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2006年03月26日

●FC東京×京都パープルサンガ


夕方、味スタでJ1第5節。FC東京 2-1 京都パープルサンガ。勝って良かった。本当に良かった。試合を優位に進めながらも突き放しきれず、イヤな形から接戦に持ち込まれ、後半は大苦戦。苦しかった、辛かった、寒かった……。あのまま勝点3を逃していたら、何か大事なものが終わってしまったかもしれない。終了間際の徳永のゴールは実に大きかったと思う。ありがとう。ホッとしたよ。「勝利に勝る良薬はなし」になればいいね。


前半途中までは完全な東京ペース。京都のプレッシャーがやや弱い中、憂太・今野・梶山の中盤が丁寧なパス回しで時間とスペースを作っては徳永・規郎の両サイドへ展開、前線では先発に抜擢された川口がボールを引き出し続ける。2分、CKをジャーンが頭でジャストミートして先制。その後も攻勢が続き、25分前後には「これが本当に東京か」と目を疑うほどパスがつながった末の決定機(今野のラストパス、わずかにルーに合わず…)。守っても、FWパウリーニョは伊野波ががっちりマークし、漏れたアタッカーは茂庭がさばく。大差勝ちになってもおかしくない形勢だった。

ところが、京都陣へ押し込み続け、左右から次々とゴール前へクロスが入りながら、東京はなかなか追加点が奪えない。毎回のメンバー変更で戸惑いもあるのか、アタッカー陣の呼吸やポジショニング(特に憂太と梶山)が噛み合わないシーンが散見されたのと、あと、ルーカスは相変わらずで……正直、「ササがいればなあ」という感じ。30分を過ぎた辺りから心身の攻め疲れが出たのか中盤の活動量が落ち、京都もいい形を作るように。そして44分、CKが逆サイドに流れたボールへの対応が遅れ、懸命に戻る憂太のクリアが不運にもオウンゴール(下の[追記]参照)。


後半になると京都はボールの出所(梶山)への圧力を強め、さらにサイドへの展開ボールを狙いに来た。余裕を失った東京の中盤はパス回しに苦労するようになる。梶山は孤立、憂太も気がはやってやや空回り。逆に、緩くなった東京の中盤をぬうような京都の攻撃が勢いを増していく。11分、憂太とルーカスに代えて栗澤とササ投入。ルー→ササは納得だったが、憂太→栗澤は微妙なところ。梶山の運動量も落ち始めていたが…。結局、この交代では状況は変わらず、ピンチを3バック(だよね?)の奮闘でしのぐ時間が続く。

20分、川口に代えて阿部投入。ところが、阿部は川口ほどにはボールを引き出せず、全体的にフリーランニングの不足した東京の攻撃は、サイドへの単調な展開で行き詰まるか、もしくは京都の守備ブロックの前でコネコネダラダラに陥ってしまう。非常にストレスのたまる光景が続き、ゴール裏からは「シュート撃て!」コールが飛んだ。前半とはあまりにはっきりしたコントラスト。もしこれでカウンターでも食らって敗れようものなら、川崎戦後半のエキサイティングな攻撃サッカーもチャラになり、再びサポーターの不満が噴出して収拾がつかなくなったかもしれない。


しかし、ここで助かったのは、京都の柱谷監督が勝点3ではなく勝点1を取りにきてくれたこと。MF石井・DF鈴木と守備の選手を連続投入。これが結果的に梶山・今野・栗澤への圧力を弱め、東京の再攻勢に火がついた。前半のような軽快なつなぎはできないながらも、何とかボールを運び、ペナルティボックスへボールを放り込む。38分、クリのフィードを左に開いていた阿部がダイレクトで折り返し、抜け出した今野がゲット!という場面はオフサイド。43分、ボックス内での今野のシュートもDFがブロック。

「引き分けか?いや、まだ行ける!」と胸の内も揺れ動き始めた44分。CKのこぼれ球をボックス内で拾った徳永がボールを浮かしてDFをかわし、ゴールラインギリギリで折り返す。強烈なグラウンダーはGKの脇を抜け、逆サイドのポストに当たってからゴール内へ吸い込まれていった。土壇場の一撃!偶然の要素も混じっていたのかもしれないが、思い切って強いボールを蹴ったのが功を奏した。スタンドはもう大興奮。そして3分のロスタイム、選手たちは冷静にピッチの隅でキープを心がけ、2-1のスコアはついに動かず。やった!!


苦しい戦いだった。前半はとにかくパスはよくつながるわピッチは広く使うわ落ち着いてプレーできているわで、「こりゃ意外に早くガーロの意図は実現できるのかな」なんて錯覚しそうになった。梶山や今野も周りがよく見えている様子で、「覚醒したのか?!」と興奮しちゃったよ。でも、後半京都がプレッシャーを強めたのと、あと自分たちもリズムと運動量を失ってしまったのとで、パスサッカーは全く機能しなくなってしまった。おそらく、ポゼッションを基調に90分間を戦うにしては、まだまだ東京の選手たちは「心・技・体」の全てにおいて対応しきれていない、ということなのだろう。

それでも、多少敵失っぽい感じはしたけれども、悪い流れの中で最後まであきらめず、ついに勝点3をもぎとった選手たちは素晴らしかったと思う。特に、終了間際で普通なら萎縮しそうなところ、思い切って仕掛けた徳永の度胸と体力には驚かされた。前任者との比較も含めてプレッシャーにさらされ始めているガーロ、オウンゴールをしてしまった憂太、そして強豪との連戦を前に思うように勝点を伸ばせていないチーム。色々なものを救う、本当にありがたい1点だった。今季の彼のプレーには不満も大きかったのだが、これでとりあえずチャラかな(笑)。

ほかにも伊野波の健闘や川口の活躍などもあり、勝点3以外にもいくつか収穫のあったゲーム。もちろん課題が山積しているのも確かだけれども、おぼろげながら明るい未来を垣間見る事ができたような気がする。もっとも、週半ばのナビスコ杯初戦までは中2日しかなく、4月にかけては浦和・横浜・磐田・千葉・G大阪と強いチームとの対戦が連続する。厳しい試合が続くかもしれないが、その中で少しずつでもチーム力をアップさせていってほしいものである。僕は応援するぞ。


[追記]
前半終了間際の京都のゴールは、どうも憂太のオウンゴールじゃなくて、アレモンの頭でのゴールだったみたい。ゴール方向に走って戻る憂太がアレモンに追い付いた瞬間にボールが飛んだので、すっかり勘違いしておりました。すまん、憂太よ。

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