●やられた、やられた、やられた…クソッ。 (日本×オーストラリア)
NHKでドイツW杯グループF。日本 1-3 オーストラリア。大事な、大切な、超重要なグループリーグ初戦。午後のカンカン照りの下、試合は消耗戦となり、日本はGKのミスから幸運な先制点を得るも、残り10分やはりGKのミスをきっかけに続けざまの3失点。厳しい逆転負けをくらってしまった。ああ、悔しい。
前半途中まで、どちらかと言えば豪州ペースだったように思う。個々の選手は屈強ながら力任せにならず、規律のとれたパス回しからのキューウェルらの鋭い持ち出し、さらにヴィドゥカの機転を武器にチャンスを作る。ただし、日本もやられっぱなしというわけではなく、能活の好守でしのいでは、柳沢と高原の切れのいい動きから逆襲を見せた。高原がDFの逆をとって放ったシュートは僅か左にはずれ。
先制点は日本。26分、右サイドに流れた俊輔がゴール前へクロス、ボールはDF・GKと日本の2トップが交錯した頭上を抜けてそのままゴールイン。スローで見たら高原が思いきりGKに体当たりしていたが(「スシボンバー炸裂」ってか(笑))、GKの動きも落下点からズレていたからまあファウルをとらない判断もわからなくはない。とにかく、「ジーコの悪運もまだ続くか」という感じではあった。
その後は日本のパスがよく回り始め、対照的に豪州は暑さにやられたのか徐々に動きが落ちていく。ハーフタイムを挟んで後半になっても豪州の選手は見るからに体が重そうで、やっとこさ前線にボールを運んでも日本DFが着実に囲んでカット、という場面が続いた。56分に坪井が負傷退場するアクシデントはあったものの、苦境に立っているのは明らかに相手側だった。
ここでヒディングが動いた。DFのムーアに代えて長身FWのケネディ、さらにMFウィルクシャーに代えてFWアロイージとアタッカーを投入していく。そして、案の定というか、ドッカンドッカンとパワープレイの連続。しかし、これに対して日本は宮本を中心に冷静に対応、きちんとアタッカーに体を当ててはこぼれ球をかき出し続ける。茂庭もファウルで警告をくらいはしたが、大きなチョンボはなし。
69分、ペナルティボックスすぐ外での豪州のFK、壁の下を抜けたヴィドゥカの弾丸シュートを能活が横っ跳びで弾き出す。スーパーセーブ!これを見て「よし、行けるぞ」と思ったのは僕だけではあるまい。豪州の単調な攻めに対し、日本はMF陣が確実につないで時間を使っていく。それを後押ししようと、79分にはジーコも柳沢→小野の交代策。あと数分守れば、というところまでたどり着いた。
全てが暗転したのは84分。左サイドから豪州のロングスロー、能活が前に出るが触れず、中澤とアタッカーが競ってこぼれたボールをカーヒルに蹴り込まれた。能活らしいと言えばらしいが、あまりにももったいないミス。勝ちたい日本は反撃に出るも、いい形だった福西のシュートがゴール右に外れたのを最後にDFが瓦解。89分にはバイタルエリアで寄せが甘くなったところを再びカーヒルに決められ、逆転を許してしまった。
これを見て、日本ベンチは慌てて大黒を投入。しかし時既に遅しというべきか。逆にロスタイム、ドリブル勝負するアロイージに駒野が交わされてズドン。能活も止められずゴール、なんと10分の間に3失点。そしてそのまま試合終了。肩を組んで喜びはしゃぐオーストラリアの選手・スタッフに対し、日本の側は……。こわばった顔のまま、汗だくで立ちつくす宮本の姿が印象的であった。あ~あ。
残念だ、としか言いようがない。後半半ばまでの流れを見たら「こりゃ勝てる」と思ったがな~。見た目は悪いが最も確率の高い(と踏んだのだろう)パワープレイの徹底に加え、フレッシュなアタッカーを次々投入してきたヒディング采配にやられた形である。言い換えれば、日本側は(坪井の交代が予定外とはいえ)対応が後手に回った感は否めない。
結果的に能活のミスから同点にされたけれども、彼のミスはあれ1つだけで、それまでの好守を考えれば「よくやった」と言ってあげたいところ。いや、彼だけでなく、宮本は冷静な読みを発揮したし、中澤も駒野も三都主(!)も、サボらず懸命によくやってくれた。柳沢はよくDFを脅かし(「撃てよ!」ってのが1つあったけど)、高原や中田も出来は決して悪くなかった。あえて言うならば、俊輔のプレーがやや物足りなかった、という感じか。
議論になりそうなのは、柳沢→小野の交代か。中盤にテクニカルな選手を入れてゲーム支配をより確かなものにしたい、という考えだったのだろうか。ただ、そうせずともあの時間帯中盤では日本が優位だったし、豪州の側は中盤省略のパワープレイにかかっていたのだから、ちょっと(いやかなり?)ズレたかな、という気はする。結果的に、小野君はほとんどボールに触ることがなかったんじゃなかろうか?
