« もしもしあたしリカちゃん(笑) ('10ナビスコ杯 vs大宮アルディージャ) | メイン | 我慢の時は続くかね (FC東京×京都サンガ) »

2010年04月16日

●『男性・女性』

41CVGFEbBML._SL500_AA300_.jpg
昨日の夜は、早稲田松竹でジャン=リュック・ゴダール監督『男性・女性』を観た。1960年代半ば、ゴダールがその全盛期に撮った傑作青春映画。雑誌社に勤めるポール(ジャン=ピエール・レオー)は、パリのカフェで出会った売り出し中の歌手マドレーヌ(シャンタル・ゴヤ)に恋をする。ポールのアタックの甲斐あって2人はつき合い始めるが、周りの友人たちが次々邪魔をして……多難な若者たちの日々が描かれる。
 
 
『用心棒』と同様、若い頃に劇場で観てえらく感動したものの大画面で観るのは十何年ぶり、という作品。改めて観た感想としては……もちろん良い映画には違いないんだけど、退屈な部分もあることはあるし、政治的な台詞とかが結構多かったんだな、と。昔は登場人物たちのみずみずしい行動への共感が先に立って気づかなかったんだが。ゴダールはもうこの頃から『中国女』以降の難解な方向へ舵を切ってたということなのかな。五月革命の前でもあるし。

もっとも、だからといって、本作のそもそもの魅力が失われたわけでは決してない。特にジャン=ピエール・レオーの誰にも真似できぬ独特のコミカルさと、シャンタル・ゴヤの憂いを帯びたキュートさ。レオーがレコードに独りよがりな愛の言葉を吹き込む場面などはくだらなさ爆発で、でも憎めなくて最高!!ゴヤは今で言えば宮崎あおいにちょっと陰を付けた感じになるだろうか。彼女のはにかんだ笑顔を大画面で観られただけでも、足を運んだ甲斐があったような。

なんつーか、レオーやゴヤやその他の若者たちが笑って、怒って、駆けて、歌うのを見るだけでもなんだか嬉しくなってくるんだよねこの作品は。革命云々の台詞も見方によっては「若気の至り」だし。ただ、それが昔は同じ立場としての共感だったのが、今では年上の目線から見た微笑ましさになっているのが……僕も年をとったということなんだろうか。あーあ(笑)。
 
 
今回、初めて早稲田松竹で映画を観たのだが、けっこう綺麗でちゃんとした作りの映画館なんだね。ラストの回は800円で観られるのはかなりお得、というかちょっとビックリした。高田馬場駅から歩いて10分もかからないし、近くには安い飲み屋とかもありそうだし、最近あまり新作のトンがった映画を観る気にならないことが多いので、こういう名画座にダラダラ通ってしまいそうな予感がする(などとつぶやくあたりが年だっつーの(笑))。早稲田の学生は羨ましいな。
 
 
[付記]
今回観ていて「あっ!」と思ったのは、劇中、コインランドリーでポールと友達がボブ・ディランを取り上げた新聞記事について会話するシーンがあったこと。ボブ・ディランって、先月日本ツアーやったばっかりじゃなかったっけ……ちなみに『男性・女性』は1965年の公開だから今から45年前になるはず。ディラン、すげえ!!
 

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://umanen.org/mt/mt-tb.cgi/2606

コメント

早稲田松竹 などの名画座で往年の名画を見るのは愉しいですね!シャンタル・ゴヤの小麦色の肌、黒い瞳は南沙織風のといったような初々しさ!

早稲田松竹 などの名画座で往年の名画を見るのは愉しいですね!シャンタル・ゴヤの小麦色の肌、黒い瞳は南沙織風のといったような初々しさ!

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)