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2006年06月15日

●驚愕のスペイン×ウクライナ ('06サッカーW杯)

夜中、NHKでドイツW杯グループH。スペイン 4-0 ウクライナ。グループ1位抜けのライバルと目される両チーム、ともに不安を抱えながらいきなりの対決。際どい勝負になることが予想されていた一戦だったが、蓋を開けてみれば予想外に一方的な内容と結果になった。サッカーというのはつくづく恐ろしいものである。


キックオフ直後から、スペインが優位に試合を進めた。前ではビージャとトーレスというイキのいい2トップを頼れるルイス・ガルシアが支え、後ろではシャビ、アロンソ、セナの3ボランチを中心とするパス回しが好調。一方のウクライナは、やはりシェフチェンコの動きがイマイチな上に彼を目標とするパスに拘りすぎのようにも見え、頑健かつ老練なスペインCBに阻まれなかなかチャンスを作れない。

先制点は13分。左CK、DFの前に躍り込むアロンソが頭で合わせてゲット。このCKも、流れるようなパス回しからのセナのミドルシュートをようやくGKが弾き出したもので、ウクライナにしてみればこの時点で実力差を見せつけられる形に。続く17分、ビージャのFKが壁のDFに当たってコースが変わってゴールイン。2-0。その後も得点こそ入らないものの、スペイン優勢のまま前半終了。

ウクライナは後半頭からの2人交代で勝負に出るが、逆に開始直後、DFライン裏に抜けたトーレスをヴァシチュクが倒したとの判定でPK&一発退場。スローで見ると確かに手はユニフォームにかかり体も当たっていたが、「倒した」という程のものでもなく、やや厳しめの判定という印象。2点目の球のはね方といい、ウクライナには運もなかった。ビージャが決めて3-0。

勝負あった、ということで、スペインはビージャとアロンソを休ませてラウールとアルベルダ投入。そして余裕のパス回しをゆったりと、延々と、続ける。完全な調整モード。一矢報いたいウクライナは数的不利ながら速攻から何度かチャンスを作るも、今度はシュートが枠に飛ばない(涙)。逆に81分、プジョルの足腰の強さを生かしたパスカットと持ち上がりから、最後はまたプジョルの折り返しをトーレスがゴール左隅にズドーン!で駄目押し。結局、4-0で最後までスペインの完勝。


試合前の注目点は、両チームの主将であるラウールとシェフチェンコの扱いだった。前者は今季途中の大怪我もあって未だ「トンネル」の中、後者は直前の負傷が癒えていない状況。さてどうするか、というところでスペインの方はラウールをサブに。これは英断。若く好調なアタッカー陣は伸び伸びプレーして2トップが2得点ずつ合計3得点の結果を残した。ラウールも、負荷の小さい実戦で40分程調整を行うことができ、「いざという時の駒」として存在意義をアピール。スペインにすれば、願ったり叶ったりの展開だったろう。

もっとも、だからといってシェフチェンコを先発させたウクライナが間違っているとは言えない。ウクライナは自国リーグの選手がチームの大半を占め、個人の能力はさほど高くないと思われる。この試合でも、トップコンディションにはほど遠いシェフチェンコに頼りがちだったのがその現れだろう。要するに、「伝統国」「大国」と「新興国」「小国」のポテンシャルの差が出たということか。せめてもう1枚大駒がいれば…。

大会前、スペインはメディアに優勝候補とされることは少なく、本国の盛り上がりも乏しいそうである。僕も「決して強くはない」と思いこんでいた。それが、この圧勝である。調子に乗ると強い(逆に、躓くともろい)チームカラーだけに油断はできないが、これで星勘定は相当楽になった。残り2試合、半分調整に充てられるのは非常に有利である。下馬評が低いだけにあまりマークされてなさそうなのもいい。もしかしたら、日韓大会よりも勝ち進めるのでは。

……と書いたところで、やっぱり次のチュニジア戦あたりでコケちゃいそうな気がしてくるのがこのチームのつらいところだな(笑)。まあ、もう少し見守りますか。

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