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2006年02月20日

●金メダルは決まった

夜、仕事から帰ってみると、時計は23時を回っていた。慌ててNHKの女子カーリング録画中継をつける。日本 6-4 イタリア。画面の向こうで展開されていたのは、まさにギリギリの接戦。思わずネクタイを外すのも忘れて最後まで見入ってしまった。結果は…もちろん小野寺ショット炸裂!である。
 
この試合(に限らないが)、日本は非常に苦しい戦いだった。準決勝進出の望みをつなぐためには1試合も落とせない状況、相手は地元イタリア(当然会場はアウェイムード)、そして残り3エンドで2点のビハインドという試合展開。同点の最終エンドも不利な先攻で、本当に最後の最後まで勝負はわからなかった。気持ちを切らさず、果敢に攻め続けた彼女たちの戦いぶりには脱帽するしかない。

特に凄かったのは、日本のラストショットの場面。解説の小林宏さんに「日本(におけるカーリング)の将来がかかっている」とさえ言わしめた超重要な一投。カメラに映った直前の小野寺の表情を見て、思わず戦慄した。「笑ってやがる……」。これで勝負あった、というのは言いすぎだろうか。小野寺のショットは当然のように美しい軌道で相手の石の内側に回り込み、追いつめられたイタリアはその内を突くことはできず。またしても弾ける4人の笑顔を見ることができた。よし!
 
この勝利は大きい。それは、実況アナだけでなく、いつも冷静で相手への敬意も忘れない小林さんまでもが思わず「ヤッタァァー!!」と絶叫したことからもよくわかった。準決勝進出が難しいことは変わらないが、厳しい状況の中で勝つ事それ自体に価値がある。日本チームはこの数日で、特に精神面において劇的な成長を遂げているに違いない。たとえメダル争いに絡めなかろうと、彼女たちが僕らスポーツファンに与えたインパクトと、持ち帰る経験の大きさは計り知れない。
 
この大会、マスコミは相も変わらず「メダルを逃す」という凡庸な表現で日本選手たちの「不調」ぶりを嘆いているようだが、オリンピックはメダルだけに価値があるわけじゃない。上村愛子の3Dエアには喝采の声を上げたし、岡崎朋美の大健闘と潔い態度には心が洗われた。そして、それらを上回ったのがこのカーリング。真剣勝負としてのスポーツのよろこびを見事に体現している姿には完全にヤラれた。参りました。
 
そう、実際にメダルを獲れるかどうかなんて、そんなのは関係ない。僕の中でのトリノオリンピック金メダルは、今日決まったのである。

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