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2005年10月10日

●「無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語」

午後、品川の原美術館でやなぎみわ「無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語」展。老女の顔をした少女たち、少女のままの少女たち、そして尖った屋根のテントを被った一人の女。彼女らがモノクロ写真で、あるいは動画で、さまざまな寓話を演じている。闇と純真との転換、あるいは交差。不可思議でなぜかドキドキさせられるイメージたち。

この展覧会、ほぼ一貫したコンセプトの下、館内5つの展示室で様々な物語が展開されている。老女の仮面を着けた少女たちが砂丘で戯れる動画、「老女と少女たち」によるグリム・アンデルセンといった童話や小説「エレンディラ」の再現写真、写真と映像により紡がれる「砂女」の物語…etc。いずれの作品にも共通しているのは、異世界の肌触りである。今この世界の中で僕たちが知っているのとは違う、どこか別の時間と空間。

特に印象的だったのは、「fortunetelling」と題されたビデオ。2組の「老女(の顔をした少女)と少女」がじゃれ合う様子がスローモーションで撮影されている…だけなのだけれども、その繰り返しを仕切られた部屋の中で眺めているうちに、段々と彼女たちの戯れが永遠に続いていくような、さらには時間が止まっているような、そんな感覚に襲われてくる。日常の時間とは切り離された流れ。うーん、不思議だ。

ちょっと残念だったのは、今日は天候不良の割にはお客さんがたくさん入っていて、周りの話し声や人の気配が気になったこと。普通の展覧会ならば周りで喋り声がしようが子供がいようが全然平気なのだけど、こういう「異世界もの」の時はできるだけノイズの少ない状態で味わう方が絶対いいと思うんだよね。もちろん、僕の存在は他の人にとってはノイズになっているわけだし、休日にお客さん入らないとそもそも美術館も成り立たないだろうし……難しいところだ。できれば平日に来たかったな。

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