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2015年04月19日

●六日天下かよ(笑) (FC東京×サンフレッチェ広島)

FC東京 1−2 サンフレッチェ広島 (J1第6節 味の素スタジアム)

3連勝で前節首位に立った、好調の我らが東京。今回は公式戦5試合勝ちなしと不振に苦しむサンフレッチェとのホームゲーム。飛田給から八重桜の咲く通りを歩き、強風吹きすさぶ味スタで観戦した。


いつものように守備時5-2-2-1、攻撃時3-2-5の広島に対し、この日の東京は高橋秀人が先発、基本は通常の4-3-1-2だが流れの中で5バックになるフォーメーションでスタートした。最初の得点は開始直後の1分。東京はボックス手前からのパス交換で攻め込み、石川のワンタッチパスがDFに当たって右サイドに流れたところ、フリーの武藤が右足でGK林の股を抜いてゲット。落ち着き払ったシュートだった。1-0。

しかし、そこからはサンフレッチェのペースとなる。東京はDFラインに人数を揃えるものの広島の前線へのクサビを潰しきれず、吉本が裏をとられたり両サイドが広島のウイングに翻弄される姿が目立つ。10分、梶山のパスミスから広島のカウンターとなり、ドウグラスが右サイドを突進。太田・高橋がまとめてかわされてからの折り返しを柴崎がダイレクトでゴール上に叩き込んだ。権田のジャンプも届かず。1-1。

14分、ボックスに突入した柴崎を森重が倒したか、という場面はノーファウルの判定。15分、石川の長いクロスを武藤がボレーで狙うがサイドネット。18分には左サイドから切り込んで徳永をかわした柏のシュートが右隅に決まるも、前線の選手がオフサイドで命拾い。広島向きの展開に東京はシステムを変更し、高橋が完全にDFラインに入って5-2-1-2の形に。これで試合がやや落ち着き、同点のままハーフタイムへ。


後半、東京は米本OUTで羽生IN。5バックはそのままながら、中盤はほぼ梶山1人で切り盛りするような「中盤を組み立てない」広島同様のシステムに。開始直後に太田・ミキッチと互いのストロングサイドがクロスを入れるチャンスがあり、55分にはボックス左のFKで太田がクロスを入れて飛び込んだ森重のシュートがバーを叩き、こぼれ球を押し込んだか……という場面はファウルの判定でノーゴール。

その後も攻め合いが続く。56分、吉本のクリアミスをミキッチが拾ってクロスを入れるが、柴崎のヘッダーは枠外。64分、塩谷の長いグラウンダーで佐藤寿人が左サイドに飛び出すが、シュートは左に外れた。69分、東京は攻撃の活性化を狙って東を投入。71分には左タッチ際で東の蹴り出したボールを武藤が一気に前線へ持ち出し、狙いすましたクロスに東が飛び込むが、惜しくも枠をとらえられず。これは惜しかった。

決勝点が入ったのは81分、広島のカウンター攻撃で寿人に代わって入っていた浅野が中央をドリブルで突進した場面。東京はDF3人を残していたものの、吉本・森重がフェイントでまとめてかわされてしまい、豪快なシュートを決められてしまう。1-2。追い込まれた東京は急遽前田を投入し、高橋(最後は権田も!)を前線に上げるなど力攻めを図るが、決定機は作れず。今シーズン初めての敗戦であった。


先制点が簡単、かつ時間帯が早すぎてかえって試合運びが難しくなったかな、と。また、その後の展開は相手にお付き合いしすぎたか、という気がしないでもない。

フィッカデンティ監督の広島対策は明快で、高橋の起用によりDFを5枚にして押し込んでくる5人のアタッカーに対抗するというもの。合理的だと思うし、実際昨年のアウェイでは成功したやり方だった。ただ、今回、特に前半については機能しなかった。DFの枚数は揃っていても楔のパスをつぶせず、ボランチもDFと連動した守備ができなかった。また、両SBはミキッチ・柏との一対一で勝てず。これでは苦しい。

ならばと途中でシステムを何回かいじって、段々とマシになったようには見えた。後半には梶山に中盤を託し、両SBも高めに位置どるやり方に。細かい違いはさて置き、ぱっと見は東京が広島の近似的なチームになったようにさえ見えた(ミラーゲームってやつか)。思わず頭の中で「森崎役は森重、青山は梶山、ドウグラスが石川、柴崎が河野、ミキッチと柏は左右逆だが太田と徳永だな」とか考えちゃったよ。

水島新司先生の『大甲子園』の中で真田一球率いる巨人学園が常勝・明訓高校に勝つために「明訓ナインと同じキャラクターを9人揃える」戦法をとる話があったんだけど、あれをちょっと思い出したな(野球でミラーゲームやってどうするんだ、と思うけど(笑))。結局あの漫画では巨人学園は明訓に破れてしまうし、今回の東京も負けてしまったわけだけれども。

まあ、結果的に広島寄りの流れ(攻め合い)になってしまったわけで、今回の対策は成功したとは言い難い。ただ、じゃあどうすれば良かったかというと難しいよね。4バックでやってたらサイドをもっと崩されまくったかもしれないし。「自分たちのサッカーをやる」のも大事だけど、もちろん馬鹿の一つ覚えでもいけない。今の監督やチームのあり方を考えれば、こういう対策の「失敗」はむしろ成長のためのいい経験では、というと楽観的すぎるだろうか。僕はさほどネガティブな印象は受けなかった。

個々の選手について。吉本と秀人はイマイチだった印象だけど、試合勘の問題もあっただろうか(カニーニの欠場は痛かった)。両SBはもう少し一対一の守備を頑張らないと。攻撃陣は、おしなべて無理してる感じがするね。あと、梶山は……以前よりもさらにテンポに問題があるというか、現代サッカーのスピードについて行けてないのでは、と思わないでもない。でも他に展開タイプの選手がいないんだよな。困ったもんだ。


ということで、いずれにせよ残念な結果であった。首位に立った!と喜んでいたのも束の間、湘南戦からわずか中5日での陥落である。六日天下ってか(笑)。ま、いくら2ステージ制とはいえ先は長いし、レッズとは勝点3しか離れていないのだから勝負はまだこれからである。とりあえず、連敗は避けないと。次はアウェイのノブリン戦だ。


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