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2006年05月02日

●FC東京×名古屋グランパス(後編)

前編から続く)

後半立ち上がりは名古屋がラッシュ。DF阿部に代えてMF吉村を入れて中盤を厚くし、DFラインを上げて圧力をかける。ルーカスにもしっかりマークがつくようになり、中盤の攻防は名古屋がやや優勢に。2分、攻撃ラインのラグビーのような横つなぎから玉田が強烈なミドルシュート、土肥がワンハンドで弾き出す。その直後、中村のアーリークロスを古賀が落とし、ゴール正面でフリーの玉田がボレーで狙うもミートが弱く、土肥ちゃんが足ではね返した。

この状況で頼りになったのがまた梶山。5分、敵陣で早い出足からボールを奪い、DF1人に東京アタッカー3人の大チャンス。梶山はうまく味方を囮に使ってDFをかわししたが、シュートは楢崎が胸でセーブし、はね返りを叩いたルーカスのミドルもバーに当たって外れ。ここで決めていれば神だった……しかしその後も梶山はぬるぬるキープと時空をゆがめる守備でチームに貢献。いや、ホント、横浜戦とこの試合で彼に対する見方は随分変わった。

8分、ジャーンを振り切りながらボックスへ突入する杉本へ金がきれいなスルーパス、一対一のシュートを土肥が弾き、ボールはポストに当たって外れた。名古屋の攻勢に対し、東京は梶山を基点にSB裏を狙う速い攻めで対抗。カウンターで追加点となれば最高だったが…。14分、左に開いた宮沢からの速いクロス、逆サイドでフリーの梶山が巧みなトラップからシュート!しかし、前に出る楢崎の体に当ててしまう。15分にもスピードで古賀を振り切った川口からのクロスを赤嶺が狙うが、しかしシュートしきれず。

後半半ばになると、疲労から両チームとも中盤の守備がほとんどなくなって攻め合いとなり、クロスやセットプレーが連続。特に宮沢あたりの動きは重く、ルーカスも消え始めていたため、ここは選手交代の時期かとも思われたのだが、ガーロはなかなか動かず。24分、バックパスを赤嶺がかっさらうもちょっと焦り気味のシュートはDF直撃。その直後、ボックス前で左右にDFを揺さぶって宮沢の前が空き、「さあシュートだ」というタイミングで宮沢がさらに横パスしてしまい、スタンドから「おい!」のツッコミ。東京らしいっちゃらしいが、シュートの判断がちょっと…。

もう上がれない東京は自陣深くに厚い守備網を敷き、その前で名古屋に回させて入ってくるボールをモニやジャーンが前へ出てカット、前で張る川口・赤嶺へ放り込む。まあ、勝っている方としては「これでいい」という感じでもあったのだろう。29分から30分、ようやくルーカスに代えて伊野波、川口に代えてリチェーリ。これはまずまず妥当な人選だったように思う。

31分、伊野波のフィードでオフサイドギリギリからリチェーリが飛び出すも、ドリブルのフェイントでボールを置き忘れて逸機。リチェーリは元気よく前へ進んでいたが、やはり試合勘にはちと問題があったのかもしれない。32分、本田のアーリークロスがファーに抜け、玉田がダイレクトボレーで狙うもバーの上。36分、左の赤嶺から右のリチェーリへ大きなパス、リチェーリは切れ込んでボックス外でFKを獲得したが、宮沢のシュートはバーに当たって決まらず。41分、ボックス内へ走り込む山口を狙う本田の絶妙の浮き球は、茂庭が読み切ってカット。

終盤、名古屋の藤田投入に対し、東京は宮沢に代えて文丈投入。ともかく最後はしっかりつないで危なげなく逃げ切りたいところだが……そう甘くはなかった。43分、東京陣中央から吉村が思いきったロングシュート、ものすごい速度で飛ぶボールに土肥ちゃんも届かず、ゴールに突き刺さった。この素晴らしいシュートはある意味仕方がない。こういう「事故」があるからこそ3点目が必要なのだ。なんか、まるで若い東京の選手たちに「試合の流れとは」と教えてくれるような展開である。そして、俄然スリリングな雰囲気に(笑)。

