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2006年07月10日

●「堅守の威力」が発揮された90分間 ('06W杯決勝前編)

早朝、NHK-BShiでドイツW杯決勝。イタリア 1-1(PK5-3) フランス。欧州勢同士ということもあり、例年以上の内容が期待された決勝戦。途中までは両チームが得意の守備力を発揮して引き締まった好ゲームとなったが…終盤、事前には予想もつかない「アクシデント」によって試合のテイストは全く違うものとなってしまったのだった。


序盤、イタリアはややイレ込んでいるように見えた。いきなり4分、クロスのこぼれ球を拾ったヴィエラに対してザンブロッタが猛スピードで激突し、警告。その直後、ロングボールをアンリが頭でつないでマルーダがボックスへ突入、マテラッツィが寄せたところでマルーダが倒れてPK。スローで見ると接触はなく誤審に見えたのだが、DFの間に大きなギャップができたあたりはイタリアらしからぬポカであった。ジダンがバーに当てながらも決めて、フランス先制。

続く9分、サニョルのクロスをクリアしようとしたマテラッツィのヘディングがゴール方向に飛び、ポストをかすめてあわやオウンゴール。「さすがはマテラッツィ、ネタ系DFの鏡だ」と感心する余裕もなく、その後もイタリアが攻め急いでミスする場面が目立つ。対照的にフランスの選手たちは落ち着いており、「やはり優勝経験の差は大きいのだろうか」と思わされたのだった。

しかし、イタリアには常識にかからない男がいた。19分、右CKからピルロが高いクロスを入れ、ファーで伸び上がったマテラッツィがヴィエラに頭1つ競り勝ってヘディングシュート!ボールはバルテズの頭上を越えてゴールネットに突き刺さった。変な踊りで喜ぶ(笑)マテラッツィ。高さでは不利かと思われていたイタリアだが、1人だけ「アルプス級」の選手がいたらしい。同点。これで面白くなった。

そこからはイタリアがボールを支配しフランスが速い攻めで対抗する形になったが、互いの守備力の強さにどちらも決定機をつかめない。トーニはテュラムの頑健なマークで前を向けず、トッティはマケレレにボールを狩られてばかり。対するフランスも好調のマルーダがキレのいいドリブルで攻め込み、アンリも存在感を発揮するのだけれど、イタリアの粘り強い守備にあと一本のパスが通らない。同点のまま前半終了。


後半、いきなりアンリが中盤からスピードに乗ったドリブルを開始、ガットゥーゾとカンナバーロを抜き去ってボックス内でシュート。これはミートせずブッフォンがキャッチしたのだが、イタリアにとっては冷や汗もののシーンだった。48分、カンナバーロのヘッダーはギャラスに当たってノーゴール。50分には右サイドでアンリがDFに体をぶつけられながらステップで3人かわしてボックスへ突入、ラストパスをDFが辛うじてブロック。

短時間で続けてアンリに(しかもガッツやカンナバーロが)突破されたことは、心理的に大きかったのだろう。イタリアは明らかに受け身になり、フランスの攻勢に。マルーダ・リベリー・アンリが次々にしかけ、間一髪DFがシュートブロックという場面が続く。52分、ボックス内でアンリにパスが通ったシーンではカンナバーロが倒れながらボールに足を引っかけクリア。直後にはマルーダをザンブロッタがPKすれすれのタックルで止める。

56分、ヴィエラが太腿裏の負傷で退場するアクシデント。一方、流れを変えたいイタリアは61分にペッロッタとトッティ(!)を外し、デ・ロッシとイアキンタを入れる。その直後のFK、グロッソのクロスに飛び込んだトーニが右隅にゲット…したかに見えたがこれはオフサイド。63分、アンリがカンナバーロとの一対一からステップでズラして強烈なシュート、ブッフォンが横っ跳びでセーブ。

交代直後こそややペースを取り戻したかに見えたイタリアだったが、序盤のイレ込みの反動でバテたのか、それともアンリによる「金縛り」のせいか、再びペースダウン。ロングボールを追うトーニはフランスDFに確実に潰され、セカンドボールへの押し上げもなし。またもフランスの攻勢が続き、リベリーらが次々シュートを放つ。しかし、シュートの精度がイマイチだったのと、カンナバーロが時たま見せる鬼守備のせいで得点には至らない。

77分、フランス陣中央でイタリアがFKをゲット。ピルロが直接狙うが、曲がりすぎて左に外れる。84分にはサイドを突破したアンリがゴールライン際をえぐり、ジダンめがけて折り返すもDFが寸前でカット。86分にイタリアがデル・ピエーロを入れたのは、ある意味博打だったか。結局両チームともに譲らず、1-1のまま延長戦へ突入。攻め合いというよりも、これまで両チームが見せてきた「堅守の威力」が発揮された90分間、というところだろうか。


後編につづく)

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