●ありがとう、さようなら、お元気で
午後、味の素スタジアムで『ファンの集い~原監督からファンの皆様へのご挨拶~』。日刊スポーツの記事によれば、集まったファンの数は実に4749人。ゴール裏1階はほぼ満員だった。J2の頃の観客より多いじゃないか(笑)。
入口では「原監督から、各選手へのメッセージ」というA1版の紙が配られた。文字通り、原さんが在籍全選手について1人1人コメントしたもの。これが、当たり前っちゃ当たり前なのかもしれんけど、細かく選手の特徴やら性格やらをよくつかんでいるんだよね。そして文面からは愛情が感じられ、一方で厳しさもあり…やっぱり個々の育成にこそより優れた手腕を発揮する人だったのかもしれない、と思った。
セレモニーの内容は、功績を讃えるVTRに始まって、原さんのスピーチ、選手たちから原さんへのお別れ挨拶&花束贈呈、ファンからの質問コーナー、『You'll never walk alone』合唱、スタンド間近での挨拶→退場、という流れ。変にウェットにならず淡々とした進行と雰囲気で、原さんも割とあっけらかんとしていたし、「明るくお別れ」といった感じだったろうか。正直なところ「1時間もつのか?」と心配していたのだが、そこはさすがヒロミ。オモロ発言連発、全く飽きることがなかった。
特にウケたのは戸田の挨拶の時。「原さんには何回もシュート教わったんですけど…入らなかったです(笑)」「原さん、ミーティングで”俺なら入る”が口癖なんですもん」という戸田に対し、「お前、もっとゆっくりメシ食えよ!(戸田は早食いで有名)」「美味しいところをしっかり味わえるようになれば、もっと入るんだよ!」と含蓄ある(?)アドバイス。「あんまり言わなかったけどさ、相手は戸田の事嫌だってよ。”まだ走るのかよ!”ってね」だって。ツボを押さえたコメントが嬉しいなあ。
他にも、モニにいきなり「車のことは忘れろ」と言ったり、新人・鈴木健に対して「そう言えば(小平のボール回しの)ドトール奢ってもらってないのあるぞ」「出世払いにしとくからな」「サンドイッチも付けてな」と言ったり、あと「NHKかどうかはわからないけど、解説のブースでも飛びます。”ガン!”て音がしたら飛んだと思って下さい」なんて発言もあり、大いに笑かしていただきました。辞めてスッキリしたのか、実にリラックスしたいい感じだった。楽しかったよ。
でも、最後、原さんが両手一杯のプレゼントを抱えながらスタンド前をゆっくり歩いて手を振る場面では、さすがにちょっとジーンと来て…。「ああ、ウチの監督としての原さんはこれで最後なんだ」と思うとね。今年は色々と文句も言ったし、監督交代は至極妥当だと思うのだけれど、それと感慨深さはまた別。これほどエモーショナルな共感を抱くことのできる監督は間違いなく希有だし、おそらく今後も出会うことはないのではなかろうか。「特別な監督」であったのだ、やっぱり。
ともかく、これで僕たちと原さんは別の道を歩むことになった。お互いが次のステップに踏み出すために。しばし足を休めたら、また前へ進まなければならない。