●甲府戦のおもひで
プレシーズンマッチ『FC東京vsヴァンフォーレ甲府』開催のお知らせ(FC東京公式)
甲府かぁ。実に面白い相手をチョイスしてくれたものである。昨年12月の入替戦、特に2戦目において柏レイソルを粉砕したその攻撃的サッカー(あるいは超前向きなサッカー)は、未だに鮮烈な印象として脳裏に焼きついている。倉貫の鋭い攻め上がり、藤田の技巧、そしてバレーの破壊力。2005年の日本サッカー界における最大のサプライズだったと言っても過言ではあるまい。
まあ、リーグ戦の成績を考えればあの試合は出来過ぎだったようにも思えるのだが、しかし明確なスタイルを持ったチームであることには違いなく、「J1でどこまでやれるか」は非常に興味深い。きっとJ1でもガンガン攻めてくるのだろうし、そんな恐れを知らないチームを相手にシーズン前の腕試しをできるのは、東京ファンにとっても楽しみである。
東京と甲府の過去の対戦でまず頭に浮かぶのは、2000年の天皇杯3回戦だろうか。あの年、東京はJ1初年度から一部で「旋風」と形容されるほどの活躍を見せ、一方甲府はJ2のダントツ最下位に沈んでいた。よって「当然勝てるはずだ」という気分で臨んだ試合であったが、東京は圧倒的に攻めながらも甲府DFの粘りの前に1点が奪えず、逆にセットプレーからあっけなく失点して初戦敗退の憂き目にあったのだった。
たった1年J1で健闘しただけで調子に乗っていた僕らが鼻っ柱をへし折られた試合として、またJFL・J2時代を通じた「守護神」堀池の最後の試合として、あるいは色んな意味で急成長しつつあった東京がJ1昇格後に唯一西ヶ丘サッカー場を使った試合(もちろん満員になった)として、あの試合はとても印象が深い。やはり東京での最後のプレーとなったツゥットが、やたら空回りしていたのも何となく覚えているな。
そういや、あの時は今や甲府の中心選手たる倉貫もスタメン出場していて、そのドリブルに「あいつうまいじゃん!」なんて声がスタンドから飛んでいたんだよね。懐かしいなあ。甲府はその後チームがなくなりかけて選手もほとんど入れ替わってしまったのに、よく生き残ってきたもんだ。もちろん、東京の方も5年余りの間に当時のメンバーはほとんどいなくなってしまった。アマも、ツゥットも、コバも喜名も迫井も小峯もサンドロも。残っているのは藤山だけか……。
何年もサッカーを見続けてくると、選手もリーグのチーム自体も入れ替わっていき、一旦分かれてもまたいつかどこかで出会うことがある、というのが実感としてわかるようになってくる。嬉しいよね、そういう再会は。リーグ戦で当たる時には順位やら勝点やらでなかなか感慨に浸ることもできないだろうから、プレシーズンマッチくらいはちょっと昔を懐かしむような視点を交えながら観てみようかな、と思ったりして。
あ、ちなみに、Jリーグの一員となって以降、東京が甲府に負けたのは上記の天皇杯だけで、あとは99年のJ2リーグ4試合に01年のナビスコ2試合と、6戦全て勝っていることは付け加えておこう。どうかひとつ、J1でもお得意様でよろしく、ということで(笑)。