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2006年06月18日

●ようやく小嵐来る ('06サッカーW杯)

大会前から、実は「死のグループ」C組より厳しいのではないかとも言われていたグループE。初戦でイタリアとチェコが快勝して「あら?意外と順当?」と一瞬思われたのだが、いやいやなんの、やっぱり平穏ではあり得なかった。2試合をNHKーBShiで観戦。


1試合目は、チェコ 0-2 ガーナ。開始直後、チェコDFのミスからギャンが決めてガーナ先制。これで浮き足だったのか、チェコはパスワークがチグハグになってしまい、前がかりになるもなかなか決定機を作れず。66分にはウイファルシの退場でさらに苦しくなり、終盤はチェコに疲れが出たところを逆にガーナが攻勢に出て、82分ムンタリのゴールで追加点。終わってみればガーナの完勝であった。

この試合目立ったのは、ガーナの身体能力とチェコのひ弱さである。ガーナの選手はとにかく速い!特に守備の時にはボールへの寄せや帰陣が極めて素早く行われるため、チェコの側は中盤でボールを奪った場合もほとんど速攻につなげられなかった。W杯の出場経験の少ないチェコは、ブラック・アフリカンに不慣れでやや面食らったのかもしれない。

また、そういう身体能力の差を差し引いても、チェコはちょっとひ弱だった。肉体的なものだけでなく。怪我による欠場の多さが自信を奪っていたのか、わずか1点差なんだから、もう少し落ち着いてやればいいと思ったのだが…。ネドヴェドはいつも通りながら、ロシツキーあたりがかなり力を出し切れずに終わったような。うーん、決勝T進出も微妙だけど、仮に上に上がっても苦しいかもしれない。

あと、特に終盤、両チームのGKのスーパーセーブ合戦は見応えがあった。チェコのツェフが「特別な選手」なのは一昨年のロンドン遠征以来イヤと言うほど見せつけられてきたが、ガーナのキングストンも至近距離からのシュートを信じがたい反射神経で弾きまくった。この2人じゃなかったら5×3くらいの試合になってたんじゃなかろうか。


2試合目は、イタリア 1-1 アメリカ。前半途中まではアメリカの激しく前に出る守備とサイド速攻がよく機能し、イタリアDFもタジタジという感じであった。しかし22分、ピルロの美しいFKをジラルディーノがダイビングヘッドで押し込んでイタリア先制。さすがというか、セットでもルースでも一発のプレーがあるチームは強い!という感じであった。

しかし。これで落ち着くかなと思いきや、27分、自ゴール前でザッカルドがクロスをボレーでクリアしようとして蹴り損ね、ボールは真後ろに飛んでオウンゴール。唖然とするイタリアの選手たち。さらに28分、デ・ロッシがひじうちの判定で一発退場。なんか、これはこれでイタリアっぽいような気もするが、当人たちにとっては全くシャレにならなかったろう(笑)。リッピはトッティを外してガットゥーゾ投入。

大荒れの展開はさらに続く。前半終了間際、マストロエーニが両足タックルで(?)一発退場、後半開始早々にもポープが2回目の警告で退場。一転、アメリカは9人×10人で苦しい立場に追い込まれた。ここで両監督は名将らしく限られた条件下で最善の道を探る。イタリアは左にデル・ピエーロ、右にヤクインタとアタッカーを入れて仕留めにかかり、アメリカは守備を固めつつ逆襲要員ビーズリーを投入。

後半半ばからは、全体的にはイタリアがピルロを起点に何度も「あと一歩」というチャンスを作り、アメリカはドノバンのキレのあるドリブルを中心に鋭いカウンターで冷や汗をかかせる展開。ザンブロッタのミドルがポスト横ギリギリを抜け、ピルロの浮き球から抜け出したデル・ピエーロのシュートはGKケラーが片手一本でセーブ。エキサイティングな攻防の末、1-1のままタイムアップ。両者痛み分け、といったところか。

この試合、数日前にアメリカの選手が「これは戦争だ」と発言した事で物議をかもしたのだが、まさか本当に戦争になるとは(笑)…というのは冗談。全体的に、激しかったけれども汚いプレーなどはなかったように思う。そういう試合で3人も退場者が出てしまうのはどうなんだろうか。なんか、FIFA主催の大会にはありがちとはいえ、「厳正」「公正」という名の杓子定規がやや暴走しているように思えるのだけれど。


この日の結果、グループEの行方は分からなくなった。4チーム全てに可能性が残っているのだから、これは第三者的には最高に面白い展開である。チェコ×イタリアはイタリアに、ガーナ×アメリカはややガーナに分があるように思えるが…。この組が真に「死のグループ」たる所以は、グループ突破の難しさもさることながら、2位突破になると決勝Tでいきなりブラジルと当たるところにもある。さて、どうなるか。

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