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2005年10月17日

●FC東京×サンフレッチェ広島(その2)

広島戦のビデオを見直してみますた。なんつーか、選手・ベンチともに色々な意味で苦労してたんだなあ、と。苦しみながら勝点1を得たことは大きく、根本的にチームが立ち直るのはまだ先になりそうだけど、とりあえず光は見えているのかな、という感じか。

まず、「中盤ダイヤモンド型の4-4-2」と前半の出来について。加地の負傷を受けたスクランブル布陣だけに、とにかく急造感満点。サイドの守備の役割分担などが曖昧だったようで、その上慣れないポジションに選手たちも戸惑って…。宮沢は中盤の底に自然と下がってきちゃうし、一対一で健闘していた今野もボールを奪ってから左へ流れそうになるシーンがあった。この状況で個々の選手がどうこう言うのはちょっと可哀想かも。宮沢だって、前半潰れながら出したルーカスへのスルーパスや、後半立ち上がりの吉朗へのピンポイントパスなど、ボールを持てばしっかり仕事していたわけだし。

そんな中、首を捻ってしまうのが梶山の使い方(我ながらしつこいが)。原さんは「広い視野で前の選手を使ってほしい」云々とコメントしていたようだけど、今の彼はそういう「局面を作る」プレーヤーじゃなくて、「局面において」こそ恐るべきパフォーマンスを見せてくれる選手だと思うんだよね。展開パスよりもドリブルやラストパスorシュートに期待すべき選手ではないのか。もちろん原さんは普段から梶山のことをよく見ているのだろうから、実はそういう能力にも長けているのかもしれないし、この試合に関してはとにかく今野をSBで使う(相手のサイドを押さえる)ことが優先されたのだろう。でも、梶山が中盤の底だと確実に攻守の切り替えは遅くなる。

ともあれ、システムが思うように機能しない東京は、外と中の「出し入れ」の意識(これが不調時の東京に欠けているもの)のある広島の攻撃に苦戦。最終ラインが奮闘する姿が目立つことに。ただ、原さんとしては、前半スコアレスで終わったのは「よしよし」といったところではなかったか。最近の原さんは、昨年までの「立ち上がりからガンガン」に比べると、「前半我慢して後半勝負」的な戦い方をとることが多い。つまり、残留争いの状況で現実主義的に「攻撃サッカー」を放棄しているということ。バランス感覚に優れた栗澤を不動のレギュラーとしているのもその現れではないかと思う。

しかし、にも関わらず、しかも選手たちがシステムに慣れてきたように見えた時間帯に先制されてしまったところに、この試合の展開の厳しさがあった。すかさず鈴木規郎投入で攻撃にアクセントをつけにかかる東京。しかし規郎のドリブル突破は相手を脅かしはしたが、栗澤が抜けて全体のバランスは悪くなり、チャンスも作るがそれ以上にピンチを招いてヒヤヒヤの時間が続く。東京の守備が安定したのは、金沢を入れて今野をボランチに上げてから。負傷の癒えない足で相手の攻撃を止め、さらに攻撃にも参加しようとした金沢には頭が下がる。

そしてルーカスに代えてササ投入。これはルーカスをできるだけ代えたがらない傾向のある原監督にしては思い切った交代で、采配的にはヒット。ゴールへ近い位置でしっかり構える「前線の基点」が定まったことで、吉朗も憂太も動きやすくなったのだと思う。で、ササの落としから吉朗のスーパーゴール。勢いは完全に東京にある……というところで2回目の失点。クリアが味方に当たってしまったり、棒立ちの選手が多かったり、まあマヌケと言えなくもない失点だったが、これでしょげないところが立ち直りへの意欲を見せるチームの力か。キックオフの突撃から、憂太らしい相手があっけにとられるようなゴール。いやー、シビれた。

あと1点とれなかったのは残念だったが、残留争いで下位のチームが伸び悩む中、とにかくこの勝点1は大きい。おそらく、次のヴェルディ戦で勝って(ヴェルディを突き落としつつ)勝点を35に伸ばせば、少なくとも自動降格の恐怖に怯えることはなくなるだろう。大宮戦・広島戦を踏まえて布陣がどうなるかという課題もあり、大事な一戦であることは間違いない。ま、勝ったら勝ったで「その後」も気にかかるのだけれど、それは勝ってから考えることにしよう。万一負けでもしたら、また恐怖が甦るに違いないから。

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