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2006年06月19日

●まだだ、まだ終わっていない (日本×クロアチア)

NHKーBShiでドイツW杯グループF第2戦。日本 0-0 クロアチア。初戦敗れた両チームにとって大事な大事な第2戦。負けたら即終わり、特に3戦目にブラジル戦を控えている日本にはまさに崖っぷちの状況。結果は…この試合だけみれば「痛み分け」だが、そもそも苦しい日本は勝点3を取れなかったことでますます追い詰められてしまった。もう、開き直るしかない。


前半、日本の出来は悪くはなかったように思う。豪州戦に比べて前目から守備に行く姿勢があり、ボールを奪うと中盤のパスワークにSBも絡んで攻撃ラインを押し上げる。やはり小笠原が入ってマークも分散したのだろう、俊輔がボールに触る回数も多い。相手にDFライン前までボールを運ばれると中盤底の守備が緩いためピンチに陥るが、それは4バック(実質1ボランチ)を採用した時点で覚悟せねばならないこと。対するクロアチアは、特に前がかりにもならず慎重な立ち上がりに見えた。

21分、こぼれ球を拾ったFWプルショが右からボックス内へ切れ込んだところ、反応の遅れた宮本が後ろから倒してしまいPK。しかし、スルナの弾丸シュートを横っ跳びした能活が片手で弾き出して防ぐ。また出たよ、スーパーセーブ!能活は、この後バックパスをトラップし損ねてあわやオウンゴールというお茶目な場面(笑)もあったが、この日は前回のようなチョンボもなく、今度こそ「さすが日本の守護神」という感じであった。

この日は気温が非常に高く、25分を過ぎる頃には早くも両チームの寄せが甘くなり、DFラインも下がってややルーズな攻め合いに。28分、クラニチャルのミドルシュートがバーを直撃。31分、小笠原が強烈なミドルを放つもGK正面。36分には俊輔がドリブルでつっかけたこぼれ球を中田が超強烈なロングシュート、GK横っ跳びで好セーブ。これは惜しかった。40分にもクラスニッチが日本DFの隙間に入ってシュートするが、能活が反応良く押さえる。

前半の終わり頃になると日本に自陣でのミスが目立ち始めてクロアチアの一方的攻勢に。なんとかしのぎきったものの、ハーフタイムでの立て直しが必要と思われた。案の定、後半開始と同時に選手交代の動き。日本ベンチの采配に注目が集まったが…福西OUT、稲本IN。おそらくは、とりあえず相手の攻勢を止めて反転攻勢に出るにはまず中盤の底を強化する、という意図なのだろうが…まあジーコだわな。それとも、福西のコンディションの問題か?


それでも、51分に最大のチャンス。右サイド、高原を使った壁パスで加地がきれいに抜け、ゴールライン手前までえぐってから丁寧な平行パス。逆サイドにはどフリーの柳沢が走り込んでいた。本当に、ただ蹴り込むだけでゴール。思わずガッツポーズの準備までしたのだが…次の瞬間、ボールは不自然なコースで枠外にそれていった。「ナイスクリア」と皮肉を言いたくなるようなキックミス。大げさでも何でもなく、この瞬間、勝点3が逃げていったように思えた。

このブログを見ている人ならご存じだろうが、僕はこれまで柳沢という選手を高く評価してきたし、批判に対しても極力庇ってきた。けれども、今回はさすがにガックリ来た。「強さと強引を欠くが、動き出しとポジショニングに優れるFW」があれを決めなくてどうする、という。結局、00年のアジアカップから進歩してなかったということか。いや、01年当時(パラグアイ戦とか)の得点能力を考えたら、むしろ退化してるかも(泣)。足の怪我も影響したかもしれんが…。

その後は、暑さで選手の動きがどんどん落ちる中、日本のフォローと連動性を欠いたパス攻撃はクロアチアの頑健な守備陣にはね返され続け、クロアチアは薄い日本の守備網をかいくぐってチャンスを作るがいっこうにシュートが枠へ飛ばない。まあ、クロアチアにしてみればこの試合引き分けでも次豪州に勝てばだいたいオッケーなわけで、無理していなかったのも確かなんだろう。

