス攻撃も日本らしい明快で魅力のあるもの。特に、上にも書いたワンタッチの中距離パスで「第三の選手」が裏へ抜けるプレーは、今後もいい武器になることだろう。まだ新しいメンバーで熟成が進んでいないことを考えれば、悲観の必要は全くないように思う。

ただし、相手の強い当たりを意識したのか、この試合ではアタッカー(特に佐藤寿)に細かいミスが多かった。相手のフィジカルが強いほど、ボールコントロールが正確でなければ通用しないのだが……ここら辺は「言うは易く」か。あと、やはり強力なプレーメーカーが1人欲しいかも。中村憲の投入はもう少し早くても良かった。膠着状態の間は中盤にぽっかり穴が空いていたし、セットプレーも今のままではちょっと。

まあ、要するに、この試合を見た限りでは、「方向性は概ね間違っていない。もっと精度とキレを増して行こう。できれば大黒柱がほしいなあ」というところだろうか。DFの怪我人が戻ってきたら、阿部を中盤に上げる(セットプレーキッカーも任せる)というオプションが使えるけども。俊輔や松井はオシム爺さんの構想の中にどのように組み込まれていくのだろうか?何にせよ、楽しみっちゃ楽しみやね。


FC東京からは、今野1人の出場。水本とともにストッパーを任され、リベロ阿部と3人でしきりにポジションを入れ替えながらDFラインを形成していた。やや危なっかしいプレーもあったものの、全体的にはガーナFWをあまり自由にさせず、慣れないポジションとしては合格点か。こうして代表で刺激を受けて調子を上げていってほしいものである。今年の今野は何か重要な回路が1つ切れているように思えるから……。


あと、久しぶりに味わった代表戦スタンドの雰囲気について。まあ、やっぱりJリーグとは色々と違うんだなあ、とは思いますた。日本のDFが完全に揃っててもガーナが日本陣に入ると悲鳴が上がるし、逆に日本がチャンスになると「それ難しいよなー」という場面でも「決めろよ!」「撃てよ!」と叫び声が飛びまくるし。ある意味ピュア……なのか(笑)?若者のグループがやたら多いのは何なんだろうね。

つーか、それよりも、キリンがメインスポンサーになって大々的に宣伝して、おまけに入場時には(おそらくキリン様のお金で)代表特製シートまで配ったりしてくれるのに、場内で売っているビールが缶の「一番搾り」のみ、それも売場と売り子が全然足りなくて大行列の上に途中で売り切れたりするってのはどうなのよ。ビーラー的には、そこが一番のマイナスポイントだったかもしれない。

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