« まだだ、まだ終わっていない (日本×クロアチア) | メイン | スウェーデン×イングランド ('06サッカーW杯) »

2006年06月20日

●スペイン×チュニジア ('06サッカーW杯)

NHK-BShiの録画で、ドイツW杯グループH。スペイン 3-1 チュニジア。この国にしては珍しく、極めて順調なスタートを切ったスペイン。注目の2戦目は、案の定というか、引く相手を崩せず苦戦の展開に。しかし、終盤に新旧ゴールゲッターの活躍でたたみかけ、終わってみれば鮮やかな逆転勝ち。やはりこの大会のスペインはひと味違うのか?


途中までは完全にアップセットの流れだった。8分、FWジャジリの切り返しがDFを引きつけ、折り返しをMFムナリがボレーから押し込んでいきなりチュニジア先制。その後は初戦で得た自信もあるのか、スペインも慌てず中盤のパスワークで翻弄しながら攻めたてる。が、この日のチュニジアDFは意外な健闘を見せた。フェイントやワンツーで抜かれても慌てずカバーに走り、アタッカーに体を当てて決定機寸前で防ぐ。44分、CKからアロンソがドンピシャのヘッダーを枠に飛ばすも、ゴールライン上でDFがクリア。

後半、スペインはラウールとセスクを一気に投入して流れを変えようとする。しかし、開始直後のセスクの強烈なミドルシュートはGKブムニジェルが横っ跳びでビッグセーブ。さらにボールを回して攻めたてようとするスペインだが、試合前から降り続く強い雨とチュニジアのプレッシャーが微妙にコントロールを狂わせ、トーレスが遠目から放つシュートも枠をそれていく。さらに投入されたホアキンもなかなか突破できず、いや~な空気が流れて、気がつけば後半も半ば過ぎ。

ここでスペインを救ったのは、忘れられかけていた「あの男」だった。26分、DFライン前の平行パスをトーレスがスルーしてマークがずれ、セスクがボレーシュート。ブムニジェルはかろうじて止めたもののボールが手前にこぼれ、そこに左サイドから飛び込んできたのは…ラウール!DFトラベルシともつれながらも足一つ分競り勝ち、ブムニジェルの上を抜いて逆サイドネットに突き刺した。久々に見た、ラウールらしい魂のゴール!!これで空気が変わった。

直後の30分、スペイン中盤のワンタッチのつなぎから、チュニジアDFラインに生まれたギャップを突いてトーレスが右から左へ斜めに走る。そこでセスクが絶妙のタッチのスルーパス。1人抜けたトーレスは角度を失いながらも、巧みに右足アウトでブムニジェルの脇を抜いてゲット!いや、今回のエスパーニャは勢いづくと止まらんス。歓喜と自信に満ちた表情で座り込み、微妙にカッチョ悪い「変身ポーズ」(?)をとるトーレス(笑)。

そこからは、スペインが初戦ほど完璧ではないものの試合をコントロール。オーレオーレとサポーターの声援に乗ってボールを回し、相手が前に出ようとするやラインの裏を突いてチャンスを作る。44分、左サイドから回り込むラウールが、ファーサイド走り込むトーレスへ柔らかいクロスを送る。トーレスがジャンプしようとしたところでDFヤヒアが手で押さえてしまい、PK。愕然とするルメール監督。これをトーレスが思い切り蹴り込んで2点差に。結局、そのままスペインの快勝となった。


スペインのアラゴネス監督にしてみれば、ある意味初戦以上に嬉しい勝利だったのではあるまいか。確かに、スコア以上に苦しい戦いだった。あっさり先制されてなかなか点が奪えず、スペインの負けパターンと言ってもいい展開だった。しかし、そこでこれまで我慢を強いられていた「元エース」の本領発揮で同点、そして「次代のエースたち」の見事な技巧で逆転、となればこれは文句のつけようがないだろう。

まあ、過去の経験からしてまだまだ信用がならないとは思いつつも、今回のスペインに従来以上の「可能性」を感じるのは確かだ。先発の、そして途中交代で出てくる選手たちの顔ぶれを見ても、大会屈指のタレント揃いのチームであることも間違いない。弱気の虫をどこまで出さずに走っていけるか。そして、いざヤバい局面になった時にアラゴネス監督の度胸とラウールらの経験でどこまで乗り切れるか。面白いことになりそうだ。

チュニジアの健闘の中で、特に光っていたのはGKのブムニジェルであった。現在40歳(!)とのことだが、年齢を感じさせない屈強な体と安定感のある動きを見せ、後半42分のトーレスとの一対一をはじめ何度か決定的なピンチを防いだ。前の大会のシーマンもそうだったけど、GKは選手寿命が長いとはいえ、不惑ともなると出場しているだけで頭が下がる。日本のGKで言えば…土肥ちゃんも次狙えるし、能活や楢崎はあと2回行けるじゃないか、ねえ(笑)。

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2005

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)