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2006年04月06日

●王の存在感を前に、我々はただひれ伏すのみ (欧州CL準々決勝)

JSPORTSの録画で欧州チャンピオンズリーグ準々決勝2ndレグ。ヴィジャレアル 1-0(通算2-2) インテル・ミラノ。両チームとも慎重さを保ちながらも、しかし相手を叩き伏せる一瞬のチャンスを狙って7分の力で攻撃を続ける、といういかにもガチンコのノックアウト方式らしい雰囲気。見応えのある試合展開だったが、勝敗を決したのはビジャレアルの誇る「王」の支配力だった。

いや、この試合のリケルメは本当に凄かった。引き分けでもいいインテルが重心をやや後ろにかけたと見るや、自陣まで下がってボールを受け、そこから技術・馬力・閃きの三拍子揃ったドリブルで思い切り持ち上がっていく。「1人中盤ポゼッションサッカー」とでも言おうか。味方のアタッカーのためにスペースと時間を作り続け、さらには相手DFラインにギャップまで作り出す。その圧倒的な力を前に、フィーゴやアドリアーノでさえも存在が霞むほどであった。

前半終わり頃、次々DFをかわしつつハーフウェーから15秒以上ドリブルで前進し、シュートまで持ち込んだ場面。後半10分過ぎ、後ろからファウルされながら絶妙のスルーパスを見せ、FKを自ら蹴ってアルアバレーナの決勝ゴールをアシストした姿。終了間際にペナルティボックス横から放った、あわやニアを破るかという弾丸ロングシュートにも度肝を抜かれた。守備戦術の発達した現代サッカーで、一体彼以外の何者がこんなプレーをできるだろうか!

リケルメがスーペルなのは、単に技術が優れていて体が強いからではない。そのプレーぶりから、「俺のドリブル(シュート)で試合を決めてやるんだ!」という意志、あるいは覚悟が感じられるからだと思う。梶山あたりには是非見習ってほしいところである(笑)。今までもボカ時代のトヨタカップやアルゼンチン代表でのプレーを見ていて「ああ、いい選手だな」とは思っていたんだけど、この1試合で完全にヤラれたよ、わたしゃ。

なんか、ものすごく思いこみかつ偏見なんだけど、古い時代の南米の王様ってのはこの日のリケルメみたいな存在だったのかもしれない、という空想がふと頭をよぎった。寡黙で、普通の人とは違う時間を生きていて、しかし圧倒的な力をもってその意志を実現し、場を支配してしまう者。これは、6月のドイツでもぜひまた見てみたいね。

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コメント

はじめまして。
東京ゴール裏に生息してます。
いつも楽しく拝見させていただいております。

僕もこの試合見ましたが、まったく同感。
こんなプレーを見せられたら、
ワールドカップはリケルメと心中してもいい、
とそりゃ思うわな。
マラドーナもこんな感じだったのかなあと思いました。

とにかくすごかったですよね、この日のリケルメは。

マラドーナの全盛期の凄さについては実は私もよく知らないのですけど、夏のW杯でもしアルゼンチンが勝つようなことがあれば、フランス代表におけるジダンくらいの存在にはなるかもしれませんね。

アルゼンチン代表、注目です。

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