●アルゼンチン×セルビア・モンテネグロ ('06サッカーW杯)
昨晩は飲み会(記憶なし)だったので、グループC第2戦はNHKの録画で。アルゼンチン 6-0 セルビア・モンテネグロ。好発進をきったアルゼンチンに対し、後のないセルビア・モンテネグロが自慢の守備でどこまで食い下がるか…という興味深い対戦だったのだが、予想に反して一方的な「花火大会」になってしまった。これである意味「死のグループ」も終わり、ですな。
開始早々、アルゼンチンが先制点。左サイドの細かいパス回しからサビオラがスパッと抜け出し、完璧な折り返しのラストパスをマキシ・ロドリゲスに通した。緩急の際だつ、鮮やかな得点。その後はアルゼンチンがややペースを落としたこともあり、どちらかと言えばセルビア・モンテネグロがボールを支配して攻める展開。しかし、工夫のないサイド攻撃が多く、アルゼンチンDFは余裕で受け流している感じ。
31分、突如アルゼンチンの攻撃スイッチがオン。加速していくパス回しからサヴィオラ→カンビアッソ→クレスポとワンタッチでつなぎ、クレスポのヒールパスをクロスして走り込むカンビアッソがシュート!ゴール!お見事!!さらに41分、相手陣深くでボールを奪ったサヴィオラが単騎切り込んでシュート、こぼれ球をまたマキシが押し込む。なんか、「点?取りたい時に取ってますヨ」という余裕のサッカーである。
後半に入り、前戦と同様にアルゼンチンは無理せずつないでリードを生かすサッカー(つーか、延々つなげるのが凄いよな)。セルビア・モンテネグロももちろん反撃しようとはするのだが、頼みのアタッカー陣がいいリズムでボールを持てず、時間が過ぎるばかり。そして65分、タックルしたケジュマンが激辛判定(ボールに行ってたように見えたが…)でレッドカード。勝敗はここで完全に決した。
で、普通ならこれで「おしまい」なのだが、今日はまだ続きがあった。58分テベス、74分メッシと意欲的な若手を連続投入。これでまたスイッチオン。78分、クイックリスタートから左サイドをメッシが抜け、超絶妙のクロス(髪の毛一本の差でDFは誰も触れず)を逆サイド走り込むクレスポに通してゲット。84分には左サイドからテベスがやる気満々に勝負、DF2人をぶち抜いてゴール。鬼やな、この人たちは(笑)。
そして88分。クレスポとテベスが中央でキープ、DFが寄せられたところで右サイド駆け上がるメッシへスルーパス。メッシは、独特のボールタッチからスピードを保ったままシュート、ニアをきれいに撃ち抜いてゲット!6-0!!いや、これは驚きのスコアだ。最後、幽霊のように弱々しくなりながら、組織的な守備の動きだけは続けるセルビア・モンテネグロの選手たちの姿が何だか物悲しかった。
この試合のアルゼンチン、もちろん6点奪ったことも凄いんだけど、特筆すべきは、ダラダラ回すところも含めて90分間を完全に支配したことであろう。やる気になった時だけペースを上げて点を取って、しばらく休んで、またその気になったら攻めて点取って…の繰り返し。リケルメなんて、今日は若いヤツに好きにやらせて自分は後ろで見守ってただけ、という感じだもんね。王様が出るまでもないっしょ、みたいな。
あと、アルゼンチン代表で良いのは、チーム全体から家族的な一体感や暖かみが感じられるところ。元々そういうカラーといえばそうなんだけど、今回は特に強く感じられるのである。ユース代表監督を何度も務めたペケルマンがボス、というのがやはり大きいのだろうか。お父さん(ペケルマン)に長男(アボンダンシエーリ、アジャラ)、次男(リケルメ、クレスポ)、三男(サヴィオラ、テベス)、四男(メッシ)、そしてスタンドで見守る大叔父(マラドーン!)みたいな(笑)。
僕的には、今回はこのチームだな、と思う。ちょっとグループリーグでうまく行きすぎているので決勝トーナメントでどうなのかな、と思わないでもないけど、でも客観的な分析なんてどうでもいいや。気に入っちゃいましたよ、彼らのことが。頑張って1つでも上に勝ち上がってほしいと思う。アルゼンチン、チェコ、スペイン、イングランドの四強で決勝がアルゼンチン×イングランドとかなったらいいな(←気が早すぎ)。