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2006年08月22日

●ジェフ千葉×FC東京 (後編)

前編から続く)


後半立ち上がり、いきなり千葉がペナルティボックス手前でFK獲得。キッカーはもちろん阿部勇。大ピンチな雰囲気だったが、シュートはわずかにバーを越えて命拾い。これで東京ペースが継続。7分、左サイドを突破する川口が坂本に倒されFK(イエロー)、こぼれ球を拾った浅利が中島に倒されまたFK(イエロー)。その直後にはCKからゴール前で乱戦になり、GK前のボールに赤嶺が飛び込むも押し込みきれず。結局得点にはならなかったものの、ここら辺、じわじわと効きそうな攻撃であった。

12分、左サイドワンツーからDFライン裏に抜けた羽生がシュート性のクロスを入れるが、ボールは走り込む巻とポストの間を抜けてしまった。15分過ぎになると千葉はさらに運動量が落ち、遅いパスを東京DFが前に出てカットする場面が目立つ。そして17分。梶山が左サイドをDF2人に絡まれながら持ち上がり、ゴールライン際で折り返す。これをニアに走り込んでいた赤嶺が反転シュート!当たりは弱かったが、意表を突かれたか立石は止められず、ボールはバウンドしながらゴールイン。2-2。

千葉はクルプニコビッチに代えて水野を投入、立て直しを図る。双方に疲れが出て中盤が緩くなったこともあり、試合は撃ち合いの様相に。20分、中央持ち上がる中島がDFを引きつけて水野へラストパスも、シュートは茂庭がブロック。22分、クロスのはね返りを拾った羽生が右へ展開、ゴール前の巻を速いクロスで狙うが、手前で藤山(!)がジャンプ一番デフレクト。千葉も最後の力を振り絞ってきた様子だが、しかしこちらはまだ3枚駒を残してるもんね、という余裕はあった(とは勝てたから言えるのだが(笑))。

25分、逆襲で藤山が持ち上がり、石川の放ったシュートがDFの顔面を直撃。そこから波状攻撃となるが、どフリーのジャーンの足下にボールがこぼれた場面もシュートしきれず。逆にカウンターから水野にミドルを撃たれるも、わずか右に外れ。28分には川口OUT吉朗INでいよいよ「総攻撃態勢」。そして31分。敵陣でボールを奪った梶山がルックアップ、走り出す石川へ絶妙のスルーパスを通す。狙いすましたシュートがゴールネットに突き刺さって東京逆転。跳び上がり、両手でガッツポーズの石川。よし!!

満員のホームで負けられない千葉は、すっかり動けなくなっていたハースに代えて楽山投入。33分、水野のキープからパスを受けた楽山のシュートは土肥がパンチで防ぎ、水野のミドルも枠を外れた。千葉は何とか前へ出ようとするが、焦っているのかパスや連携のミスが目立つ。対する東京は、赤嶺OUT小澤INの交代。できれば守りきりたい場面ではあったけれども……そのための駒はベンチにはいなかったし、何より行け行けの雰囲気が場内に充満した状態であったのだ。

38分、楽山→中島→山岸と細かくつないで山岸が土肥と一対一となるも、茂庭必死のカバーリングも功を奏してシュートはサイドネット。助かった、と思いきやその直後、中央ドリブルで持ち上がった楽山からボックス右手前の羽生へ。羽生は思い切ったミドルシュートを放ち、これが土肥の指先を抜けて逆サイドネットに突き刺さってしまった。再び同点。うーむ……。もっとも、これで試合の熱が全くクールダウンしなかったのが素晴らしい。両チームとも全く引き分けを狙わずに攻め合い続ける。

東京は小澤に代えて憂太投入。前で起点になる選手が欲しかったのか。41分、またも中央持ち上がる楽山から右へ展開、巻がループシュートを狙うが上に外れ。43分、石川の右突破からクロス、中央でルーカスが止めて梶山がミドルを撃つもDFブロック。44分、憂太がDF裏に落としたボールに飛び込む吉朗が倒されたが、ノーホイッスル。その直後、羽生(コイツは本当に凄い)のクロスに巻が飛び込み、土肥ちゃんの手前で触ったもののボールはバーを越えてしまう。頭が痛くなりそうな目まぐるしさだ。

