●「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第2部」
夕方、恵比寿の写真美術館で「写真はものの見方をどのように変えてきたか 第2部「創造」」。第1部は主に19世紀における写真技術の誕生・変遷を追ったものであったが、第2部は19世紀末から1930年代、「芸術」写真の発生から写真固有の表現の発達までを紹介している。「金属片に焼き付けられている美しい画像(現実)」というモノから、「その美しい画像のあり方」へと感動の焦点が移行したということか。
全体を大ざっぱに言えば、絵画的構図をそのまま写真で再現しようとする「ピクトリアリズム」からありのままを作品として残そうとする「自然主義」へ、それがやがて写真独自の表現を発見・追求する「ストレート・フォト」に移行して、「バウハウス」や「構成主義」「シュルレアリズム」のような前衛的表現に至る、という流れになるだろうか。やはり第1部に比べて、今回はより作品そのものに良さを感じることができたように思う。
気に入った作品としては、ピクトリアリズム系ではいかにも日本の風景画然とした黒川翠山の2枚(隣で見ていた外国人のお客さんが「ワオ!」とか叫んどった)、ストレート・フォト系では夜のパリに浮かび上がるエッフェル塔がなんとも魅惑的なブラッサイ『シトロエンの広告のイルミネーションをつけたエッフェル塔』、バウハウス以降では「写真でしかできない表現」山脇巌『球体に反射する室内』、超現実的なマン・レイ『ガラスの涙』、あと女性の美しい顔を重ねたウンボの作品(題不詳)か。やはり100年かそこらしか経っていないものだけに、美の感覚はほとんど変わっていないのだろう、近代以前の絵画を見た時のような違和感はあまりなく、素直にきれいだと思えた。
なお、この展覧会、作品保護のため、会場がかなり暗くなっている。作品そのものがあまり大きくないこともあり、見ていてけっこう目がキツイ感じ。目薬必携だ。
あと、同時開催の「超[メタ]ヴィジュアル展」にも行ってみたが、これはアニメーション・イリュージョン・3D・バーチャルといった様々な映像表現を集めたもの。どれもこれも一風変わった表現、触って楽しめる作品もあり、非常に面白かった。一般の若い人には「写真はものの~」よりもお薦めかも。
特に良かったのが名和晃平『PixCell[Zebra]』、岩井俊雄『時間層Ⅱ』、あと作者は忘れてしまったが『Tool's Life ~道具の隠れた正体』という作品。どれも「え、これってどうやったらこう見えるようになるの?」と驚くものばかりであった。びっくしどっきり感心!ってか。