« 「残り3回」のネタ出しのために | メイン | 『時をかける少女』 »

2006年09月14日

●平山君、がんばれ。

ここ数日、新聞やネットでの報道を見て、「まずいなあ」と思っている。何がって、もちろん平山相太のことである。


平山が北京五輪を目指すU21世代では屈指の、そして日本の若手FWの中でも有数の逸材であることは間違いない。プレーのスケール、シュート感覚の鋭さ、そして国際経験と、ポテンシャルに申し分は全くない。思い起こせば3年前にアマラオが東京を退団した時、「平山が後継者になってくれれば」などと勝手に夢想したものである。

だがら、彼の入団は本来、東京にとって諸手を上げて歓迎すべき事柄のはずだ。単に戦力的なプラスだけではなく、「スター候補」の加入による注目度の増加や若手への刺激などの効果も期待できるし。ところが、現在、彼を見つめる東京ファンの多く(僕も含めて)の視線にはどこか冷めたものが混じっている。残念ながら、それも無理はない理由が複数存在しているのだ。

 
まず気になるのは、マスコミを通じて伝わってくる彼の言動だ。帰国の理由とされる語学やらホームシックやらってのは今さらどうでもいい話だと思うが、入団決定後の「楽しさ」追求発言連発には「落ち着け」と言いたくなる。選手が楽しむのはもちろんいいことだけど、新参者としてはもう少し「貢献」の部分も強調した方がいいような。レギュラーは全然確約されてないんだし。

また、ヘラクレスのファンだって1シーズンの間けっこう応援してくれたみたいなのに、移籍のゴタゴタの後とはいえ、「前のところはあまり楽しくサッカーできなかった」とはっきり言ってしまうのはちと軽率かもしれない。もちろん、コミュニケーションやらの問題について語っているのであって、決して悪気はないと思うんだけどね……。

加えて、筑波大への復学希望の公言である。これも、選手として活躍しながら大学に通う事自体は、それが両立可能ならば決して悪いことではない。でも、今彼は東京でまだ何も築いていない立場であって、しかもそれなりに高額の年俸をもらう身であるわけだ。内心はともかく、「まずはレギュラー獲得へ向けて全力を尽くす」とか言っとけばいいのに、と思う。

タイミング的な問題もある。これは彼のせいではないけれど、今年の東京は昨年に引き続き(つっても実は例年並なんだが)成績が伸び悩み、監督解任も経験してしまった。そして今は3連敗中でもある。とにかく目先の結果がほしい状況だ。MFやSBに比べてFWが豊富なこともあり、即戦力補強という観点からファンが「なぜ平山?」と首を傾げるのも当然と言えよう。

そしてトドメは、ヘラクレスがゴネていること。向こうにしたら、将来売れる見込みもあって「発掘」した素材をタダで手放さざるを得なくなった(と思ってるよな)のだから、「Jに決まりました」と言われて「ハイそうですか」とは言いづらいだろうな。平山が学業云々を口にしていたのならなおさら。とにかく、今季プレー不可なんてなったら……彼もチームもエライ損失に違いない。


繰り返しになるが、今の何となく澱んだ雰囲気(はもしかしてネット上だけ?)については彼自身に責任のある部分もあるし、不運な部分もある。にしても、だ。東京で愛されながら活躍したいのであれば、平山は自分がどういう見方をされるのか、ということについてもっと注意した方がいいだろうし、チームも弱冠20歳の青年に対するフォローを頑張ってほしいな、と思う。

どうもここ最近の東京は、ガーロ前監督を筆頭に「不幸な出会い」が多いような気がしてならない。それらの理由はコミュニケーション不全だったり、強化方針との齟齬だったり、タイミング的な悪さだったりするわけだけど、平山ほどの逸材がそうした「ボタンの掛け違い」によってその能力を発揮できないとすれば、東京のみならず日本の損失といってもいいのではないか。

グチャグチャ書いてきたけど、せっかく他の選択肢もあった中で東京を選び、来てくれた平山である。ポジティブにとらえたいし、温かい目で見て応援していきたい。そして、だからこそ、変な流れ(スターシステム含む)の中で潰されないかと心配でもある。頑張ってくれ。僕ごときの懸念など、吹っ飛ばすくらいの活躍を見せてくれ(ヘラクレスさんも、ここは一つご堪忍を)。

あの、ややヌボーッとした風貌と物腰が、鈍感さや幼さではなく、大物ぶりの表れであることを僕は願っている。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2098

コメント

こんばんは、というか、おはようございます。

平山君に対しては、様々な「視線」が注がれていますね。本人が自分の注目度の高さに気がついていなくて、発言が無防備すぎるんでしょうか?周りがしっかりフォローしてあげないとと感じます。

ただ、メディアは平山君の発言の一部を切り取って記事にしているので、そこに注意して、好意的に解釈しようと思っています。

味スタや小平に行けば、平山君のプレーを目の前で見られたり、会えたりするんですから、お得な話ですよね。

どうも。

平山君、なんとか移籍が成立しそうでよかったよかった、という感じですね。

>本人が自分の注目度の高さに気がついていなくて、発言が無防備すぎるんでしょうか?
そうですね。本当に気がついていないのか、それとも「気にならない」のかは微妙なところのように思いますが、いずれにせよ周りが守ってあげないと危なっかしそうですね。

高校選手権2年連続得点王で、しかもワールドユース2回連続出場。ファンも期待して当然、というくらいの素材ではあるのですが、まあしばらくは温かい目で見てあげる必要があるかもしれないですね。

……なんて心配を吹っ飛ばしてほしいなあ、やっぱり(笑)。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)