« UCI世界自転車選手権2006 | メイン | 東すか19号、配布で~す »

2006年09月28日

●丹波哲郎さんを悼む

丹波哲郎さん 84歳大霊界へ里帰り (goo映画)


えー、早くも話題として旬を過ぎつつあるような気がしますが、亡くなっちゃいましたね、丹波哲郎さん。80年代以降は一般的に『大霊界』の人というイメージで語られがちだった丹波先生ですが、やはり役者としてのキャリアももの凄いモノがある(出演作だけで300本以上!)わけで、それなりに映画好きな人間としてはショッキングな訃報ではありました。まあ、ここ2年くらいの激ヤセぶりを見れば「しゃーないか」という気もしますが。

で、朝のワイドショーとかでそんな偉大な丹波先生の追悼特集を眺めていると、やはり代表作としては『大霊界』や『砂の器』、それから『007は二度死ぬ』あたりが挙げられているようです。まあ、妥当っちゃ妥当でさーね。怪作・名作・大作と三拍子揃っているのが素晴らしい。

ただ、個人的なことを言いますと、そういった有名作ではなしに、丹波先生が(多くは脇役ながら)強烈な印象を残している映画がいくつかありまして、それがまた脳裏に焼きついちゃっていて離れないんですね。以下、村田オススメの丹波作品をいくつか挙げてみましょう。

 
B0000A4HS4.01._PE26_OU09_SCMZZZZZZZ_
まずは、1974年版『日本沈没』。丹波先生は日本沈没の危機を前にして悩める山本総理を演じております。まあ、後に『宇宙からのメッセージ』では地球連邦大統領なんぞを演じている丹波先生だけに、総理という役柄に全くスケール負けすることなく、味のある深刻さを演じきってます。東京大震災の最中に都民を救うため「総理の山本です!門を開けてください!」と皇居に電話をかける場面が有名(?)ですが、その震災で亡くなった奥さんの遺影を前に日本人を救う決意を固める時の表情が、またいいんですよ。

ちなみに、今年公開されたリメイク版の総理大臣役は……石坂浩二さんですか。ちょっと、映画の中の総理が現実の総理(コイズミ純ちゃん)に大物感で負けてどうする、とツッコミを入れたくなりますな。やっぱりタンバだろ、タンバ。


B000066AEO.01._SCMZZZZZZZ_
続いて、深作欣二監督『柳生一族の陰謀』。江戸幕府三代将軍の座を巡る徳川家内部の熾烈な抗争をオールスターキャストで描いた作品で、公開当時も随分話題になったようです。深作さんらしいケレン味たっぷりの演出(ヤクザモノそのまんま、という説もあり)が光ってます。柳生宗矩役・萬屋錦之介さんの大仰な演技が有名ですが、そのライバルを演ずる丹波先生も負けず劣らずの大げささ&怪しさ(笑)。千葉ちゃんの柳生十兵衛の片目を切るなどの活躍を見せますが、最後は柳生宗矩によってスイカのように真っ二つにされちゃいます。


D0093634.jpg
3本目は、石井輝男監督『ポルノ時代劇 亡八武士道』。小池一雄さん原作の同名劇画の映画化で、丹波先生の役名は「明日死能」(笑)。流れ者の武士が吉原の元締めに用心棒として雇われてセックス・ドラッグ・バイオレンスの世界にハマっていく……という粗筋(いやホントよ)なんですが、ひし美ゆり子さんをはじめとする女優さんたちが裸を惜しげもなくさらし、一方で人が残酷に死にまくるキチガイじみた躁状態の物語の中、1人沈着(もしくは投げやり(笑))な丹波先生の演技がいい味出してます。

ちなみに、丹波先生は30年後の同監督作品『地獄』にも「明日死能」役で出演しています。これがね、何の関連も脈絡もないのに突然出てくるんですよ、ラストの場面に。同じ監督というだけで(笑)。「そんなんアリか」と、ちょっとビックリしました。



あと、忘れちゃいけないのは『直撃地獄拳 大逆転』でしょうか。これも石井輝男監督。千葉ちゃんや佐藤允さん、郷鍈治さんらが大活躍する、全編下ネタとナンセンスギャグ満載の娯楽作。映画の大半は3人と池部良さん・中島ゆたかさんらが繰り広げるドタバタ劇ですが、最後の最後、あっと驚く形で丹波先生が、まさに「颯爽と」登場します。思わず大拍手。そういや上に書いた『地獄』や、あと『盲獣VS一寸法師』とかも、「最後にいきなりタンバ」ですが、これは石井監督なりのパターンだったんでしょうね。


しかし、こうやって並べてみると、国際的大作からバカ映画まで、改めて丹波哲郎という役者さんの懐の深さに感心するというか……単にいい加減だったのかもしれませんが(笑)。あ、書き忘れてたけど、『ノストラダムスの大予言』も主演は丹波先生だわ。やっぱり凄い(笑)。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2107