ロスタイム、カウンターから規郎が左サイドを抜け、クロスが逆サイドで待ちかまえるフリーの伊野波へ。しかし伊野波はやはりシュートを撃たずに折り返そうとして奪われ、カウンターの形を作られかけて冷や汗。ゴール裏からはもちろん「シュート撃て!」コール。「どこまで崩したら撃つのか」という判断は常に難しいものではあるけれど、やっぱりシュートで終わる事をまず考えないと。ともあれ東京は何とか2分間をしのぎきり、2-1で試合終了。最後はちょっとやれやれだったが、しかし勝ちは勝ちである。

(以下はほぼ再掲)
正直、3日前のマリノス戦で選手たちの戦う気持ちを見て「これなら大丈夫」と思ってはいたものの、連戦の疲労と、あと今のメンツではどうしようもなさそうな決定力不足が心配だったのだ。実際、後半早々にバテる選手が続出したり好機を逃したりして、心配は半ば的中したのだが、しかしよく持ちこたえて結果を出してくれた。最後の盾になってくれた土肥ちゃんとモニ、あと攻守の大黒柱として活躍した梶山にはいくら感謝してもしきれない。もちろん、繰り返しになるが左サイドの守備の脆さやラインが下がりすぎな事、シュートの判断力など課題も多いのだが、それは次節以降への宿題にすることができた。

今日はスタジアムの雰囲気も非常に良かった。ゴール裏は横浜戦とはうって変わり、絶えざるチャントとコールで選手たちを立派にサポート。今日の応援には頭が下がります。そしてバックスタンドも、シニアデーということで一見さんっぽい年配のお客さんも多かったのだが、暖かい視線が多かった分かえって素直に応援しようという雰囲気になって良かったのかもしれない。この試合内容とスタンドの空気ならば、人にも喜んで勧めることができるわな(初観戦が清水戦だった知り合いのライターさんから電話をもらった時には、ひどく悲しかったからね…)。

ともかく、GW3連戦の初戦を白星で飾れたのは良かった。もっとも、次節の甲府は前へ出る姿勢が非常に強くて一旦受身になるとボロボロやられる(特に左サイド!)危険があるし、その次の大宮も中盤プレスのきついチーム。全く安心はできないし、若くて不安定なチームが快勝にホッとしてしまう事はありがちなこと。そういう意味で、J's GOALの3選手のコメントは「さすがベテラン」の的確さ。3連戦の残り2つ、横浜戦や今日のような気持ちで、しかしもう少しクレバーさを付け加えて(文丈さん頼みますよ)五分以上の成績を残してもらいたいものである。

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コメント

僕はこの試合が約1年半ぶりの生観戦でした。(お恥ずかしい話なのですが・・・)
職場の同僚を2人つれていきまして(2人ともJリーグ初観戦)、試合の内容・スタジアムの雰囲気のおかげで東京に感化させることに成功しました!!!

この盛り上がりの波に乗って、5月6日の大宮戦も3人で観戦予定です。
いい試合をしてくれると期待しています!

ああ、それは良かった。内容・展開・雰囲気の全てにおいて「東京らしい」試合でしたからね。あの試合を気に入ってくれたなら、そのまま東京を好きになってくれるのではないかと期待できますね。

私は去年J初観戦の親戚を連れて行ったのがボロ負けだった鹿島戦で……。あと、別の知り合いがJ初観戦となった試合が今年の清水戦で……。恥ずかしかったっす(笑)。やっぱ、最初が大事ですからね。

明日も、おっしゃるとおり、その同僚の方々がますます東京にハマっちゃうような熱い試合を期待しましょう!

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