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2006年06月24日

●本当に、本当になってくれるの?

ジーコ監督後任にオシム氏と交渉 川淵会長明かす (スポーツナビ)
 
 
川淵日本サッカー協会会長(自称キャプテソ)が記者会見で語ったそうな。つーか、代表帰国を伝える夕方のニュースでも既にその模様が流れてましたわ。

まだ代表チームはジーコも帯同した状態で帰国したばかり、しかもオシムともあくまで水面下で交渉しているところなのに、なぜ今言っちゃうかなあ…。いつものお喋りの延長線上で単に口が滑ったのか、ファンへのリップサービスのつもりなのか、それとも独断でジーコ就任を決めたことの責任追及を回避するためか(どうもこれっぽい)。

 
気になったのは、会見の中で川淵氏が「オシムの練習は選手の自発性を中心にしており、僕が見たことのない種類のもの」「選手の判断を尊重するジーコの路線を継ぐのに相応しい人」(注:細かい言い回しは違うかも)と語っていたこと。「自発性中心」「ジーコの路線」って……なんかおかしくないっスか?

川淵氏としては、とにもかくにもトルシエへのアンチテーゼとしてジーコを選んだ自分の判断を正当化したいのだろう。自分とジーコの「選手の自主性重視」は間違っちゃいないんだ、と。でもね。少なくともあれだけ駄目だった3試合の直後で、総括もなしにいきなり現路線継続を打ち出すのはおかしいし、無神経ではないかと思う。

しかも、「だからオシム」とは、支離滅裂な。オシムのやり方って、入口は「走れ走れ」の軍隊式シゴキだし、ジェフの選手は最初相当反発してたらしいぞ。まあ、最終的には選手の判断や個を生かす方向へつながるんだけど。少なくとも、「選手に丸投げ」していた現監督とは全く違う。サッカーにうとい世間やマスコミに誤解を与える物言いはやめてほしい。


僕が今回のW杯で失望したことの一つは、日本サッカー、あるいは日本代表のトップに位置する人々、つまり川淵会長やジーコ監督から「責任は私にある」のひと言が出てこないことだ。特定の選手やJリーグのレベルのせいにするような発言は(それ自体の当否はともかくとして)色々と聞こえてくるのに…。

もちろん、トルシエの極端さの後にジーコでバランスをとろうとした川淵氏の意図はわからなくもないし、ジーコが代表に何ももたらさなかったとまでは思わない。でも、最大の目標たる大会で結果が出なかったのだから、失敗を認めるくらいはした方がいいのではなかろうか。いつも言うことだが、「功績は選手に、責任は指揮官に」帰するのがは正しいあり方だと僕は思っている。ほら、だって、「部下に責任を押しつける上司」なんてサイテーじゃん(笑)。


まあ、その辺はさておき、本当にオシムが代表監督になってくれるとすれば、これは願ったり叶ったりの事だ。今の代表を取り巻く環境や協会の体制からして、彼が就任しても必ず成功できるとまでは確信できないけれど、でも彼以上の名将なんて世界のどこを探してもいないのだから。もっとも、その場合、ジェフのサポーターには本当にお気の毒様、としか言いようがないね。


あと、このまま事が進めば、「フットボールは未来の兵器である」の予言はズバリ的中、ということになるのだが……。まったく驚くべきことである。

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コメント

>それとも独断でジーコ就任を決めたことの責任追及を回避するためか(どうもこれっぽい)。

たぶんそれでしょう。で、そのことに触れてるマスコミはセルジオ老ぐらいじゃないですか。

でも、ネット界で特にJリーグをきちんと見てる層はこのからくりに敏感に気づいてますね。
素晴らしいメディアリテラシーぶりだ!(笑)

>「選手の判断を尊重するジーコの路線を継ぐのに相応しい人」

この発言聞いたらオシム怒るんじゃないの。「俺とジーコを一緒にするな」って(笑)

>川淵会長やジーコ監督から「責任は私にある」のひと言が出てこないことだ。

同感。あんたら解説者かいって突っ込み入れたくなりましたね。
特にジーコの「戦っていない選手がいた」発言って「戦わすように持っていくのがあんたの仕事でしょ」って思いましたね。

余談ですけど、ラモスの代表批判に関して緑サポがネット上で「代表批判する暇があったら自分のチームなんとかせえ」って大合唱だったのは笑いました。

>ジェフのサポーターには本当にお気の毒様

その通りなんですけど、これ以上オシムをジェフが独占しちゃっていいのと思うところでもあります。

オシムが監督になって、オシムのサッカー哲学なりが日本中に伝わるのは日本サッカーに取ってかけがえの無い財産になると思います。

まぁ、これはエゴであって、ジェフサポにとっちゃいい迷惑な話とは自覚してますが。

最後にオシムが監督となったとして、オシム自信の年齢もそうですが、代表主力の高齢化も心配ですね。
代表とオシムはもっと最高の出会いの時期があったのではと悔やむことがないと願います。

藤島大氏が大学ラグビー関連コラムで
「才能集団が才能に溺れてちょぃと練習をサボった。チームはベスト8で敗れた。それを見ていた後輩は猛練習に次ぐ猛練習。でも、タレントの抜けた穴は大きく結果は去年と同じベスト8.ファンは去年のメンバーこれくらい練習していればと嘆く。これが、大学ラグビーの残酷さと面白さ」
と書いてましたが、ちょっとそのことが頭をよげりました。

いずれにせよ、正式な決定でもないので、すべて仮定の話ですがね。

正式決定してオシムの考えなりが聞けたら、自分のmixiなりで思いのたけをちゃんと書きたいなと思ってます。

>素晴らしいメディアリテラシーぶりだ!(笑)
そりゃ気づくって。あまりにもタイミング良すぎる「失言」なんだもの。コロッとだまされる(もしくはそのふりをしている)一部のマスコミはどうかしてるんじゃないかと思う。つーか、「さすがは電通」とでも言うべきか(笑)?

>「才能集団が才能に溺れてちょぃと練習をサボった。チームはベスト8で敗れた。それを見
>ていた後輩は猛練習に次ぐ猛練習。でも、タレントの抜けた穴は大きく結果は去年と同じ
>ベスト8.ファンは去年のメンバーこれくらい練習していればと嘆く。これが、大学ラグビー
>の残酷さと面白さ」
うーむ、なるほど……確かに、ナイジェリアユース組ほどの「黄金世代」はなかなか現れないことを考えると……確かに……。

ただ、そこの心配はあるにしても、仮に報道されてる通りオシム爺が「ヘッドコーチに日本人を入れろ」と主張してるとすれば、彼は広い意味での「次の世代」への橋渡しもきちっと考えてくれてるということなんだろうね。さすがというか。

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