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2015年09月13日

●前田!前田!前田! (FC東京×ヴィッセル神戸)



FC東京 3−0 ヴィッセル神戸 (J1第27節 味の素スタジアム)

代表戦がしばしば挟まるイレギュラーな日程の中、ナビスコ杯は決勝トーナメントに進出しながらも準々決勝で鹿島に完敗してしまった東京。今節はほぼ1ヶ月ぶりのリーグ戦ホームゲームであり、年間上位争いに残るためには是非とも勝ちたい一戦。僕個人としても約2ヶ月ぶりの生観戦であった。


序盤は神戸ペースだった。いつも通りの4-3-3(守備の時は河野が下がって4-4-2)の東京に対し、神戸は守備時5バックだが攻撃時には高橋・相馬の両WBがワイドに張りながらFWの位置近くまで上がる思い切ったサッカー。東京はDFがサイドに蓋をできず突破されてはボックス内できわどくクリアする場面が幾度かあり、攻めても羽生が後方に引っ張られたせいもあって前田・バーンズになかなかボールが入らない。

だが、幸いなことに神戸のアタッカーも決定力を欠いた。19分、CBの間を森岡が割ってゴール前へ突入するが、徳永が懸命のカバーリング。21分、渡邉千真のミドルシュートもポスト右を抜ける。東京はひたすら我慢しながら逆襲速攻を狙い、30分にはボックス手前で得たFKを太田が狙うもGK山本が横っ跳びでセーブ。気がつけば試合はすっかり膠着状態となっていた。

先制点は38分。中盤で米本のスライディングタックルが決まってボールがこぼれ、鋭い出足で拾った高橋が一気に持ち上がってゴール前の前田へパス。前田はDFと正対しながらも迷わず右足を振り、ゴール右上を撃ち抜いた。一気のショートカウンター!1-0。これで流れは一気に東京に傾き、44分にはバーンズのワンタッチパスで河野がDFライン裏に抜けるが、シュートは山本がブロックして追加点ならず。

で、チャンスの後にピンチありというか、追加タイムに今度はレアンドロのパスで渡邉がきれいに東京DFの背後に出るが、初先発のGKアブラモフ必死の飛び出しの甲斐あって、シュートはきわどくポスト右に外れてくれた。安堵と失望のため息が交錯する中でハーフタイムへ。


後半になると再び一進一退となるが、東京は前半に比べると意図したところでボールを奪えているように見えた。55分、左サイドのパス交換から河野がボックスへ突入するが、ミスでシュートできず。56分には森岡が左サイドから強烈なミドルシュートを撃つも、アブラモフが片手で弾き出した。その直後、マッシモが動いて河野→東の交代。次第に東京がパス回しでペースをつかんでいき、一方の神戸は石津投入で攻撃強化を図る。

そして69分、徳永の速いフィードを左サイドで受けた東が、オーバーラップの太田を囮に使って切れ込みながらニアに低いクロス。巧みにDFのマークを外して滑り込んだ前田が山本の脇を抜いてゲットした。飛び出しのタイミングとつま先のちょん蹴りが全てというストライカーらしい得点!2-0。余裕の出た東京は羽生OUTで橋本INの交代。対する神戸はブエノを投入して打開を図るが、東京寄りの流れは変わらない。

78分、高橋が開いたDFの間に素晴らしいスルーパスを通し、一旦抜けた東はDFに追いつかれたものの冷静にどフリーの前田にパス。ここで前田のトラップは大きく跳ねてしまい逸機したかに思えたが、体勢の崩れたGKとDFは戻りきれず、ボールは何とそのままゴールの中へ。ラッキーというか何なのか、不思議なゴールだった。3-0。その後は平山も投入した東京が神戸の反撃を守りきり、そのまま試合終了となった。

決して圧倒したわけではないのにスコアは3-0。マッシモ東京らしいといえばらしい「完勝ぽくない完勝」だった。

前半20分くらいまでの東京は明らかに守備が機能しておらず、ほとんどシュートを撃つことすらできなかった。ただ、神戸のサイドアタックが浦和や広島ほど強烈ではなかった(ネルシーニョ流のバランス感覚?)こともあり何とか失点は免れ、膠着状態に持ち込んだところでエース前田の一撃、と。前半途中までの試合を見て、誰が3-0のスコアを予想できただろうか。しかしマッシモ東京は先制すればやはり強かった。

面白かったのは、この日の東京は短い時間に同様の効果的なプレーが連続したこと。先制点は高秀先生の鋭い出足から生まれたけど、その少し前の時間帯にも森重や丸山が持ち上がろうとする場面があった。前半終了間際にはワンタッチパスでDF裏にFWを走らせて幾度かチャンスを得た。後半、東の左サイドでの動きの繰り返しも聞いていた。監督の指示か、それとも選手たちの判断か。いずれにせよ良いことだと思う。

それにしても、前田様様、実にバリエーション豊かなゴールショーを見せてくれたものである。1点目は豪快にズドン、2点目は巧みにDFを出し抜く動きでチョン、そして3点目はなんじゃそれ、と(笑)。そういやこの日敵方にいたカズマックスこと渡邉千真が2012年に鳥栖戦でハットトリックした時も、確か1点は胸トラップ失敗か何かがぼよよ〜んと入ったんじゃなかったっけ。ストライカーってそんなもんだよな。

というか、前田のJリーグ得点王2回という実績を考えればこのくらいの活躍は不思議でも何でもないわけで、おそらく前田個人にとっては武藤が移籍してくれたのもプラスに働いているのだろう。チームの役割分担、特にアタッカーないし点取り屋というものの難しさではある。まあ、逆に武藤の移籍でやや消沈しているように見える河野のような選手もいるわけだけど……。

他の選手を見ると、この試合では高橋の好調さが目立った。冷静な判断と思い切りの両方を備えた秀人先生らしいプレーぶりは頼もしい。東も持ち味を出すことができて得点にも絡んで、これで吹っ切れてくれるといいんだけどな、と思う。河野や米本はやや空回り気味だったろうか。太田と森重はちょっとお疲れ気味に見えた。あと、初登場のGKプラダ・アブラモフは……何だかクラシックな香りがするような(笑)。

ともあれ、今節上位陣の多くが勝点3を積み重ねる中で、東京もこの勝利で年間順位3位をキープすることができた。というか、年間総合で首位と5差、2ndステージでも6差で、どちらもまだ諦めるのは早い状況である。残り7試合。幸いナビスコカップも関係なくなったことだし(泣)、ホント今年はリーグ戦でどこまで食いつけるか。優勝しちゃったら大笑い、なんだけど。


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