決勝点が生まれたのはロスタイムに入ってから。千葉陣中央でルーカスから憂太につなぎ、駆け上がる徳永(すげえスタミナ…)へ展開。徳永はボックス横まで持ち上がってから低い平行クロスを入れ、これが滑り込むストヤノフの足の下を通るように逆サイドへ抜けたところ、走り込む吉朗が蹴り込んだ。4-3。サポーターに向かって叫ぶ吉朗、誰かれかまわず抱き合って喜ぶ選手たちとスタッフ。ここぞという時に切り札が決めた、まさに劇的なゴールだった。そのまま試合終了。倉又東京、まずは1勝である。



一昨日のエントリーでも書いたが、まさか初戦からこれほど劇的な展開になるとは……。「頑張るだろうけど、引き分けくらいかな」と思っていたのだ(実際、ギリギリの勝負だった)。しかしいい試合を観られたものである。立て直し中の東京としては、変に守りに入らない千葉が相手だったのは幸いだったかも。結果、僕たちはこの上なくエキサイティングな攻防(双方合わせてシュート39本!)を目撃し、オマケに勝点3を手にすることができたのだった(オシム監督のコメントは色んな意味で興味深いね)。

この日の東京は、戦いぶりに「原点回帰」の趣がありつつも単に昨年への出戻りではなく、もう少し別のイメージを持てていたのではないかと思う。速攻中心でありながら確率の低いロングパスは少なく、外だけでなく中も使ったパス攻撃。雰囲気としては01年2ndステージ(の前半)や03年2ndステージ(の後半)、あるいは01年ホームの磐田戦や03年アウェイの柏戦あたり、というとちょっと言い過ぎか(笑)。まあ、少なくとも「ゴールを奪うんだ」という気迫については近いものがあったのではないか。

倉又監督については、もちろん人心一新も大きかったと思うけど、しかしわずか数日間の短さでよくぞチームをまとめてきたものである。適材適所の選手起用が成功だった。ガーロ監督の時は残念ながら「こうやりたい」が選手の「これができる」と乖離しているように見えたものだが、倉又監督は今の選手の能力にピタリ合わせた印象である(それが長い目で見てどうかは微妙だが……)。7年間のヘッドコーチ時代に「こうした方がいい」と思っていたこともきっとあるだろう。今後の手腕にも期待したい。

選手たちも色々とフッきれたのか、この試合については90分間を通して集中して戦ってくれた。全盛期のキレを取り戻してサイドを切り裂いた石川、やっと頑張りが報われたルーカス、攻撃の中心となった梶山、思い切りと献身ぶりが戻った赤嶺、無尽のスタミナを見せつけた徳永、そして本当に久しぶりに「切り札」としての仕事をしてくれた阿部吉朗…etc。あと、藤山が肝心な場面でよく効いてたのにはちょっと感動した。守備ではSBより、CBの位置に動いた時の方が良かったけど(笑)。

とにかく、この試合については「本当に良かった」というのが正直な感想である。ゴール裏の真ん中辺の人々も監督交代で満足したらしく(「これでいいのだ」という横断幕が出てましたな)ちゃんと応援してたし、その他のサポーターも新体制のリフレッシュ効果(笑)と熱い東京の戦いぶりにノリノリで応援してたし、僕みたいなへそ曲がりファンもゴールの度に「オッシャ!!」と声を出してたし。裏を返せば、ここで惨敗でも喫してたら本当に空中分解だから。良かった、としか言いようがないだろう。

とはいえ、冷静に考えてみれば、序盤「目が覚めない」うちにやられる癖や失点の多さ、それに逆転した状況でリードを有効に生かせないところなど、相変わらずの課題が残っているのも事実である。それに、今回の千葉は過密日程でA3の頃とは比べようもないほど精彩を欠いていたことや、これまでも快勝や大勝の後にさほど強くない相手(失礼)にコロッと負けてきた歴史も忘れてはならない。まずは1勝。この戦いぶり(あるいはそれに近いもの)を続けて行けるどうか。次の相手は福岡だ。

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コメント

おっしゃるとおり、今日の試合ですよね。
色んな意味で楽しみです。

勝ちましたね!微妙に危なっかしかったけど(笑)。

これで、楽しみが広がりました。

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