終盤、日本は最後方から能活が怒鳴りまくり、中田は必死に味方を動かそうとするが、パスの精度は落ち、流れの中で俊輔は消えがち、頼みのセットプレーも不発。途中出場の玉田と大黒も流れを変えるには至らない。玉田が倒されて立ち上がらないのを見た解説の井原さんが、思わず「玉田、立て!」と叫ぶ。32分に玉田が、終了間際には三都主が左サイドをドリブル突破してクロスを入れるチャンスも、いずれも中央のFWに届かず。結局、スコアレスのまま終了のホイッスルが鳴った。


先日のオーストラリア戦に比べればずっとまともな戦いができた、というのは何の慰めにもなりはしないが事実ではある。前半はそこそこパスが回っていたし、比較的弱点と見られていたクロアチアのサイドをMFやFWとのコンビでSBが突破して何度かチャンスを作ることもできた。でもなあ、やはりそこからの一押しが足りないんだよね。今、「足りない」なんて嘆いても仕方がないこともわかっちゃいるけれど、中田のミドルシュートがあまりに惜しかったのと、柳沢のあれが……うーん。

ともあれ、もはやクヨクヨしている場合ではない。切り替えよう。ブラジルに勝とう。勝つしかないのだ。オーストラリア戦の日に非サッカーファンの仕事仲間に「どうなのよ今日の試合は?」ときかれた時、僕は「選手の能力的には差がない。ただ、監督が「長嶋」対「野村」だから」と答えたものだった。結局その試合はヒディング=野村のIDサッカーの前に敗れた我々だが、しかしジーコ=長嶋にはメークミラクルがある(かもしれない)。まだ諦めるのは早い。

……我ながらムチャクチャなこと書いてるな、しかし(笑)。

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コメント

イテモタッテモイレズ、初のカキコ致します。(わかりますよね?)
murata-san、世間は柳沢・高原をはじめとするFW批判が、いや今に始まったことじゃないけど、絶対に決めなきゃいけないこの4年間の集大成の場面でも決めらなかったという結果を受け、FWを育てるっていったいどうすればいいんだって今一度考えるべきことに感じました。
今回の代表メンバーに久保がいれば、佐藤がいればなんて選択の問題ではなく、誰が入ろうと結果につながらない重大な欠陥があるように思えました。高原・柳沢のツートップ、これは4年前の代表選考の時点でも、この4年間の相対評価で考えても、最もポテンシャルも高く信頼のあるFWと認めていたはず。もともと成長のしない駒だったのか?!
私は体罰肯定派ではありませんが、なんというかアントニオ猪木氏のビンタで闘魂を注入!なんてーのが今一番必要な気が致します。勝っても負けても、完全燃焼!この大会でカッコいい日本男児の姿がどうしても見たい!世界に「サムライニジャポン」と賞賛される姿を見たい!ブラジルを倒せば世界のトップニュース!いい機会じゃないか、頑張れ!日本!!

>今回の代表メンバーに久保がいれば、佐藤がいればなんて選択の問題ではなく、
>誰が入ろうと結果につながらない重大な欠陥があるように思えました。
いやあ、その通りだよね。
トルシエの時にせよ、ジーコになってからにせよ、色々な選手を試しても結局柳沢-高原に戻ってきてしまうということは、まあ彼らが日本のFWで最も優れていると同時に、彼らの姿が(現在のところの)日本のFWの限界である、ということなんだろうか。
もう何年も、僕が柳沢の起用を訴えると、必ず「何であんなヤツを」という人が出てくるんだけど、でもそういう人の口から「では誰にすればいいのか」納得する対案を聞いた試しはほとんどない。久保がいても、佐藤がいても、あの場面で本当にどうにかなったのか、僕にはイマイチ確信が持てないのですよ。

まあ、それにしても、ヤナギは決めるべきだったな…あのシュートだけは入れなきゃいけなかった。次は大黒だろう。仕方がない。

結局、どうすれば得点が入るようになるのか、という部分についての特効薬は僕にもわからない。ただ、繰り返しになるけど、e-guさんの言うとおり、「柳沢や高原なんて外せ」の大合唱だけでは駄目、ということだけはここ4年の経緯から分かっている。だって、玉田も、大黒も、佐藤寿人だって、「エースストライカー」あるいはインターナショナルレベルの「ゴールゲッター」にはほど遠いんだもの。釜本引退以来(あるいはカズが衰えて以後)、日本にそういう選手はいないのだ、という現状認識から始めないと。

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