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2006年03月15日

●『スーパーサイズ・ミー』

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WOWOWで、モーガン・スパーロック監督『スーパーサイズ・ミー』。肥満の少女たちがマクドナルドを訴えた裁判をきっかけに、ファーストフードの有害性を証明しようと立ち上がった(?)スパーロック監督。全米各地で「食と肥満」の問題を追いかけながら、自らの体を実験台として「1日3食30日間マクドナルド」に挑戦する。お気楽なノリで始まった実験だったが、スパーロックの体は次第に変調をきたしてしまい……。

 全般的に楽しんで観られる映画だった。そもそもこの手のアイデア一発勝負の映像作品は小難しい類の映画に比べてハズレが少ないものだし、「誰もやらない馬鹿げた事にあえて挑戦する」という姿勢はそれだけで拍手に値するのである(一歩間違えれば軽蔑ものだが(笑))。マイケル・ムーアと同系統の、陽気な音楽と丁寧で細やかなカットワーク、多くの登場人物と証言で畳みかける手法も観る者を飽きさせない。面白かった。

ただし、では傑作とまで言えるかというと、ちょっと首を捻ってしまうのである。マックが体に良くないのなんて考えてみりゃ当たり前で、「マックばっかり食べました。で、体悪くしました」という展開には意外性も何もなく、「それがどうした?」と言えなくもない。また、やはりマイケル・ムーアの映画と同様の欠点だが、あまりに結論がはっきりしすぎているために、直線的で説教くさくなってしまうきらいがある。肝心の「それでもなぜ人々はマックを食わずにいられないか」という部分への突っ込みも足りない。
 
とはいえ、映画の終盤、スパーロックが追い詰められていく(まあ自分で選んだ道なんだが)一連のシーンは、分かってはいてもなかなかの迫力。肥満し脂肪肝になり、医者には「やめなさい。死ぬぞ」と言われ、頼りにしていた栄養センターは解散…。冗舌で元気そのものだったスパーロックの表情に影が差し、別人の様に精彩を欠いていくのがはっきりと伝わってくる。なんだかんだ言って自ら体を張る姿の説得力にはかなわんよな。1ヶ月で11kg太って、その11kgやせるのに18ヶ月かかったとか。うーむ。
 
平たく言って、この映画は「楽しめる啓蒙映画」だ。新しめに体裁を整えたようでいて、形式としては実は古くさい。スパーロックの訴え方もやや青臭め。でも、嫌みはまったく感じられないし、少なくとも僕たちが自らの食生活を振り返って何かを考えるきっかけにはなるだろう。ビックマックを食べるのは誰にとっても自由で一向に構わないのだが、やはりそれが意味することについて、自覚くらいした方がいいような気がするのである。
 
しっかし、アメリカ人の肥満ってやっぱりすさまじいな……。相撲取りどころの騒ぎじゃなく、風船怪獣バルンガみたいだ……。それに、なんだよあのスーパーサイズのコーラ……まるでドラム缶じゃん。そりゃ病気にもなるってば。

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