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2005年12月11日

●Jリーグはおそろしい

トヨタカップ1回戦アル・イテハド×アル・アハリは対照的なスタイル(タテ速攻×ヨコつなぎ)のがっぷり四つ、という感じでなかなか面白い試合だった。が、やはり今日はこちらについて書かずにはいられない。もちろんJリーグ入替戦2ndレグ、である。

柏レイソル 2-6 ヴァンフォーレ甲府。iモードの速報でこのスコアを見た時、大げさではなく我が目を疑った。これぞまさに衝撃の結果。いや、内容的にもシュート数8対23のワンサイドゲームであった。太陽王の失墜。冬の午後、選手たちの影が長く伸びている映像を目にした瞬間、「斜陽」の二文字が頭をよぎった。明日は我が身だ、笑ってはいられない。

勝敗を分けたのは、一目瞭然、チームの完成度の差だ。例えば攻撃において、柏はパスの出し手と受け手の2人だけでプレーが完結してしまう(他の選手はウォッチャーになっている)ことが多く、一方甲府は必ず第3・第4のアタッカーが「次の次」を読んでフォローやスペースへの移動等のアクションを起こす。守備においても柏がマークの受け渡しばかりに気が行っているのに対し、甲府はDFが複数で次々とボールにアタックしていく。現時点でのサッカーの質、つまりは1年間の戦いの末に到達したレベルがもう全然違うのだ。

また、メンタル面においても両チームには大きな差があったように思う。甲府の選手たちには「自分たちのサッカーを貫く」という信念があったし、第1戦で自信も得たのだろう、実に生き生きとしていた。それに比べて柏の選手たちの無表情ぶりはどうしたことか。思わぬ(?)苦戦にひるんだのか、それともホームの大観衆が重圧となったか、退場になったDF永田を筆頭に、ほとんどが精気のない顔をしていた。ブラジル・トリオだけはファイトしていたが逆に焦りと苛立ちで平常心を失ったようだし、明神は相変わらず「物言わぬキャプテン」だし…。そういや、そこで活を入れるべきラモスコーチはほとんど画面に映らなかったな。

甲府の6得点はいずれもFWバレーによるもの。ダブル・ハットトリックはJリーグ初だそうである。いや、大したものだ。23歳と若い選手らしく、やや荒削りながら一直線にシュートを狙っていく意欲と勢いが素晴らしい。1998~2000年くらいのツゥットを思い出したね。試合後の号泣ぶりも非常に好印象。きっと、甲府ファンには愛されているんだろうな。J1でどれだけやれるか、早く見てみたい選手である。

とにかく、甲府の選手・スタッフ(大木監督のいかにもマスコミ慣れしてなさそうな記者会見がウケた)・サポーター・ファンの皆さん、おめでとう。対戦する時はお手柔らかに。柏の方は…来年は厳しいだろうな。コーチにせよ選手にせよ身の丈にあった、しかしJ2を戦い抜けるだけの陣容をうまく揃えられるかどうか。なまじっか伝統があって母体(日立)の図体もでかいだけに、「目が覚める」のにけっこう時間がかかるかもしれない。

そして、繰り返すが、明日は我が身。数年前にはJ1屈指の強豪だったレイソルがこの有様である。おまけに今シーズン東京は対柏戦1分3敗、9月の残留争い直接対決では2-4で完敗しているのだ。チーム運営・強化のノウハウ蓄積等の結果として、1部も2部も群雄割拠、上位と下位の実力差は縮まって「格上」「格下」の境界線は曖昧になりつつある。この夏に東京ファンが感じた降格への不安(恐怖)は、決して思い過ごしではないのだ。他山の石としなければならない。Jリーグはおそろしい、のである。

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コメント

東京-浦和戦をビデオにとりつつ、この試合をTV観戦しました。甲府の、見ていてワクワクする攻撃は鳥肌ものでした。

1紙くらいは「バレー大暴れー」とか書いてるに違いない。

>甲府の、見ていてワクワクする攻撃は鳥肌ものでした。
ねえ。
ハーフタイムに大木監督は「迷ったら前に行け」と指示していたそうです。何とカッコイイ言葉なんだろうと、ちょっと感動してしまいました。

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