●FC東京×大分トリニータ ('05ナビスコ杯第2節)
午後、味スタでナビスコ杯第2節。FC東京 0-0 大分トリニータ。圧倒的にボールを支配しながら、攻めきれず崩しきれず、勝点3を逃す。新潟戦の4得点は、やはり「出会い頭」あるいは「たまたま」だったのだろうか(笑)。
大分はきれいな3ラインの3-4-3フォーメーション。この手の幾何学的な連動性を重視するシステムというのは、一旦機能し出すとパスがテンポ良く繋がって手がつけられなくなるものだが、大分の場合はまだ約束事をこなすのに懸命、という段階なのだろう。東京の選手が出足良くパスカットする場面が目立ち、立ち上がりから東京優位で試合が進む。
4分、CKからの波状攻撃の場面、GK岡中が飛び出してパンチしたボールを茂庭が拾ってシュートしたが、岡中の正面に飛んでしまい逸機。9分、ペナルティアーク付近の混戦からルーカスが鋭いミドルシュートを放つが、これも岡中の正面。16分には大分のFKをはね返してカウンター、スルーパスで左サイドに飛び出した石川が切り返しでDFを振りきり、ペナルティボックス付近まで突進してシュート、岡中横っ跳びではじき出す。
大分側はほとんどチャンスらしいチャンスを作れない。34分、MF阿部(貸出中)がドリブルでトイメンの金沢をぶち抜き、ペナルティボックス横からクロスを上げたが、幸い中のアタッカーに合わず。阿部(レンタル中)は43分にもきれいなクロスを上げ、塩田がはじき出したボールをFW吉田が拾ってシュートを放つも、バーを越えた。
一貫して試合は東京ペース。ただし、やや個人技頼みで攻め手は決して多くない印象もあった。栗澤は攻撃に絡んでいくというより下がって全体のバランスをとっちゃうし。38分、状況を打開すべく意を決したように宮沢がボールを持ち上がってミドルシュートを放つが、DFに当たってしまう。ロスタイムには大分の横パスをカットした石川がスピードに乗りかけたところ、MF有村が倒し、2枚目のイエローで退場。この、ハーフタイム前に大分が10人になったことが、その後の展開に大きく影響した。
後半、立ち上がりから攻めたてる東京。大分は吉田がMFの位置まで下がり、全体的に引いた態勢。東京は多くの時間帯でほぼ全員が大分陣に入り、今野・宮沢を起点にしつこくアタッカーを狙っていく。栗澤も前がかりになり、藤田のオーバーラップも見られるようになった。6分、左サイド戸田(!)のヒールパスで金沢が抜け、クロスをルーカスが反転シュートするが、DFにブロックされてしまう。15分には大分がカウンターからチャンスを作り、CKのこぼれ球をFWマグノ・アウベスがシュートするも、茂庭ががっちりブロック。
守りを固める相手になかなか決定機を作れない東京。スタンドもシビレをきらし始め、「シュート撃て!」コール等々不満の声が上がり始める。東京は戸田に代えて規郎、続いて宮沢(こういう時はセットプレー要員残すべきだと思うんだけどなあ…)に代えて梶山投入。大分は負傷した阿部(来春返却予定)OUT、原田IN。25分を過ぎると東京アタッカー陣の動きの量自体が落ち、相手陣でDF・ボランチが延々パスを回し続ける膠着状態に。
30分、ペナルティボックス前で栗澤が横に流れながらゴール右隅を狙うミドルシュート、岡中横っ飛びでCKに逃れる。35分、CKから今野のヘディングシュートが大分DFに当たってあわやオウンゴール、ギリギリでFW高松がクリア。41分にはFKから規郎が40mはあろうかという弾丸シュートを枠に飛ばすも、岡中がセーブ。ロスタイムには逆に大分がカウンターでチャンスを作り、マグノ・アウベスが切り返しで茂庭をかわしてシュート、戻ったジャーンが危うくブロック。さらにショートコーナーからマグノ・アウベスが上げたクロスが塩田の頭を越えてバーに当たり、ヒヤリとする場面も。結局、スコアレスのまま試合終了。
試合後にはスタンドからブーイングと、あてつけ気味の阿部吉朗コールが飛んだ。それに応えて手を振る気のいい吉朗(絶対帰ってこいよ)。まあ、「こういう時に吉朗がいたら…」はもう書いても仕方ないのだけれど(と言いつつどうせまた書いてしまうのだが)、FW、というよりゴール・ゲッター的役回りの選手の補強が必要なのは確かなんだろう。
率直な印象として、選手たちは健闘している。いいシュートも何本かあった。相手が10人にならなれければ、あるいは結果が違ったのかもしれない。でもなあ…「攻めて取る」ことのできるチームはまだまだ遠い。ちょっと、個々の、特に石川の突破力に頼りすぎている感じである。中寄りでコンビネーションを生かしたような攻撃は非常に少ない。だからもう相手にも読まれていて、「ボール取る→サイドに開く→クロス→待ち構えたDFがクリア」というシーンが延々続く、と。怪我上がりの梶山に過剰な期待が寄せられるところからしてちょっとツライわな。
ま、次は現在首位のリーグ戦に戻るので、気分をチャラにして(笑)、頑張ってほしい。