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2015年10月24日

●「まずは守備」から(FC東京×浦和レッズ)



FC東京 3−4 浦和レッズ (J1第32節 味の素スタジアム)

前節の黒星により優勝争いから脱落した格好の我らが東京。落ち込んでいる暇もなく、今節は苦手レッズとのホームゲームであった。チャンピオンシップとACLの出場権獲得のためには負けられない大一番……だったはずだが、常に先手を取られる悪い展開に陥ってしまい、終盤の追い上げも届かずにまたしても敗戦。


試合は序盤から浦和ペースだった。いつも通り前方が広く厚い浦和の(攻撃時の)布陣に対して、この日の東京は4-3-1-2のフォーメーションで迎え撃つが、ゾーンの隙間にすいすいパスを通されてボールを支配されてしまう。早くも11分、オフサイドギリギリで飛び出した宇賀神が左ゴールライン際をえぐり、クロスをアブラモフが小さく弾いたところ、こぼれ球を柏木が押し込んであっけなく浦和が先制。0-1。

受身に回ってしまった東京は森重や丸山、太田といった個々のDFの動きも重く、なかなかこぼれ球を相手陣に押し戻せずピンチが続く。14分にはボックス前で右→左とパスを回され、フリーになった武藤の狙いすましたミドルシュートがゴール右上に決まった。これは敵ながら天晴れのゴラッソ。0-2。大事な試合で負った開始早々のビハインドに、東京側のスタンドからはため息が漏れる。

しかし東京も黙ってはいない。17分、中盤でボールを奪った米本が速い縦パスを送り、東が鋭い反転からボックス内へ。追いすがる槙野のタックルも外した東は角度のないところから迷わずシュートを撃ち、GK西川のニアを破ってゴールイン。頼りになる「FW」らしい一撃!1-2。息を吹き返した東京は薄い浦和DFの背後を突く形でチャンスを作るようになり、21分には高橋の鋭いミドルシュートが西川の正面を突く。

ところが。27分、浦和のサイド攻撃からボックス内左へボールがこぼれた場面。ちょうど丸山と太田の目の前だったが、お見合いしたのか2人とも反応できず、関根が楽々とシュートしてゲット。なんというか、がっかりする失点だった。1-3。その後は東京が相手のアタッカーに数を合わせる5バックにシフトしてそれ以上の失点を防ぎつつ、東がサイドから仕掛けるなど奮闘するも決定機には至らない。2点差で前半終了。


後半開始直後、カウンターで河野が右サイドを疾走、逆サイドでパスを受けた東がコースを狙うシュートを撃つが、わずかに枠外。52分には東京ベンチが動き、河野に替えて中島を投入。そこからしばらくは一進一退となって、セットプレーから槙野と森重がヘッダーを撃つも枠をとらえられず、58分にはDFの間を突いた興梠がボックス内でシュートするも枠外。東京は羽生OUTで松田INで攻撃を加速させようとする。

だが、次の得点も浦和。62分、ボックス手前でのしつこいパス交換からいつの間にか上がっていた槙野がシュートすると、糸を引くようなボールがゴール左上に吸い込まれた。ここでも東京DF陣は反応できずボールウォッチャーに。1-4。ここで勝負あった、かに思えた。

しかし、東京は諦めない。64分、浦和陣での激しいボール争奪戦から高橋のスルーパスで東が飛び出すが、シュートはわずか右にはずれた。惜しい!ようやく東京は松田投入の効果か左右のサイド攻撃が機能し始め、広くボールを動かしながら攻め立てるように。そして74分、左サイドで東の粘りから太田がクロス、高橋が競り勝ってヘッダーを決めた。気迫の一発!すぐさまボールを持ってきびすを返す秀人先生。2-4。

浦和は宇賀神→梅崎、関根→平川とサイドを替えて対抗。だが83分、中島のミドルシュートを西川が弾いて得たCK、ゴール前の混戦の中で高橋が体勢を崩しながらも押し込んだ。3-4!スタンドは大いに沸き、東京の選手たちも最後の力を振り絞ってなお攻める。同点の期待も膨らんだのだが……残念ながらあと一歩押し切れず。ロスタイムの東のボレーシュートも西川が弾き出し、1点差で試合終了となってしまった。



悔しいのは間違いない。残念な部分は沢山あった。でも、よく頑張ったとも思った。

まず采配だが、フィッカデンティ監督は浦和(と類系の広島)対策にほとほと悩んでるのかな、と。前線に大勢のアタッカーが押し出してくる相手に「まずは守備から」の東京が対抗するにはやはりDFの数を合わせるのが普通の考えだし、実際これまで5バックなどにしたことが多かった。だが、それで相手の攻撃を押さえても点が取れなかったり、ちょっとしたほつれから失点したりしてなかなか勝ててないんだよね。

なので今回は通常のやり方でやってみたら、普通に粉砕された、と(笑)。で、試合中に4バックだ5バックだと色々変えてみたけれど、それは(主に攻撃面で)効果的ということもあったし、逆に選手を混乱させた面もあるかもしれない。何にせよ、相性の悪さは確かなんだろうけど、次の対戦ではつまらなかろうと何だろうと「まずは守備」に立ち戻ることが必要ではなかろうか。一発勝負になるかもしれんのだし。

つーかこの試合、采配云々とは別に、守備陣の出来がとにかく悪かった。何なんだろうあのボールウォッチャーぶりは。前に人数をかけてくる相手に対してパスに足が出ず、こぼれ球も拾えないんじゃ袋叩きにもなるだろう。森重は怪我が治りきってないみたいだから仕方がないとして、丸山と太田にはもう少し頑張ってほしかった。「まずは守備」で勝ってきたチームなんだからそこが崩れたら普通にアカン、という。

まあ、この2年間チームとして攻守のバランスに悩んできたところはあるだろうから一概には言えないけれど、マッシモ東京はやはり「まずは守備」のチームだし、攻撃もいい守備ができてこそ良い攻撃につながると思うんだよね。もう一度、原点に戻ってほしいものである。

また、もちろん悪いことばかりではなくて、こんな試合でも良いところはあった。まず、3点差にされてからも諦めず前向きに攻め続けて1点差まで(さらには同点のチャンスまで)迫ったこと。「猛攻すれど届かず」は本当なら褒められたもんではないのかもしれんが、でも熱くなることができた試合だったし、試合後の『You'll Never Walk Alone』にも共感を覚えた。本当にあともう一歩だった。一番悔しいのは選手だろう。

そして、東と高橋の奮闘。特に東は一皮むけたというか、FW起用も余計な負担を減らしてくれたのか、果敢な飛び出しと確かな技術で今や攻撃の大黒柱になりつつあると言ってもよいだろう。あとはシュートがもう少しというところだが、こちらも改善の兆しは見える。秀人先生は元々クレバーさに加えて激しさと思い切りも備えた選手だけど、それに磨きがかかってきた感じ。浦和に行かず残ってくれて本当に良かった。

いや、ホント、負け試合だからこそ、試合後に延々と文句垂れるのはやめようと(笑)。別にまだ3位から転落したわけでもなく、仮に明日の試合でガンバが勝って逆転されたとしても再逆転のチャンスは十分に残っている。まずは残り2試合を勝つこと。話はそれからだと、僕はそう思っている。



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