●終戦記念日からのリスタート
アレッシャンドレ ガーロ監督解任のお知らせ (FC東京公式)
おー。予想外に速い対応だったね。なかなか思い切ったことをしたものだ。確かに、今解任するにせよ続投させるにせよ早急に何らかのアナウンスをすべきだと多くの人が感じていたとは思うのだけれど、8月後半の中2日・中3日が続く日程を考えれば、リスク回避の観点からもこの結論にたどり着くのはある意味当然だったのかもしれない。
ガーロの解任は……まあ仕方がない。色々不運な要素もあったとは思うし、中断前の名古屋戦・甲府戦あたりはいい雰囲気になりかけていたんだけど。結局、2ヶ月もあった中断期間を利用してチームを固められなかったのが致命的だった。僕的には、何度も書いてるように「フィットしないね」と思いつつも「待とう」という立場だったのだが、やはり浦和にボカチンくったのがさすがにね。2年連続、アウェイの浦和戦で徹底的にガックリさせられることになった。
ともあれこれで、「外国人監督起用」「リアクションサッカーからの脱却」という今年のチャレンジはとりあえず失敗に終わったわけだ(次の人がどういうサッカーを目指すかまだわからないが)。まあ、初外国人監督・初外国人フィジコに加えて初の3バックに初の解任コールに初のシーズン途中解任(FC東京になってからは)も体験できたのだからいい体験だった……というのは半ば冗談だとしても。
この経験を生かさなくてはならない。そうしなくては、半年間の苦労が本当に無駄になってしまう。監督に求める資質の内容、通訳を含めコミュニケーションの問題、補佐する人材(まで新顔にしたこと)の問題、そして目指すサッカーと選手層の問題。倉又体制がどのくらい続くにせよ、その次は再び外国人監督を起用する可能性が高い(嫌がるファンは多いだろうけど)から、教訓はしっかりチームのノウハウとして刻み込んでおいてほしいものである。
ガーロさんは、前任者が人気者だったこともあって、最初から厳しい目で見られがち(←控えめな表現)で「気の毒だな」というのが正直な感想だった。そして、結局クルクルとチームをいじり続けて固めないうちに迷走状態になってしまい、ファンを見返すような結果を出すことができなかったのは、彼自身の責任とはいえ残念。まあ、初の海外での苦い失敗。それこそいい経験だろうし、本人も解任自体は「仕方がない」と思っているのではあるまいか。
とりあえず、お疲れさん、と言ってあげたい。せめて僕くらいは彼のために偲び酒を飲むことにしよう……って、別に死んだわけじゃないか(笑)。ホント、元気でなー。
んで、新監督は倉又さんですか。日程に余裕がない状況では妥当な選択だと思う。外国人監督招聘の噂の方は本当かどうかは知らないけれど、今の足場を踏み外しちゃったような状態では、まずは「原点に立ち返る」ことが必要ということなのだろう。大熊・原両政権を通じてチームを支え続けた(ある意味去年までの東京のカラーを作った張本人である)倉又さんは、うってつけの人材には違いない。報道にあるように長澤さんも戻ってくるとしたら、なおさらである。
しかし、倉又さんは現在進行中のU-18チームを、長澤さんもU-15チームを率いていた人なわけで、「一旦元に戻す」形とはいえシーズン途中でもう一度大きく人を動かすのだから、やはりこれは思い切った人事であり、それだけチームが危機感を持っている現れでもあるのだろう。次のチャレンジにスムーズに踏み出すためにも、もう一回ちゃんと足場を固め直さなきゃアカン、といったところか。
今後1ヶ月近くの間は味スタでの試合がなく、日程も詰まった非常に難しい状況。重責であり、難しい役どころではあるけれど、倉又さん(と長澤さん)には頑張ってほしい。そして、とにもかくにももう一回やり直す契機ができたのだから、選手たちには広島戦や浦和戦みたいなグダグダなプレーじゃなく、グッと引き締まった戦いぶりを期待したいところである。
偶然ではあるが、今回の監督交代は日本の「終戦記念日」に行われた。そこに奇妙な符合というか、何らかの意味を見いだしたくなる人もいるかもしれない(僕のことだが(笑))。8月15日は日本人にとって「失敗」のメルクマールであると同時に、「再出発」を象徴する日付でもある。FC東京も、たかが一度の失敗で挫けることなく前へ進んでいきたいものだと思う。
日曜日の千葉戦@フクアリは、ちょっとはフレッシュな気持ちで応援できるかな……。