●「マッシモサッカー2.0」への道は遠し (FC東京×横浜Fマリノス)
FC東京 0−0 横浜Fマリノス (J1第2節 味の素スタジアム)
待ちかねていた2015年シーズンのホーム開幕戦。東京が新しいスタイルへの脱皮を図る姿を目にすることができた試合だったが、膠着状態を打開出来ずにスコアレスドローに終わった。
前半は東京がボールを支配する展開となった。開幕戦と同様アンカーに梶山を起用し、長いボールをあまり使わず低い位置から丁寧につなぐサッカー。序盤、左サイドから太田が(横浜CBの高さを考えてか)低く速いクロスを幾度か入れるが、いずれも跳ね返されてチャンスにならず。一方の横浜はオーソドックスな4-4-2の布陣から速攻を狙うも、東京のDF陣はピンチの芽を着実に摘んで突破を許さない。
15分、CKにファビオが合わせたヘッダーは権田がキャッチ。28分、高い位置でボールを奪った米本が勢いよくボックスへ突入し、スイッチした武藤がシュートを狙うもDFに当たってわずか右に外れ。次第に東京はサイドに展開しても窮屈なところに追い込まれて難渋する姿が目立ち始め、細かいコンビネーションで突破しようとしてもミスしてシュートへ至らず、の繰り返し。スコアレスのままハーフタイムへ。
後半、高い位置のパス交換からアデミウソンが仕掛けるなど今度は横浜の流れに。そんな51分、東京は太田のCKに武藤がフリーで合わせるが、バーを叩いて先制ならず。直後の53分、横浜は斎藤の仕掛けから兵藤がゴール前へ飛び出すが、シュートは権田が右手一本で防いだ。さらに直後、CKの流れからまたもフリーの兵藤がミドルで狙うも、再び権田が横っ跳びで弾き出す。チームを救うビッグセーブだった。
劣勢の東京は57分、河野に代えて東を投入。好調の東は左右に流れてよくボールを引き出し、時にDFの背後を狙ってチャンスを作る。幾度か際どいクロスの入る場面もあり「これは行けるか」という雰囲気に。だが、66分、東京は羽生→高橋秀人の交代で4-4-2の布陣へシフトし、これが裏目に出たように見えた。東はあっという間に消えてしまい、梶山が持ち上がってもそこから前へのパスが全く通らない。
その後は完全に試合が膠着してしまい、東京のノッキング気味の攻撃を横浜DFが跳ね返す場面と、横浜の精度の低いカウンター攻撃を東京DFが防ぐ場面が続く。終盤には東京が波状攻撃でたて続けにCKを得るが、全てクリアされて決定機は訪れず。0-0のまま試合終了となった。
今季初生観戦の感想は、なんというか、やろうとしてる事はわかるんだけど、という感じか。
フォーメーションは昨年と同じ4-3-1-2でも、志向するサッカーは明らかに変わっているように見えた。ロングボールはなるべく使わず梶山を起点に丁寧につないで、高い位置ではSBのクロスとアタッカー3枚の仕掛けを組み合わせてDFを揺さぶるイメージか。0-1負けの多かった昨季の反省から新境地を開きたい意図はわかる……んだけど、これが全く機能していない。何しろこの試合シュート2本だったのだ。
まだ2試合目なのだから、もちろん結論を出すのは早い。ただ、せっかく昨シーズン新しいサッカーをやってそれなりに成果もあったのに、いきなり違うベクトルに踏み出してちょっと迷走しちゃってるんじゃないか、という気がしてしまうのである。これが「産みの苦しみ」なら別に構わないし、元のサッカーと合わせて結果的にチームの引き出しを増やしてくれるのなら良いのだけれど。ちょっと心配である。
まあ、開幕戦の時も書いたけど、結局、まだまだ模索中ということなんだろう。大黒柱だったエドゥーがいなくなった以上、いずれにせよ何らかの組み替えは必要なわけで、ファンとしては何とかものになる形を見つけてくれ!と祈るしかないのかな。
MOMは権田。後半早い時間帯のスーパーセーブ2発は凄かった。ああいうのを見ると本当に「守護神」になりつつあるのかな、と思う。DF陣はいつもの感じだったけど、時間が経つにつれ両SBのパフォーマンスがどんどん低下するのがキツい。中盤は、守備力に不安のある梶山の使い所が難しいね。この日の布陣なら、せっかくインサイドに米本がいるんだからもっと持ち上がってもいいような気がするのだが。
攻撃陣は、次のナビスコ新潟戦ではおそらく新しい組み合わせを試してくるのではなかろうか。現状、河野と前田は全く合っていない……というか、前田はチーム自体にフィットしていない印象である。よく動いてはくれるんだけど、サイドに流れてばかりで、真ん中で収めたり裏に抜けたりがほとんどないんだよね。つか、そもそも楔のパスが少ないのは出し手の問題なのか受け手の問題なのか……両方っぽいな(笑)。
とにかく、今後加わってくるであろう平山や中島も含め、駒の数はそれなりにありそうなんだけど、チームの基本型が固まらないのではなかなか厳しいな、と。次にリーグ戦でホームに帰ってくる甲府戦(4月上旬)あたりでは、何とか見通しがついていてほしいなあ……。
[追記]
今回、コーナー付近のピッチサイドに新しく座席ができていて「へー」と思って目をやることが多かったのだが、東京が攻め込む時にその脇に陣取るカメラマンの多いこと多いこと。横浜の攻める方のゴールの3倍くらいいたんじゃなかろうか。まあ、よっちや宏介先生目当てということなんだろうから、いわゆる代表効果ってやつですか。
15年前の開幕戦(横浜FM×東京)では中村俊輔狙いのカメラマンばっかで、東京が攻める側なんてぜーんぜん人がいなかったのにね。まあ、そんな状況で勝ったからこそあの時は最高に気持ち良かったのだけれど(笑)。
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