まあ、ジーコ的には、単純に、一番重要な局面なのだから、ベンチで一番上手い(信頼できる)選手を入れた、ということなのかもしれない。そもそも守備固め要員(今野か明神)入れとけよ、とか、選手交代自体遅いよ、ということは棚に上げるとしても、巻か玉田にガンガン前目でチェイスさせるという手があった(高原も途中からは消えていたから)、とは思う。しかし、いずれにしろ「後の祭り」だな…クソ。
ともかく、非常に痛い、痛すぎる一敗だが、これでW杯が終わってしまったわけでもないし、クヨクヨしたって仕方がない。もうクロアチア戦に勝って、全てをブラジル戦にぶつけるしかないのである。大会の、そしてこの4年間の総括(反省)は、せめてその後にしないとね。
[追記]
例のダンマクは、一度もテレビに映らなかったようだけど、結局持ち込み(もしくは掲出)ができなかったのだろうか。だとしたら、これまた残念。
コメント
持ち込みは出来たそうですが、掲示が
できなかったそうです。理由までは確認できてませんが>ダンマク
Posted by: たか | 2006年06月13日 10:56
こんにちは。
ジーコは端っから「守備固め」という発想がなかったんでしょうかね。そのために使える駒がベンチにもいないんですから。
もうすっかり「4年間の総括」に入りそうな気分です。奇跡は起こるか!?
Posted by: bumbum | 2006年06月13日 15:10
>たかさん
情報ありがとうございます。
せっかく苦労して持って行ったんだし、何とか現地で選手たちにあのメッセージを届けることができればいいんですけど…。
>ジーコは端っから「守備固め」という発想がなかったんでしょうかね。
そうでしょう。
セカンドボールの拾い屋、汗かきコマネズミ君がほしかった。
ただ、ジーコはジーコなりの哲学でやっているので、そういった選手や、あるいは今野みたいな守備要員を入れなかったんでしょうし、あの場面はとにかく中盤強化でボールを保持して乗り切ろうとしたんでしょうけどね。その意図はわからなくはなかった。
Posted by: murata | 2006年06月14日 08:19
コマノネズミ君ならいたんだけど。
オージーPA内で倒された件はFIFAもPKと言ってます。
http://sports.yahoo.co.jp/fc/group_f/
3失点目は止めて欲しかった・・・
Posted by: cooper | 2006年06月15日 16:33
>コマノネズミ君ならいたんだけど。
あー、駒野頑張ってましたけどね。クロスが大きすぎたりゴールラインを直接割ったりしたのは、ちと過緊張だったのかな?
>3失点目は止めて欲しかった・・・
おっしゃる通りで、得失点差的にも大きかったですからね。
ただ、あの時間帯あの状況で途中交代の選手に一対一で勝負されたら…責められないっす。
Posted by: murata | 2006年06月16日 00:56