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2006年02月21日

●『妖怪大戦争』

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DVDで、三池崇史監督『妖怪大戦争』。世界に平和をもたらす“麒麟送子”に偶然選ばれてしまった少年タダシ(神木隆之介)が日本に住む妖怪たちと力を合わせ、人類滅亡を目指す魔人・加藤保憲(豊川悦司)に挑む冒険ファンタジー。
 
いかにもお子様も対象にしたような筋立ての「一般映画」だけに、皆無ではないだろうけど三池色はちと薄目なのかな、と思いながら観たのだが……蓋を開けてみるとモロ三池だった。ガチャガチャとやりすぎのCG、ミもフタもない残酷描写(特にすねこすりの虐殺シーン)、時折飛び出す脱力ギャグ(飛行機のシーンには笑った)、エロ(川姫の太もも!栗山千明のお尻!)、そして少年という存在への甘いノスタルジー。最後の大爆発は『DEAD OR ALIVE』かと思ったよ(笑)。

さて、物語としての出来はどうかというと……正直イマイチかな。全体として「神木君の夏休みの冒険譚」と「妖怪たちの大戦争」という2つの構成要素から成り立っている映画。前者はまあまあだけど、後者の部分がちょっと雑すぎるように思った。襲ってくる怪物はビジュアル的に訳のわからん「機械」だし、加藤の「捨てられたものの怨念」という動機もわかるようでわからない。それらと日本土着の妖怪が戦わなきゃいけない理由はどこにあるのか?みたいな。
 
日本妖怪についても、「ぬらりひょん」「油すまし」「ろくろ首」「砂かけばばあ」「一反もめん」「ぬりかべ」等々一通り出ては来るけど、彼らがその特性を生かすような場面はほとんどなし(「小豆洗い」を除く)。敵だってほとんど神木君1人で倒してるだけだし、マスコット役の「すねこすり」ももう少しキャラ立ちしてほしかったな。さながらカメオ出演満載のオールスター映画、という感じ。なんかもったいないなあ、と残念に思ってしまった。
 
ただ、クライマックスの決着のつき方は、ひっじょ~~~に素晴らしい。くだらなくて(笑)。「少年の純粋な気持ちと、男のエロ心と、一粒の小豆が世界を救う」という。加藤の顔の脇をかすめて小豆が飛ぶシーンで、清志郎さんの「あっあっ、あーずきズキズキ」「あずきの基本はラブアンドピース」っつー歌が流れた時には、皮肉でも何でもなく感動の涙が出そうになったよ。そういや、清志郎さんはぬらりひょんとして出演もしているけど、どう見ても本人にしか見えない脱力演技には脱帽!である。
 
あ、あと、大爆発後の、「妖怪界の内輪ネタ」みたいなシーン、あれ劇場ではちゃんと理解されたのかなあ。普通の人は水木しげる先生の顔なんて知らないよなあ。大丈夫だったのかなあ。

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