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2006年08月24日

●FC東京×アビスパ福岡


昨日の夜、国立競技場でJ1第19節。FC東京 5-1 アビスパ福岡。倉又体制での2戦目はジェフ戦の大激闘の影響が心配された試合だったが、やや危なっかしいところはありながらも選手たちはアグレッシブに戦い、終わってみればシュート23本を浴びせて5点を奪う大勝。待ちに待った「あの人」の初ゴールもあり、前節に続いてファンにはこたえられない試合となった。


キックオフ。東京は前節と同じスタメンで、両者とも4-4-2の布陣。1分、左サイド駆け上がる藤山からよく狙ったクロス、川口が落としてルーカスがコントロールショットを狙うが枠外。5分、左サイドでDFをひらりとかわした川口がえぐってボックス内へ突入するも、DFがクロスをカット。9分、梶山が敵陣中央のFKから持ち出して放ったミドルシュートをGK水谷がCKへ逃れ、そのCKが流れたところで赤嶺が狙った山なりのヘッダーは、バーに当たってノーゴール。東京ペースである。

下位に低迷する福岡は逆襲狙い。あまり前から突っかけず、ボールを奪うと楔や裏を狙う縦パスを送る。だが、一旦FWにボールが収まってもそこからフォロワーへの展開の精度が低く、攻撃を組み立てられない。一方の東京は前回と比べればおとなしめの立ち上がりだが、着実に防御ラインを作って福岡の攻撃をはね返す。11分、右の石川がDFを振り切りクロス、ルーカスがDFと競りながら合わせたがGK正面。13分には石川の思いきったロングシュートがポストわずか左を抜ける。

見ているうち、福岡はこぼれ球への反応にしろフリーランニングにしろ、「信じて走っていない」場面があまりにも多いことに気づいた。千葉戦の劇勝で勢いに乗る東京が相手だからなおさらである。ホベルトの孤軍奮闘ばかりが目立つ。1ヶ月前の博多ではまるで逆だったが……怖いものだ。そして、常に反応が遅れているからボールホルダーへのチェックも遅れがちになり、ファウルが増える。早くも22分に藪田が2枚目のイエローで退場になったのも、当然とさえ言えるかもしれない。

しかし、「相手が10人」という状況は東京にとって鬼門である。この試合でも、余裕をかましたのかやはり疲れがあるのか、数的優位に立ってからペースを失った印象。逆に、福岡にはようやくチャンスが生まれ出す。25分、中盤の奪い合いから縦パスで田中が抜け、徳永が長駆カバーするもCK。そのCKを田中が叩いたボレーは枠外。33分に川口がGKとDFの間に入れたクロスは千代反田がクリア。全体的には東京が圧倒しているのだが、なかなか点が入らず嫌な雰囲気ではあった。

スコア上も均衡が破れたのは35分のこと。ボックス手前まで駆け上がった藤山(!)がルーカスからパスを受けミドルシュート、一旦は石川に当たって夢破れたか(笑)と思われたが、サッカーの神様はこぼれ球を再びフジの足下に。迷わずシュート!ボールはDFに当たってコースが変わり、水谷も全く反応できず、ゴール左隅に吸い込まれていった。スタンドに異様などよめきが沸きかけ、一瞬の後には歓声と拍手の嵐になっていた。なんとなんと、藤山99年以来の、J1では初のゴールである。

これで再び東京が調子づく。38分、中盤で梶山らがゆっくりつないでから突然徳永へ速いパス、低いクロスに赤嶺が飛び込むもわずかに合わず。おお、緩急だ(笑)。39分には赤嶺のクロスが走り込むルーカスにピタリと合ったが、ヘッダーは水谷がセーブ。福岡は10人とはいえ必要以上に消極的にも思われ、東京が断然支配。44分、田中のクロスを土肥が前に弾いてアタッカーの足下に入った場面も得点ならず。ロスタイムにも波状攻撃からクロスに赤嶺が飛び込むが、決めきれず。


結局、そのままハーフタイムに突入。これほど余裕のある試合展開は、もしかしたら去年の開幕戦以来じゃなかろうか?藤山ゴールの歓喜もあり、僕は笑いをこらえるのに必死だったらしい。トイレに立って戻ってきたら、通路脇に座っていたbiwacovicさんに「怪しい顔になってますよ!」とツッコまれる。だってー、笑いが止まらなかったんだもーん。「前半の福岡の出来に怒りを覚えますよ」と返しておく(笑)。


後半に入っても、東京の優位はそのままだった。0分、ペナルティアーク付近の赤嶺が後方からのパスを反転スルーパス、ルーカスがDFライン裏に抜けたが水谷に押さえられる。2分の右CK、梶山のキックがジャーンにピタリ合ったように見えたが、ヘディングシュートは枠外へ。6分には右サイドで赤嶺→徳永とつないで中央のルーカスへ折り返し、再び右にはたいたボールを受けて石川がDFの裏へ出るも、シュートは水谷が横っ跳びでセーブ。

ところが、好事魔多し。7分、右ライン際田中からのリターンを走り込んで受けた中村が抜け、ゴールライン手前で折り返したクロスをニアにいた徳永がオウンゴール……。同点。余裕をかましすぎた部分もあるのだろうか?追いつかれた東京はやや浮き足立ち、福岡は俄然元気を出す。9分、中村のクロスに田中が飛び込んでオーバーヘッドで狙う(枠外)。12分、左サイドキープした川口が藤山のオーバーラップを見計らってクロス、赤嶺がDFから頭一つ出て飛び込むも、わずかに届かず。

