●「愛と孤独、そして笑い」
木場公園の東京都現代美術館で、「mot annual 2005 愛と孤独、そして笑い」。これは面白かった。女性作家の作品ばかりを集めた展覧会だが、刺激的で意欲的で、まさしく「現代美術」という感じであった。
嶋田美子の『箪笥の中の骨』は、参加者があらかじめ紙やフィルムに書いた「家族の秘密」を一つずつ箪笥の引き出しの中に入れてある、という参加型のインスタレーション。暗いの重いの明るいの軽いの唸らされるのと色々あったのだけれど、「弟のベッドの下からエロ本。しかもロリ。」というのはウケた。
イチハラヒロコのインスタレーションには大笑い。「一生遊んで暮らしたい」ってのは最高だね。そんなデカく書かなくてもいいだろう、という気がしないでもないが(笑)、その度を超した加減が芸術ということか。
岡田裕子の『俺の産んだ子』は、十数分間ニヤニヤしながら見入ってしまうケッサク。「子宮移植による男性妊娠・出産の問題点」を女医さんが延々カメラに語りかけるくだり、よく出来てるよなあ。で、主役(?)の男性がまたちゃんと妊婦っぽいんだ、これが。最後赤ん坊が映った時には思わず心の中でガッツポーズしちゃったよ(笑)。
ちなみに、同時開催されているのは「榎倉康二」展だが、「mot annual」の横に並べてしまうといかにも地味な印象なのがちと気の毒。こちらの作品も不思議な感覚をもたらすものではあるんだけど、さすがに10年前に亡くなった作家だからなあ。