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2005年08月20日

●浦和レッズ×FC東京


夜、さいたまスタジアムでJ1第19節。浦和レッズ 2-1 FC東京。ボール争奪戦の圧倒的な劣勢、浦和の軽快なパス回しと対照的な攻撃の機能不全、アウェイの真っ赤な雰囲気、ベタ引きの守備と金沢の不調、梶山のクラゲプレー、ササのシブい出し抜きシュート、永井のキレた動き、好セーブ連発の土肥ちゃん、攻撃を牽引し素晴らしいミドルシュートを決めたポンテ、理に適っていたがやや遅かった東京の交代、憂太の躍動と石川の奮闘、そして「最強のDF」ゴールポスト……。こうして文字にしてみると、なるほど確かに1-2の試合ではあったのかな。浦和ファンからすればもっと大差をつけたかったところだろうが。

試合の細かい経過等についてはとりあえず置いておいて、今日非常に気になった部分、「選手起用」を中心に感想を。


先発はFWにササ・ルーコン、MFは右から規郎・梶山・今野・憂太、不動の4バック+GKという4-4-2フォーメーション。2トップはどちらかと言えばササが(戻りが遅いので(笑))前目、ルーコンが後ろや左右にも顔を出す動き。中盤は規郎が右に張り、梶山・今野は下がり目、憂太は真ん中に顔を出しつつも基本的には左サイド固定、という感じ。

まず、あっと驚く(いやトーチュウの記事で知ってはいたけども)規郎の右サイド起用。これは失敗だったと思う。規郎の右というのはこれまでにも何度かあって、得点も奪ってはいるが、それはカウンター等の場面で彼がFW的役回りを果たした場合のものが多く、サイドアタッカーとして機能したとは言い難い。中に切れ込んでのシュートに期待したのかもしれないが、せっかくFWを増やしたのにクロスもろくに上がらない状態に陥ってしまった。中村俊輔レベルの技巧の持ち主ならともかく、普通はサイドアタッカーがクロスを上げるのに(フリーでも)いちいち切り返して持ち直していたら怖くないぞ。

そもそも石川のスタメン落ちについても釈然としない。今年は不調だとか輝きを失ったとかいう見方もあって、確かに空回りしている場面は多かった(ちなみに、それをハムスターに喩えたのはウチの嫁だったりする(笑))のだが、しかしそれはチーム全体の低調の中で特長を生かされなかった、ということでもある。彼のスピードが攻撃における最大の武器という状況は依然変わっておらず、エースにはエースなりの遇し方があるだろう。神戸戦では怪我が治っていないのを無理矢理使ったのに、今度は原監督曰く「ナオが悪いというのではない」という状態なのに控えに回った。なんじゃそりゃ、という感じである。

そして、これはまだこれから改善の余地があるのかもしれないが、4-4-2の布陣自体にも不安を抱いてしまった。ただでさえ弱かった中盤の、特に構成力が、今日はほとんど崩壊の域にあったように思う。全体としてパス回しもままならず、ルーズボールにも出遅れ、攻守で長谷部・鈴木啓太を中心とする浦和に完敗。規郎は孤立、憂太は(金沢の不調もあり)左サイドへ追いつめられ、中央ではボールキープができない。ルーカスもよく動きはするがタメは作れなかったし、梶山は配球役を果たせなかった。攻撃の形が作れなくてはもちろんササのシュート力も生きない。

あと、これは布陣や選手のチョイスの問題だけではない(一部DFの出来が悪かった…)が、守備もダメだった。バラバラな中盤を浦和の軽快なパスワークが通過していき、DFラインに過重負担がかかっていく。茂庭の快足カバーリングと土肥ちゃんのスーパーセーブがなければ何点取られていたことか。今野はバイタルエリアで精力的にボールチェイスしていたが、彼が動いて空いたスペースにパスを出されると走り込むアタッカーはほとんどフリー。そこを埋めるべき梶山は今日はクラゲ状態。永井やポンテのミドルシュートの場面を思い出してみよう。うーむ、という感じである。

で、さすがに勝ち越されたところで梶山・ササOUTに文丈・石川IN、規郎を左に回して4-5-1に。相手のペースが落ちたこともあったにせよ、これでようやく攻守にわたって中盤で浦和に太刀打ちできるようになった。中央の憂太は見違えるように生き生きとボールをさばくようになり、石川が右サイドを突き破ろうと奮闘する。ついでに左も規郎で突破したいところだったが、金沢交代後に役割が不明確になって(CKの後誰も左サイドの守備に戻らず、気づいた憂太が猛ダッシュして埋めた場面には泣けた)そちらはイマイチ。ともかく、布陣と選手の変更から終盤に何度かチャンスを作り、惜しい惜しい惜しすぎる石川のポスト直撃シュートまで出た。もっと早く(できれば後半頭から)替えてればなあ、と思う。

元々東京というチームは、相手や状況に応じた戦い方をする柔軟性や対応力に欠けるところはある(4月の磐田戦でステップアップしたかとも思ったが…)。ササの加入という新しい要因や日本代表組の離脱もあって、中断中のチーム再編には苦労したのだろう。ただ、それにしても今日の前半はひどすぎた。うまく機能しないのがはっきりしたやり方を引っ張るのはいかがなものかと思う。選手個々の力の飛躍とか目新しい戦術とかではなく、調整していく力こそが必要だ。次の名古屋戦まで間隔は短いが、ぜひとも意地を見せてほしい。

それにしても、新加入したササがいきなりゴールというのは嬉しかったけれど、彼の存在はチームにとって問題になりかねないのではなかろうか。ルーカスと共存させるとすれば必然的にFW2枚となるが、そのためにはMFを1枚削らなければならない。今野の1ボランチにした場合、攻撃力のあるチーム相手にはちと不安。トップ下を削ると今日の前半状態。左サイドを空けてしまうと金沢や石川の負担が増えそうだ。逆に1トップにするとササは控えに回る。これは、阿部吉朗移籍の原因にも通ずる、やっかいな問題である。金沢の復調や梶山の成長を待つとしても、とりあえずは相手によって布陣や選手のチョイスを変えていくしかないか。やっぱり調整力・対応力の問題になるのか。うーん、原さん…。

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