やはり過密日程がこたえているのか、このあたりやや両チーム足が止まり気味。DFの上がりとFWの戻りがともに遅く、中盤は緩くなっていた。13分、パスを受けようとする中村(?)を藤山が潰してボールが東京ゴール方向に流れたところ、城後が藤山を追い越してフリーでシュート、サイドネット。16分には中盤にこぼれたボールを中村がスライディングで前に送り、拾った城後がモニのスライディングをかわして独走、シュートは浅利必死のカバーもあってポスト右を抜けてくれた。うーむ……。

ところが19分。徳永のクロスをDFがデフレクトして逆サイドに流れた場面、川口が拾ってゴール前へ送り、これをゴールエリア内にいた赤嶺が右足アウトではたく。DFは反応できず、ボールはゴール内へ。トリッキーで見事なシュートだった。2-1。さらに21分、川口が左から弧を描くように突進、味方の上がりは遅かったが1人で勝負してシュートに持ち込む。GKが弾いたボールをさらに石川が拾い、右足で叩いた豪快なミドルがゴール左上に決まった。3-1。やれやれ、である。

22分、川口OUT、伊野波INの交代。勝負しっぱなしの川口は「お疲れさん」、そこに伊野波を入れたのは中村あたりを押さえることによって藤山を助ける意図もあったのだろうか。とにかくここで守備も強い伊野波投入はわかりやすい采配である。場所は国立だし、適度にユルい試合だし、なんだか昇格当時を思い起こすいい雰囲気になってきた。25分、左サイド持ち上がる伊野波から赤嶺を経由して右へつなぎ、最後は石川のミドルが枠外へ消えた。それでいい。

東京はすっかり余裕を取り戻し、パスが回ること回ること。余裕かまして回しすぎる場面もあったようだが(笑)、そういう「余裕回し」に対し「オレ!」のかけ声も聞こえ、バックスタンドでも「早く行けよ!」とか叫ぶ人が少なくなったのはいいことだ。30分、赤嶺の弾丸シュートがポスト左を抜けてまた歓声。31分には梶山とのコンビで石川が右サイドを突破、クロスに赤嶺が飛び込んだシュートはDFにブロックされるも、CKを伊野波が頭で叩き込んで4点目。ビバ!!

もはや福岡はフラフラの状態なんだが、その後も東京は容赦なし。34分、ノリノリの伊野波が切れ込んでミドルシュート。35分には阿部吉朗投入。37分には吉朗のクロスにルーカスが飛び込み、こぼれ球に走り込む石川のシュートがわずかに外れる。終盤はさすがに東京も省エネモードとなり、引いて福岡の無理攻めをはね返したりしていた。が、ロスタイム、1人やる気満々の吉朗が猛然とCKをとり、そのCKを自らヘッダーで叩き込んでゲット。5-1。鬼だ。血も涙もない(笑)。そして試合終了。



相手のチーム状態の悪さにも助けられたとはいえ、2連勝。この結果ももちろんだが、僕が嬉しく思うのは倉又さんの采配がことごとくツボに入っていること。4-4-2の布陣に適材適所の選手起用、そして納得のいく選手交代(守備固め&ダイナモ役としての伊野波投入と、あと「1点取って感覚を取り戻してこい!」みたいな感じの吉朗投入)。どれも個人的には「あ、そこそこ、倉又さん、キクー!」てな感じだし、その結果があの「攻撃パスサッカー」だもんね。

フォーメーション的には、おそらく2トップがミソなんだろう。アマラオ・ツゥットのコンビを除けば、大熊・原時代を通じて1トップでスタートするのが東京の通例だった。で、時たま2トップをやってもその後ろにスペースが空いて破綻をきたすことが多かったのだけれど、ルーカスと赤嶺という、ポイントで勝負するよりも動き回ってボールに触る方が得意な2人が揃ったことで、機能させることが可能になった。彼らと石川・梶山がクルクル入れ替わる様は見ていてとても楽しい。

昨年あたりは無理矢理なシュートが多かった石川が、FWの作ったスペースに飛び込んでいい体勢で撃っているあたりに違いが出ているかも。部活ベースに上乗せされた、前線での流動性の高いパスサッカー。ここに半年の苦労の成果が出ているとすれば、ガーロも草葉の陰で喜んでいるに違いない(だから死んでないってば(笑))。本当のところはよくわからないけどね。「ガーロ未経験の倉又東京」と現在の東京を並べて比べてみるわけにもいかないから。

あと、「原点回帰」の象徴として藤山と浅利が起用され、特に藤山は守備で活躍の上に驚きの(失礼)J1初得点まで決めてしまったのも喜ばしい。J2時代からのファンにとっては感涙もの、「応援してきてよかった」てなもんである。この日はヒーローインタビューも藤山。お立ち台はどうやら初めてのようだが、所々冗談とも本気ともつかぬ発言でスタンドの微妙な笑いを誘い、最後は「ミスター東京と呼んでください」と名台詞で締めてくれたのだった。パチパチパチ。


さて、そういうわけで倉又監督はホームでもファンの心をガッチリつかんだわけだが、次はまた中2日での清水戦。今節はともかく最近の成績を見る限り、走れなかった日曜日の千葉や正直弱かった昨日の福岡と比べて難しい相手であるように思われる。しかもアウェイ(相性はいい場所だけど)。ここで勝点を持ってこれるようであれば、いよいよ戦闘能力向上はホンモノであるように思われる(2試合で9点もとればそりゃニセモノなわけないけど)。守備陣の気がフッと抜ける場面があるのがちと気がかりだが……。

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